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early spring10 

early spring10


2月14日…、バレンタインデー。
この日は朝から冷たい雨が降っていて、一日の仕事を終えて会社を出る頃…昼間の雨が雪に変わり、アスファルトの上に白く積もっていた…。

「…寒いな」

空を見上げ、ボソッと呟き…傘を開いて人の波に紛れようとした時。

「アラタさんっ」

真行寺の声に振り返る。

「あ、真行寺…今日は遅いんだな」

いつもなら、三洲より先に帰宅している真行寺だが。

「…今日は少し、残業しちゃったよ」

そう言う真行寺の手元を見ると、会社の鞄と、大きく膨らんだエコバッグ。その中身は、聞かずとも分かるが…。

「…お前、それチョコレートか?」

分かるけど、聞いてみた。

「うん、そうだよ。ぜ~んぶ、義理チョコだよ?」

暫く、チョコ買わなくて済んじゃうね?

ふふっと、笑って袋の中を覗く。それが、何となく面白くなくて、三洲はイヤミを一言…。

「…モテモテだな?真行寺」

中には本命とか入ってるんじゃないのか?

ニコリともせず、言い放つ。

「入ってないよー。俺の本命は…アラタさんだけだもんっ

その言葉を待っていたワケではないが…。聞けば、ホッとする一言。心の奥底が、ほっこりと暖かくなる…魔法の言葉。

「…そうか…。真行寺、寒いから早く帰ろう」

足の爪先も、指先も…どこもかしこも冷たい。三洲の会社の前で、立ち話をしていた二人は漸く、歩き出した。

「アラタさんも、いっぱい貰ったじゃん?美味しいのがあったらさぁ、交換しようね

三洲の貰ったチョコレートに、嫉妬するでなく、そのチョコレートの味に興味津々な真行寺は、やっぱりお子ちゃま?

「ふふっ…お前程、貰ってないよ」

漸く、三洲にも笑顔が戻る…。


~・~・~・~・~・~・~


「ただいま~」

二人は、自宅マンションに帰ってきた。

「あ~、寒かったねっ。手がかじかんだよ…」

すぐに暖房点けるねっ。

かじかむ手に息を吹き掛けながら、リビングへすっ飛ぶ真行寺を見て、顔が綻ぶ。こんな自分の為に、尽くしてくれる真行寺が好きだ…。三洲はバスルームに行き、バスタブにお湯を張る。

「アラタさんっ、チョコ食べよっ

キッチンから、真行寺が三洲を呼んだ。

「ああ」

ネクタイを緩めながら、リビングへ行くと、真行寺が冷蔵庫からチョコレートを持ってきた。

「昨日、型から抜いておいたんだ

丸い大皿に綺麗に並べられた、ハート型のチョコレート。ミルクチョコとホワイトチョコ…それに、ミルクチョコとホワイトチョコをミックスしたマーブルチョコ。
中には、アーモンドとピーナッツが入っている。

「へぇ…上手く出来てるな?」

「ふふっねぇ、食べよっ

「ああ、ありがとう」

三洲は皿から一粒摘み上げ、パクリ…。口の中で、甘く蕩けていくチョコレート。

「…美味しい?」

三洲の顔を覗き込むと、首の後ろを甘く引かれ…口唇を合わせられた。噛み砕かれたチョコレートのカケラが、真行寺の口内に届く…。

「…ん…んっ…ふ…」

舌を絡ませ合いながら、チョコレート味のキスを楽しむ…。口唇が離れると、

「…美味しいね

真行寺が嬉しそうに呟くと、三洲もコクリと頷き…再び、口唇を重ね合った。


~・~・~・~・~・~・~


ベッドに入る少し前の、ゆったりとした時間…。二人はソファーに腰掛け、またチョコレートを摘んでいた。

「ね、ね、このマーブル模様、意外とキレイに出来たと思わない!?我ながら、天才的っ」

ポイッと、口に放り込む。

「…真行寺にしては、まあまあだな」

三洲はクスッと笑って、一粒口に運ぶ。

「何~、もっと褒めてよぉ…あっ!」

「ん?何だ?」

「アラタさん、ちょっと待ってて

チョコレートに気を取られて、ウッカリ忘れるところだった。真行寺はバタバタと自室へ行き、土曜日に買ってきたプレゼントを持ちリビングへ戻った。

「はい、アラタさん…これ

三洲の手に、小さな包みを渡した。

「…何だ?これ」

「バレンタインだから…プレゼント

開けてみてよ

「…ああ…ありがとう…でも、俺は何も用意してないぞ?」

「あ、いいの、いいの。そんなことは気にしなくて」

「…そうか?じゃ、ありがたく頂くよ」

そう言って三洲は、渡された包みを開けてみた…。
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