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運命の赤い糸1 

運命の赤い糸1


祠堂を卒業してからも、ずっと続いている二人の関係…。真行寺がまだ祠堂にいて、三洲が大学へ進学してからも頻繁ではないが、二人は都合をつけて秘密の逢瀬を重ねていた。
ラブコールをしてくるのは、いつも真行寺で。あの祠堂の公衆電話から、週1・2回は三洲の携帯電話を鳴らしていた…。
三洲は大学進学と同時に一人暮らしを始めた。しかし、この一人暮らしを始めるまでに時間を要した。
三洲の母、理子が反対したのだ。祠堂を卒業すれば、また一人息子と同じ屋根の下で暮らせるものと思っていたからだ。
それに、ご飯を炊いたこともない息子が、一人暮らしをするなんて…想像したこともなかった。
祠堂卒業前…進路を決めた辺りから、一人暮らしの交渉を始めて…母親の反対を押し切り、大学から近い所のアパートを条件付きで借りたのだった。

その条件とは…。

『週末は実家へ帰って来ること』

いつまでも子供扱いされるのが、嫌な三洲だったが…一人暮らしをしたいのは、自分の我が儘だから…仕方なく、母の出した条件を飲んだ。
両親の前では常に、良い息子を演じていたが…そのことにも、もう疲れていたし。

それに、真行寺の存在もあったから…。

真行寺とは、祠堂にいた頃から『体だけの関係』で…今もそれを続けていた。

週末の夜、三洲の携帯に着信。相手は勿論…真行寺だ。

『あっ、アラタさん?俺っ

電話の向こうから、嬉しそうな声がする。

「…何だ、真行寺か」

相変わらずの、素っ気なさ。

『…何だって…酷いっすよぉ、アラタさん…』

寂しくて電話を掛けているのに…。
三洲のいない祠堂は、生き地獄と同じ。真行寺には、相当堪えているようだ。

「…何か用があって、電話したんだろ?言ってみろ」

『…会いたいっす…都合…つかないっすか?』

真行寺は正直だ。いつも、三洲にストレートな言葉をぶつける…。寂しそうな口調の真行寺につられて、はぐらかしながらも…約束を取り付ける。

「…来週なら会ってやってもいいぞ」

つい、仕方ないみたいな言い方になってしまう。

本当はそうじゃないのに。
真行寺と離れてみて、初めて気がつく自分の気持ち…。いつだって真行寺のことを忘れたことはない。心の中に棲みついたアイツを…。ただ素直になれない自分がいて、その度に真行寺を傷つけてしまう…。

『…ホント?ホントに会ってくれるっすか?でっ…あの…泊まっても…良いっすか?』

真行寺の声が気持ち、明るくなったような気がした…。

「…何だ、泊まるのか?」

『…あっ、ダメなら良いっす…今の…気にしないで下さい…』

言葉のひとつひとつに、余裕の無さが窺える…。

「…別に、ダメだって言ってないだろ?泊まりたかったら、勝手に泊まればいいじゃないか」

『…あ…ありがとうございますっ…嬉しいっす!』

三洲には見えていないが…真行寺は受話器を握りしめ、深々と頭を下げた。


~・~・~・~・~・~・~


そして、次の週末…。

都内の駅で待ち合わせをした二人。前回会ったのは、3ヶ月程前のこと…。三洲からは、絶対『会おう』とは言っては貰えないけど。真行寺の我が儘を聞いてくれる優しい人…。

綺麗な横顔を盗み見た…。前より痩せたような気がする。半袖から伸びた細い腕…華奢な手首に、重そうな腕時計。

「…ん?何だ?」

視線に気がついた三洲が、真行寺を見上げた。

「…あ、や…あの…アラタさん、少し…痩せたっすか?」

「…ああ…最近暑いせいで、あまり食欲がないから…痩せたかも知れないな…」

三洲が俯いて応えた。

「…ちゃんと、食った方がいいっすよ…夏バテしますって…」

無意識に三洲の細い肩に腕をまわすと、アッサリと振り払われた。

「…こんなに大勢人がいる所で、そんなことするなよ」

静かに言って、ジロリと真行寺を睨みつけた。

「…すんませんっ」

ずっと三洲に触れていなかったから…。電話の声だけでは満たされない。

もっと、三洲に触れたい…。

人目も憚らず、今ここで抱きしめて…キスしてしまおうか?
でも、そんなことをしたら間違いなく、三洲の逆鱗に触れてしまうだろう…。

「真行寺、雨が降ってきそうだから、急ぐぞ」

「…え?」

真行寺の手首を掴み、走り出す三洲。突然のことに、何が何だか分からない真行寺は、コケそうになりながらも三洲に手を引かれて行く…。
そう言えば、空が厚い雲に覆われている…。温く湿った風が、すぐそこまで雨を連れて来ているようだ…。
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