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運命の赤い糸15(完結) 

運命の赤い糸15(完結)


広いスクランブル交差点まで走って行くと、ちょうど帰宅のラッシュで交差点は信号待ちの人達で、ごった返していた。

「…相変わらず、すっげえ人だよなぁ…」

真行寺は背が高いので、他の人より少し頭が飛び出る。
信号が変わるのも、あともう少し…。こうして、待っている間にも結構濡れるのだ。

「…やべっ、俺…風邪ひくかも…」

ちょっと冷えてきたような…?

そんなことを思っているうち、信号が青に変わった。スクランブル交差点に、ワッと人が押し寄せて…一瞬で人の海になる。
僅かな人の隙間を縫うように走って行き…交差点の真ん中辺りまできた時、モスグリーンの傘を差した、紺色のスーツ姿の男性に目が止まる。
その男性は、男の真行寺でもドキリとしてしまう程に美しかった…。

急いでいたはずの足を止め、交差点の真ん中に立ち尽くす。そして…その美しい男性も、真行寺の視線に気がつき、立ち止まる…。

「…真行…寺!?」

美しい男性は、目を見開き…驚いた表情で名前を呼んだ。

こんなに美しい男性…そうはいない。

あの人以外は…。

これは…夢?それとも…幻?

「…アラタさん!?」

止まっていた心の時計が、今…動き出した。今までの…会えなくて辛かった日々が走馬灯のようにグルグルと駆け巡る…。

すごく会いたかった人…。

お互い固まったまま、見つめ合っていると、けたたましい程のクラクションに現実まで引き戻された。

「…アラタさん!こっち!!」

真行寺は咄嗟に三洲の手首を掴み、自分が今走ってきた方向へ逆戻りした。
ダッシュで交差点を渡り切り、肩で息をする…。三洲は真行寺に傘を差し掛けた。

「…ハァ…ハァ…っ、アラタさんっ…久しぶりっすね…」

「…ああ、元気だったか?真行寺…」

冷たくはぐらかすでなく、何だか…三洲の口調が優しかった。

…おまけに。

"アラタスマイル"炸裂

この微笑みは…何の意味?

アラタさんも…俺に会えて嬉しかったから?だから…笑ってるの?

会話と会話のほんの少しの間に、そんなことが思い浮かぶ。

…そうだと良いのに。

目の前にいる三洲を、今ここでギュッと抱きしめたいけど…その気持ちをグッと胸の奥に押し込めて。

「見ての通り、俺は元気っすよ!…アラタさん、今帰りっすか?」

「そうだよ。取り敢えず、真行寺…手を離してくれないか?」

言われて、手元を見れば…交差点の真ん中から、ずっと三洲の手首を掴んだままだった…。
ただ無意識に、もう離したくないという気持ちが働いたからなのかも知れない…。

でも、些か…。

やっべーーーーーっ!

真行寺の表情が、赤くなったり、蒼くなったり…コロコロ変わるのを見ていた三洲は、可笑しくてクスクスと笑っていた。

「ああっ!すんませんっ!」

真行寺は慌てて手を離すも…ぼんやりと赤くなった三洲の手首に手を伸ばして、

「…ごめんね、アラタさん…痛かったよね?」

三洲の左手を取り、赤くなった手首を摩る…。
久しぶりに、真行寺の手の温もりを感じて三洲は

「…大丈夫だから、気にするなよ…」

柔らかい口調で応えた。

雨も降るし…話したい事もいっぱい…。こんな所で立ち話も何だしと、真行寺から三洲を誘ってみる。

「…アラタさん、もし良かったら…ちょっと、お茶しません!?」

ちょっと遠慮しがちに、問い掛けてみた。こんな天気だし、仕事で疲れていて早く家に帰りたいかも知れないけど…。

でも、三洲は…。

「ああ、構わないよ」

すんなりとOKしてくれたのだ。

「やりィッ!」

嬉しさのあまり、思わず胸の前で、それでも控えめなガッツポーズをした。

この時はまだ知らない…真行寺。

後に、三洲から告白され…一緒に暮らそうと言われることなど、微塵にも思っていなかった。
お互いの居所が分かった…ただ、それだけで嬉しいのに。
この再会で、今までの一人暮らしの生活にピリオドを打ち…二人で新しい生活をスタートすることになる…。



そして、一ヶ月後。

真行寺は三洲の住むマンションへ引越した。荷物はかなり減らしたが、それなりにある。片付けは少しづつやることにして…。

「ねぇ、アラタさん…今夜一緒に寝させて貰っても良いっすか?荷物いっぱいで…寝れないっす」

自分の枕を抱えて、真行寺が立っていた。

「…しょうがないな…来いよ」

うっかり出てしまう言葉だが、しょうがないなんて、思ってなんかいない…。このベッドは二人で使う為に買い替えたのだから…。

「お邪魔しまっす…このベッド、寝心地良いっすよね~

三洲の隣に枕を置き、ベッドに滑り込む…。

「…なぁ、真行寺」

「ん?何すか?」

「…これから、ずっと…ここで寝て良いんだからな…」

三洲は『お前が好きだ』って、言ってくれた…。つまり、夢にまで見た両思い。

「…え…ホント!?…って、アラタさん…背中向けないでよ

真行寺は三洲の体に腕を回して、体を密着させる…。

「…う…うるさいなっ」

これから、ずっと一緒なのかと思ったら…何だか、照れくさい。真行寺に抱きしめられている背中が、ほんわかと温かい…。

「…アラタさん、大好き

三洲の耳許で囁く…。

「…くすぐったい、真行寺…引越しで疲れてるだろ?早く寝ろよ…」

「…もぉ。こんな状況で寝れる訳ないじゃん…。アラタさんを抱く体力くらい…まだ残ってますー

三洲の少し痩せた体に、真行寺の温もりが伝わり…とても心地好い。

「…なんだよ…したいのか?」

分かっていたけど、聞いてみた。

「アラタさんは…したくないっすか?俺は、これから毎日だって…」

真行寺は三洲を更に、ギュッと抱きしめた…。

「…毎日なんて…無理に決まってるだろ?…結構、キツイんだからな…」

「…分かってるよ…でも、それくらいアラタさんのこと…好きだから、俺…。それに、今夜は同棲初夜だからふふっね…ダメ?」

「…同棲初夜?何だ、そりゃ?別に、今夜じゃなくても良いだろ?…おやすみ、真行寺」

冷たく引き離してみても、やっぱり食い下がる真行寺。今夜だけは、どうしても譲れないらしい…。

「もぉ…。初夜は今夜しかないんだよ?俺、会えない間…ずっと我慢してきたんだから…」

「…我慢してきたのは、お前だけじゃない。…俺もだよ」

真行寺に自分の気持ちを打ち明けたのだから、これくらいのことは正直に言っても良いだろう…。これから、ちゃんと付き合っていくと決めたのだから…。三洲は、真行寺の方に向き直る。

「…アラタさん?」

真行寺の髪をクシャリと撫でて、クスッと笑いながら

「…全く、困ったヤツだな。その代わり…明日、朝飯作れよ?」

…それって、OKってこと?

「…じゃあ…良いの?」

「…いちいち聞くなよ…恥ずかしいヤツだな…」

真行寺の頭を引き寄せ、そっとキスをした…。これから少しづつ、会えなかった日々の隙間を埋めて行ければ良い…真行寺と二人で。

「…朝飯だけじゃなくて…昼も夜も…俺が作ってあげるアラタさんの為なら、俺…何だってやるよ

口唇が離れてから、真行寺が言った。

「…言ったな?…しっかり聞いたからな、ふふっ」

「…うん…アラタさん、大好き

二人は見つめ合い…もう一度、口唇を重ね合う…。記念すべき『初夜』は、甘く…そして、熱く過ぎて行った。

赤い糸の先が、貴方で本当に良かった…。


fin.
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