FC2ブログ

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

夏祭り8 

夏祭り8


「…大丈夫だろ…?二階には俺達しかいないし…」

シングルベッドのシーツに、皺がないのは不自然だと思い…狭いけれど、二人で寄り添う…。

「そうだよねっ!?アラタさん…すっげ、キモチ良さそうだったし~ふふっ…いてててっ!」

「うーるーさーいっ」

三洲は恥ずかしくなり、真行寺の頬をむぎゅっと引っ張った。

「もぉっ!痛いってばっ!」

「…俺のことばかり言うなよっ」

それを聞いた真行寺は嬉しそうに、

「俺だって、キモチ良かったよっふふっ

三洲を抱き竦めた。

「…苦しいだろっ。お前、これっぽっちも緊張してないじゃないか…」

場所が場所だから、それでも少しは遠慮すると思っていたのに。

「あっ、そうだ!綿菓子、綿菓子…食べよっ?」

話なんか、聞いちゃいない。真行寺はベッドから手を伸ばして、綿菓子の袋を取った。上半身を起こし、綿菓子を袋から取り出すと、

「ほら、アラタさんも起きて」

せっかく横になったのに…起きろだと?

「…なんだよ」

三洲はブツブツ文句を言いながらも、そのケ怠い体を起こした。

「はい、お先にどうぞ

真っ白い雲みたいな綿菓子を先ず、三洲に差し出した。それを指でちぎって、口へ運ぶ…。

どこか懐かしくて、優しい甘さ…。口の中で、すーっと溶けてなくなっていく。
子供の頃、お祭りの度に買って貰ったのを思い出す…。

「…アラタさん?」

黙り込む三洲を見て、真行寺が声を掛けた。

「…子供の頃を思い出したよ」

年を重ね…大人になっていくにつれて、忘れてしまうことがある。子供の頃に見ていた風景…。夏の太陽のように、キラキラした思い出たち…。

いつの日も一人じゃなかった。

そして、今も…。

「懐かしい味だよね?」

「綿菓子なんて、子供の食べ物だと思ってたけど…たまには良いな?ふふっ」

「そうだね

これもまた、買った張本人の真行寺が殆どを平らげた。三洲は先に横になり、甘く微睡む…。

「ねぇ、アラタさん?エアコン消す?」

冷房が苦手な三洲を気遣い…聞いてみた。今年は節電というのもあるし…。

「…お前、暑いだろ…?タイマーにしとけよ」

「…アラタさん、大丈夫?寒くない?」

夏だというのに、変な会話…。

「…俺ならいいよ…お前がいるから…」

もし寒かったら…真行寺に縋り付けばいいのだ。まあ、その前にタオルケットもあることだし。

夏風邪は多分、ひかない…と思う。

「…じゃ、寝よっか」

エアコンのタイマーをセットして…ベッドに潜り込む。

「…うん」

いつものように…真行寺の胸に凭れて、眠りに落ちていく。

居心地の良い、真行寺の腕の中…。


~・~・~・~・~・~・~


翌朝、三洲が起きてキッチンに行くと、理子が朝食の支度をしていた。

「おはよう、母さん」

「あ、おはよう。よく眠れた?」

「…ん…まあね…」

三洲はちょっぴり言葉を濁した。昨夜は、真行寺と…色々あったとは言えまい。

「何か、ゆうべ二階から声が聞こえたから…。まだ起きてるのかなって思ったの。ほら、パパも出張でいないでしょ?ママも、ゆうべは早めに休んだんだけど…。二人でいつも夜更かししてるの?」

理子との何気ない会話だが。

声が聞こえた!?俺の声…?俺、そんなにデカイ声出したか?

…ヤバイ。

三洲は顔色こそ変えてはいないが心の中は、もはやパニック状態…。

「…夜更かしは…たまにするくらいだよ…。それに、ほら…昨日は祭りで隣の家とかも、遅くまで騒いでたんじゃないの?」

隣の家の人が騒いでいたかどうかは、実際のところ知らないが…。三洲は取り敢えず、思いついた言葉を並べた。

「…そうかしら?お隣りさん、そんなに騒がしかったの?」

「…う、うん…騒がしかったよ?ね、母さん…俺、真行寺起こしてくるよ」

今日はヤケに絡んでくる理子。面倒なことになる前に逃げる。

「あっ、あーくん?」

理子は心なしか、慌てている様子の息子の背中を見送った。
三洲は自分の部屋へ戻り、まだベッドで寝ている真行寺を揺り起こす。

「おいっ、真行寺っ!」

「…ん…ん~…」

「起きろっ!真行寺っ」

真行寺が中々起きないので…頬をピタピタ叩く。

「…ん…もぉ…痛いーっ」

眉間に皺を寄せて、仕方なく起き上がると…、

「…アラタさん…もっと優しく起こしてって言ったじゃん…ふぁぁぁ…」

言いながら、デカイ欠伸をした。
スポンサーサイト

- 0 Comments

Leave a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。