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夏祭り9 

夏祭り9


「…聞こえてたらしいぞ」

「…え?…何がぁ?」

目を擦りながら応えるが…昨夜、ちょっぴり気にしていたことを思い出した。

「え゙っ!ちょっ…まさかっ…聞こえてたって…アラタさんの可愛い声っ!?」

「ばかっ!」

「いてっ!」

真行寺の頭をひっぱたいた。

「可愛い声とはなんだっ!?」

可愛い声など出した覚えはない。だいたいヤッてる最中に、そんなこと意識していないものだ。

「もぉ…叩かなくたっていいじゃんっ…俺には、可愛い声に聞こえたのっ!つーかさ、話の矛先おかしくね?」

「とにかく!母に聞かれたら、隣の家が騒がしかったと言え。俺はそう誤魔化したからっ」

三洲はいつになく必死だ。
真行寺は不謹慎にも、そんな風に慌てる三洲を見て可愛いと思ってしまった。

「アラタさん、可愛い

むぎゅっと抱きしめた時。

コン、コン。

ドアにノック。その瞬間、三洲は真行寺を突き飛ばしドアの前まで行くと、

「はい」

何もなかったように、ドアを開けた。

「真行寺君は起きたの?今、何だか騒がしかったみたいだけど…」

理子は三洲の肩越しに、部屋の中を覗いた。

「あ…真行寺が中々起きなかったからさ…で、何?母さん」

「朝ご飯食べるわよね?トーストがいい?それとも、ご飯にする?さっき聞こうと思ってたら、あーくん二階に上がっちゃったから…」

「…あ、あぁ…ごめんね。トーストで良いよな?真行寺」

三洲が理子と話してる間に、真行寺は着替えを済ませた。

「お母さん、おはようございますっ」

「おはよう、真行寺君。よく眠れた?」

「あ、はい…おかげさまで…あ、隣の家が、騒がしかったですっ」

「え?」

「真行寺っ」

せっかく忘れかけていたのにっっ!

三洲は真行寺の脇腹に肘鉄を食らわせた。

「やっぱり、お隣りさん騒がしかったのね?」

理子はふふっと笑って、

「真行寺君はトーストで良いの?」

「…あっ、はいっ、あのっ、お母さんっ…俺、手伝います!」

「…え?」

「手伝います」なんて、一人息子からも言われたことのない理子。真行寺は他所様の子だけど、言われたら何だか嬉しい。

「色々お世話になったし…その…お礼ですっ、お礼…」

「ホント!?嬉しいわじゃあ、キッチンで待ってるわね

理子は嬉しそうに階段を降りて行った。


~・~・~・~・~・~・~


「真行寺君って、手際が良いのね~」

食材の扱い方といい、包丁捌きといい…大きい手の割には、しなやかな指先…。何だか、とっても魅力的。

「仕事から帰ると、俺もアラタさんも腹ぺこだから、早く食べたくて…。そのクセがついたのかも。ふふっ

理子と真行寺が楽しそうに朝食の支度をしている…。微笑ましい光景なのに、三洲は…ちっとも面白くない。

「もしかして、ちゃんと作ってるの!?」

「はい。たまにはお惣菜買うこともあるけど…やっぱり手作りが美味しいっすよね、お母さん

「偉いのね~、真行寺君」

三洲は二人を横目で見ながら、トースターに食パンを突っ込んだ。

「あ、ねぇ、あーくん?お皿出して」

「は~い…」

面白くなさそうに返事を返すと食器棚から、お皿を三枚取り出してテーブルに。むっつり黙っているのも何だし、取り敢えず何を飲むか聞いてみる。

「母さんはコーヒー?牛乳?」

「…そうねぇ…ママは牛乳にしようかしら?」

「うん、分かった。真行寺は、コーヒーだよな?」

聞かなくても分かるけど、一応聞く。

「うんコーヒーでいいよ

ニコッと笑った真行寺を見たら…。苛々していた気持ちが、何だか和らいだような気がした…。

俺も相当、真行寺にヤラれてる…。


そして、朝食が出来上がり…。三人で食卓を囲んだ。

「いただきま~す」

「いただきます」

「美味しそうだわいただきます」

理子は真行寺が作ってくれた、ふわふわのオムレツを早速食べてみた。

「わっすっごく美味しい!」

「そうっすか!?冗談でも、嬉しいっす、お母さん!」

「ヤダ、冗談なんかじゃないわよ。あーくん、毎日こんな美味しいもの食べてるの?ママ、羨ましいわ」

大絶賛な理子。

「ふふっ、そんなに羨ましいの?母さんの料理だって美味しいよ」

そうは言ってみても…。
今は「おふくろの味」より、「真行寺の味」の三洲であった…。
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