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夏祭り10 

夏祭り10


「ねぇ、真行寺君。今度、パパがいる時に作ってほしいわ~」

「…え…でも、お父さん…俺の料理食べたいっすかねぇ?」

お父さん…これまた緊張する。

調子づく理子に三洲は、

「母さん、真行寺が困ってるだろ?もう、それくらいにしときなよ…」

言って、コーヒーを啜った。

「…だって、すごく美味しいんだもの。パパにも食べさせたかったわ…。あ~、真行寺君が女の子だったら、あーくんのお嫁さんになってもらうのに…」

それはもう、残念そうに言い放つと…。

「!?」

ケホッ!ケホッ!

「あら、ヤダ。あーくん、大丈夫?」

「大丈夫!?アラタさんっ」

真行寺は急いで、三洲の背中を摩る。理子の信じられない言動に、一人息子はむせ返ってしまった。涙目になりながら、

「か、母さんっ!変なこと言わないでっ!」

天然なのか、本気なのか分からないが…。これを聞いた真行寺は、何だか嬉しそうだ…。

「ヤダ~、冗談よ。ふふっ

「ねぇ、お母さん?俺、マジでアラタさんのお婿さんになろうかななんちゃってぇ」

真行寺まで理子に便乗する始末…。

「うふふヤダ~、真行寺君ったら面白い子ねぇ?あーくんのお婿さんになるの?ふふっ

真行寺は、かなり本気で言ったのだが…。ちっとも本気にしない理子だからこそ言える冗談…。ホントは冗談じゃないけど…。

カナシイ…。

かたや、三洲は内心ヒヤヒヤしながら二人の会話を聞いていた。真行寺はかなり調子に乗っていて、ある意味ヤバイ…。ここらで話題を変えなければ…。

「ねぇ、母さん。話は変わるけど、父さんはいつ帰ってくるの?」

どうでもいい話題だけど。とにかく、その話から離れたい三洲。

「パパ?パパは今日の夕方には帰ってくるって言ってたわ」

「…大変っすね、お父さん」

「仕事だから、仕方ないわ…。ねぇ、真行寺君。さっきの話、考えといてね?」

「…え?」

「…母さん、しつこい。その話はもう終わりっ」

せっかく話をはぐらかしたのに!どうして戻るんだっ?

そんな三洲の心の叫びは、理子に届いているのか分からないが…。理子もよっぽど、真行寺の料理の味を気に入ったのだろう…。

でも。

そんなにやすやすと真行寺は貸さないからなっ…。

「いいじゃないの~」

「ダ~メッ!」

もうオシマイ。


~・~・~・~・~・~・~


賑やかな朝食タイムも過ぎて、理子は買い物に出掛けた。三洲家には三洲と真行寺の二人きり…。真行寺が朝食の後片付けを買って出たので、三洲もその手伝いをしていた。真行寺が洗った食器を拭きながら、

「…全く、母も母だが…お前もお前だ。バレたらどうするつもりなんだ?」

「ごめん…でも大丈夫だよ、お母さんも本気にしてないみたいだしさ。まあ、するわけないけど…だけど、俺…冗談でも嬉しかったよ?」

「真行寺…」

「だって、普通なら凍りついちゃうような話なのに…楽しそうに笑ってくれたから。お母さん、良い人だよね」

真行寺は笑うけど…どこか悲しげ。

「母は天然だからな…ふふっ。…でも、お前。母と仲良くし過ぎだ」

「…え?」

「俺のことはそっちのけで、母と二人で盛り上がってさ…何なんだよ?お前は熟女好きか?」

「…アラタさん?…もしかして~…妬いてるの?」

ニヤニヤしながら、三洲の目を真っ直ぐに見た。

「…うるさいなっ」

ぷいっと横を向くと、

「ふふっアラタさん、可愛い

ぎゅうっと抱きしめると、腕の中で姫君が暴れ出した。

「おいっ、服が濡れるだろっ!?濡れた手で触るなよっ!離せっ」

「ヤ~ダ服なんて、すぐ乾いちゃうから、いいじゃん俺ね、お母さんのことも好きだよ?だって…アラタさんを産んでくれた人だから」

その一言で、動きが止まる…。

離せなんて言っておきながら、離れられない三洲…。居心地が良すぎて、気がつけば真行寺の背中に腕を回していた…。
こうしていると…やっぱり落ち着く。ずっとこうしていたいけど、理子が買い物から帰ってくるから程々にしておかなければ…。

だから、今のうちに…。

「…真行寺」

上目遣いで真行寺をジッと見て、誘いを掛ける…。

キスしてほしいから…。

「…アラタさん…大好き

真行寺の口唇が、三洲の口唇へと柔らかく触れた…。
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