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青空2 

青空2


着替えを済ませて、リビングにきた三洲はソファーに腰掛け、封筒に鋏を入れた。
真行寺は、キッチンで夕飯の支度をしながら、その様子を窺う…。
定型外の封筒から、二種類の白い封筒を取り出して、三洲は先ず手紙から目を通した。

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

三洲さんへ

前略。暑い毎日が続いておりますが、如何お過ごしでしょうか?
早いもので、僕が会社を辞め、旅館を継ぎ始めてから一年が経とうとしています。
実家に帰った頃は、今までに経験のない事ばかりで、悩んだ日もあり、とても不安でしたが…今では、僕の役目である旅館の支配人も、だいぶ板についてきました。
学ぶ事は、まだまだありますが…毎日を楽しく過ごしています。

僕の近況は、これくらいにして…。

今回、お手紙を書かせて頂いたのは、三洲さんへ報告することがあるからです。
私事ではありますが、春に結納を交わし、この秋に結婚をする運びになりました。
相手は高校の同級生です。僕としては、結婚はまだ早い気もしますが…。母も年ですし、若い僕たちが旅館を守って行かなければなりません。
彼女も今、女将の修業に励んでいます。
今まで親に心配を掛けてきた分、恩返しをするつもりで彼女と二人で頑張って行こうと思います。

つきましては、11月に予定しています結婚披露宴に、三洲さんと真行寺さんを招待したいのです。
誠に勝手ながら、土日は旅館の方が忙しくなる為、披露宴は平日に執り行います。
遠方で大変申し訳ないのですが、もし出席して頂けるのなら、費用はこちらで持ちます。
招待状も同封させて頂きました。その中に返信ハガキが入ってますので、お手数ですが記入をして頂き、ポストに投函して下さい。

僕のことばかりで申し訳ありません。
三洲さん、真行寺さんと仲良く暮らしているんでしょうね?
実際に見た事はありませんが、仲睦まじいお二人の姿を僕は想像出来ます。
お二人を見習い、僕たちも暖かい家庭を築いて行きたいと思います。(生意気言ってすみません)

それでは、お返事お待ちしてます。

残暑が厳しいですから、お体に気をつけて。

広瀬啓介より

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫


手紙を読み終わり、もう一つの封筒を手に取る。宛名には、連名で三洲と真行寺の名前が、筆ペンで丁寧に書かれていた。

食卓の準備をしながら、真行寺が三洲に聞いてみる…。

「…広瀬さん、何だって?」

「広瀬、結婚するらしいよ。招待状も同封されてる」

三洲は、フワリと微笑んで応えた。

「へ~!広瀬さん、お嫁さん貰うんだね?めでたいじゃん!…ん?招待状って、福岡で結婚式だよね?」

「…ああ、そうだよ」

「アラタさん、勿論出席するでしょ?日帰りはキツイよね?あ、送迎は任せて!」

「…お前も行くんだよ」

「…え?俺も?」

真行寺がポカンとしていると、三洲が招待状と手紙を真行寺に差し出した。

「ほら」

招待状の封筒を見ると、確かに。

三洲 新様
真行寺 様

と、書いてある。

「広瀬は、真行寺の下の名前を知らないから…名字だけ。ふふっ」

「…あ、そっか。ねぇ、アラタさん?」

「ん?」

「…俺の下の名前、何だっけ?」

あの頃からずっと、頼んでも呼んでくれない真行寺の下の名前…。
真行寺は、憎たらしいくらいにニヤニヤしている…。

「…ん?知らないね」

三洲は意地悪く微笑み、トボけた振りをした。

「あっ!ヒドッ!知ってるくせに~!呼んでよぉ~」

「今更、呼ばない。真行寺は【真行寺】でいいだろ?贅沢言うな」

「贅沢じゃないよーっ!」

下の名前で呼んでほしいのに…。

…兼満って。

「真行寺、腹が減った」

「もぉ…意地悪っ…すぐ話を逸らすんだからぁ…」

真行寺は口を尖らせるが…そんなことなど、そっちのけで三洲は話を進めて行く。

「…一緒に行ってくれるだろ?披露宴、11月4日の金曜日。土日は泊まり客が多くて忙しいから、平日なんだそうだ…」

「…ホントに俺も出席して良いの?」

「これ、読んでみろよ」

三洲に手紙を手渡された。躊躇いがちに、それを受け取り…、

「…え?読んで良いの?」

「いいよ」

読まれて困ることは、何も書いてない…。真行寺は、渡された手紙を読み始めた。
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