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青空16 

青空16


「もしもし、こんばんわ…真行寺です」

『あ、ご無沙汰してます。広瀬です』

広瀬と喋るのは、一昨年以来?三洲が忘年会で酔い潰れてしまったからと、真行寺の携帯に電話してきたのが広瀬だった。

「あ、あの、この度はご結婚おめでとうございますっ」

思わず、頭をペコッと下げた。

『ありがとうございます』

「俺まで招待して貰っちゃって…すんませんっ」

『いえいえ。仲良しのお二人ですから…離れ離れでは寂しいですもんね?それにもし、三洲さんがまた酔い潰れたら困りますから…あははっ』

悪戯っ子のように、無邪気に笑った。

「あははっ、そうっすね」

二人でいったい何を話して笑っているのか…?三洲は気になりながらも、テーブルの上にある真行寺の飲みかけのビールに手を伸ばし、一口呷った。

真行寺はここぞとばかりに、広瀬にお願いをする。

「広瀬さん。俺、福岡初めてなんすけど~、噂で聞く博多の屋台に行ってみたいっすぅ

『あははっ、良いですよ。喜んでご案内させて頂きます』

「やりィ!」

また思わず、ガッツポーズ。
初めは緊張気味で話していても、人懐っこい真行寺は誰とでもすぐに仲良くなれてしまう。それが真行寺の良い所なのだが…。そんな姿を横目で見ながら、三洲はちょっぴり羨ましくて…、憎らしくて…。

「…何話してんだ?まったく…」

それでも、二人の会話が終わらず…。

「楽しみだなぁ…俺っ

『俺も楽しみですよ。久しぶりにお二人に会えますし。博多の屋台も、今はたまにしか行けないので…。真行寺さん、お酒はイケるクチなんですよね?』

「勿論っすよ~!広瀬さんは!?」

『ええ、俺もイケます。まぁ、沢山は飲めないですけどね…ふふっ。真行寺さんはザルだって、三洲さんに聞きましたよ?』

「えぇっっ!?…ちょっ、アラタさんっ!」

突然、巻き込まれて…何のことやら分からない。

「…なんだよ、いきなり」

「広瀬さんにヘンなこと吹き込んだっしょっ!?」

「…ヘンなこと?何のことだ?」

急に言われても、思い当たらない…。

「俺、ザルじゃないよぉーっ!」

ザルと聞いて、思い出した。広瀬に以前、そんなことを言った気がする。飲みの席で…。

それを広瀬が言ったんだな?

「…ふふっ…あははっ!」

「あーっ!また笑ってるっ!ヒドイよ、アラタさんっ」

その仲の良いやり取りを、電話口で聞いていた広瀬も悪いと思いながらも、大笑いしてしまった。
電話から漏れ聞こえてくる、広瀬の笑い声に気がついた真行寺は携帯を指差して、

「広瀬さんまで笑ってるじゃん!」

「だって、ホントのことだろ?お前ザルじゃないか…あははっ!」

「どうせ言うなら、もうちょっとカッコ良く言ってよ…」

真行寺は項垂れて、携帯を三洲に手渡すと、テーブルの上のビールに手を伸ばした。

「…ん?あれ?」

さっき半分程残しておいた筈のビールが…空っぽ。どうやら、広瀬と盛り上がってる時に三洲が飲んでしまったらしい…。

「なーーーーーいっ!」

そんなことはお構いなしの三洲は、広瀬と再び話をしていた。

「悪かったな、見苦しいところを聞かせて…」

少し照れながら話すと、

「いいえ、そんなことないですよ。ホント、お二人は仲が良いんですね?羨ましいです…ふふっ」

「いつもこんな風なんだよ、俺達は。でも…結構、楽しいんだ」

滲み出る、幸せ…。

「はい、はい。ご馳走様です…ふふっ」

終始、広瀬にはからかわれていた気もするが…。それでも一時間程、話しただろうか?広瀬も色々大変な中、わざわざ電話をくれて…。それに比べて、自分はちっとも気にしてあげてなかった…。閉じた携帯を見つめながら、そう思った。

そう言えば。

「…なあ、真行寺。さっき広瀬に何か頼んだのか?」

冷蔵庫から、またビールを出して飲んでいる真行寺に話を振った。

「んー?…うん、博多の屋台連れてって貰おうと思って、案内を頼んじゃったよ

「…まったく、お前は図々しいな?少しは遠慮したらどうだ?」

「えーっ…だって、こんなチャンス滅多にないじゃ~ん!美味しいものいっぱいあるんだってよ

「食いしん坊!ふふっ」

食べることに目がない真行寺。生きて行く上で大切なことだが…。それにしたって、女子並にはしゃぎ過ぎてないか?

「なあ、真行寺」

「ん?」

「俺にもビールくれよ」

「あ、うん…ちょっと待ってて」

冷蔵庫からビールを出そうとすると、

「…お前のでいい」

「え?これ、もうちょこっとしか入ってないよ?」

「ちょっと飲みたいだけだから、それでいいよ」

回し飲みも最近、全く気にならなくなった三洲は、真行寺から渡された飲みかけのビールに口をつけた…。
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