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青空19 

青空19


福岡で有名なものと言えば…。
明太子、博多ラーメン、もつ鍋、餃子…挙げればキリがなく、美味しそうなものばかり。
今は、お取り寄せとか便利なシステムがあるのだが…。やっぱりその土地で、本場の味を堪能したい。

三人は福岡でも有名なもつ鍋の店に入り、座敷で鍋を囲んでいた。
今週の福岡は日中の気温が高く、まるで夏日。こんな時に鍋物では、汗ダクになりそうだが…それがまた良いのだ。
やはり料理は、温かいものは温かく、冷たいものは冷たくして頂きたいものだ。
目の前の鍋には、これでもか!という程の韮の山…。主役の牛もつは、この下にあると思うが…その姿は見当たらない。

「…早く食べたいなぁ」

空弁を阻止された真行寺の空腹度は、とっくの昔からマックスに達している。
鍋を目の前にして、ボソッと呟くと広瀬が空かさず相槌を打つ。

「…そうですね、俺も腹ぺこだから早く食べたいですよ。でも、お二人に久しぶりに会えるのかと思ったら、ちょっと緊張しちゃって…朝ご飯少ししか摂れなかったんですよ?ふふっ。韮がしんなりとしてきたら、食べ頃ですよ?真行寺さん」

「はい

韮がしんなりとするまで、もう少しだけ我慢、我慢…。喋っているうちに鍋も煮えてくるだろう…。

「それにしても、今日暑いくらいっすね?」

「ええ。今週は何かずっと、こんな感じですよ?でも、朝晩は気温が下がりますけどね…。そう言えば真行寺さん、温かそうな上着を着てましたねぇ?ふふっ」

「え?…ああ、暑くて脱いじゃった…へへっ」

空港に着いて広瀬の車に移動する際、外は夏を思い出させるような陽射しで、ちょっぴり汗ばんだので…即座に脱ぎ、広瀬の車の中に置いてきたのだった。

「…だから、まだ冬じゃないって言っただろ?」

三洲が横から口を挟んだ。

「…だってぇ…着てきたかったんだもん」

大好きな三洲から貰った、お気に入りの一着だから…。ちょっぴり、皆に自慢したかった。

「真行寺さん、夜はあの上着でちょうど良いと思いますよ?屋台、行きますよね?ふふっ」

そうだ!そうだよ!そのための上着だった。昼間はどうとしても、夜だよ、夜。

「勿論っすよ!俺、それをすごく楽しみにしてきたんすからぁ!…いてててっ!」

その言動に呆れた三洲は、真行寺の耳朶を引っ張った。

「お前、今回福岡に来たのは広瀬の結婚式の為だろ!?忘れるなっ。屋台はなぁ、その序でだっ!広瀬に謝れっ」

そんなつもりで言った訳ではないのだが…三洲に怒られてしまい、真行寺は慌てて広瀬に「すんませんっ!」と言って、頭をペコリと下げる。

「広瀬、済まないね…こんなヤツも招待して貰っちゃって…何だか、申し訳ないよ」

真行寺を睨みつけながら厭味っぽく言うと、

「あははっ。そんなこと気にしないで下さい。俺は、お二人に来てほしかったから招待したんです。屋台行くのも楽しみなんですよ、俺。三洲さんも真行寺さんも、福岡を楽しんでって下さいね?…あ、そろそろ…食べ頃ですよ」

立ち込める美味しそうな匂い…。広瀬が取り分けてくれた器を受け取る。

「ありがとう」

「ありがとうございますっ…。うわっ美味そう

「…さ、食べましょ?真行寺さん、お待たせしました…ふふっ」

広瀬のフォローで、一瞬澱んだ空気も何とかクリアーになり、楽しい雰囲気に戻った。

「広瀬さんっ、このもつ鍋、すっげ…美味いっす!もつがプリップリ

「やっぱり、本場は違うよな?このスープも、体に良さそうな味がするよ」

二人とも、大絶賛。

「それは良かったです」

広瀬も二人が喜ぶ顔を見て、一安心。

「空弁やめて正解だっただろ?真行寺」

もつ鍋を食べるのに夢中な真行寺は、あんなに食べたかった空弁のことはもうスッカリ、スッキリ忘れていた。

「…え?」

三洲に突然言われて、箸の動きが止まった。

「満腹だったら、こんな美味いもの、沢山食えないだろ?」

…そうか。

この人の言うことは、間違っていなかった。冷えた空弁より、こっちの方が断然…良いに決まってる。

「…うんそうだね

でも、真行寺の場合…。空弁を食べたとしても、もつ鍋を普通に平らげそうな気がする…。

なぜなら…、真行寺は食いしん坊大将だからだ。
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