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青空20 

青空20


三人で昼食を済ませて、広瀬の実家が経営する旅館へ向かう車中…。

「ウチはチェックインが正午なんです」

だいたい14時とか15時というのが一般的であるが…。わざわざ遠くから来てくれるお客の為に、少しでも早くゆっくりと寛いで貰えるように、先代が時間を早めにしたのである。因みに、チェックアウトも正午なので、時間までゆったりと過ごせるのだ。

「へぇ、早いんだな?」

「はい。だから、着いたらゆっくりして下さいね?」

車のルームミラーで、後部座席の二人に視線を合わせた。

「…あの、広瀬さん」

「はい?」

真行寺が、ちょっと遠慮がちに話し掛けた。真行寺が何を言いたいのかは、だいたい察しがつく…。三洲は真行寺の隣で、それを黙って聞いていると…。

「…露天風呂って…あります?」

ああ、やっぱり…。いくら水系が好きでも、程があるだろうに。

「ありますよ。全室ではないんですが…。お二人に泊まって頂くお部屋には、設置されてます」

それを聞いた真行寺の表情が、数倍明るくなる…。

「マジで!?やりぃっ!良かったね、アラタさん!一緒に入ろうねっ

「…はあ!?」

三洲は眉間に深~い皺を寄せた。

二人だけの会話ならまだしも…。広瀬の前で言うなっっ!恥ずかしいヤツ!家にいる感覚で言いやがって…。三洲は、ちょっぴり頬を赤く染め…でも、不機嫌な表情をして、

「ひとりで入ればいいだろっ?俺はいいっ」

「えぇっ!?何で~っ!?」

「うるさいなっ」

二人のやり取りを、運転席で聞いていた広瀬は耐え切れず…、

「…ふふっ…あはははっ!」

失礼かと思いつつ…、電話の時と同様、大笑いしてしまった。

「ほらっ!笑われたじゃないかっ」

「いてっ!」

グーで真行寺の蟀谷を小突いた。

「まあ、まあ…いいじゃないですか。お二人を見てるとホント…和みます。仲が良いというか…。いつも賑やかで、楽しそうです。ふふっ」

「はいすっげ、楽しいし…ラブラブっす

広瀬に言われて、嬉しくなった真行寺はまたも調子に乗る始末…。そして、怒ることもバカバカしくなった三洲は、もうどうにでもなれ!と、溜め息をひとつ…。
車は中心街を抜けて、落ち着いた街並の中をひた走る…。そして見えてきた一軒の温泉旅館。その佇まいに驚く…。地上5階建ての立派な建物。玄関の前に車を停めた。

「着きましたよ」

「ありがとう」

「ありがとうございますっ」

三人は車から降りて、玄関まで行くと仲居達が出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ」

一列にズラリと並び、お辞儀をされ…不慣れな光景に、ちょっぴり戸惑う。

「こちらへどうぞ」

この場は、広瀬が仲居の代わりに案内した。まずは、フロントへ…。

「いらっしゃいませ」

フロント係の女性従業員が挨拶をした。

「こちら、三洲様と真行寺様です」

広瀬がフロント係の女性従業員に声を掛けた。女性従業員はパソコンで二人の名前を確認すると、

「はい……三洲様、真行寺様ご予約承っております。当旅館をご利用頂き、誠にありがとうございます。こちらの宿泊カードにご記入お願いします」

「お世話になります」

宿泊カードとペンを差し出されて、記入をしようとすると広瀬が、

「あの、記入が済んだらあちらのソファーに座って待ってて貰えますか?すぐ、戻って来ますから」

「…ああ、わかったよ」

広瀬は奥へと引っ込んで行った。宿泊カードを書き終えて女性従業員へ手渡すと、

「ありがとうございます。お部屋は三階の302号室の「桔梗の間」になります。お部屋には露天風呂もございますので、どうぞご利用下さいませ。こちらがお部屋の鍵です。当旅館は全室オートロックですので、お出掛けの際は鍵をお持ちになって下さい。では、支配人が来るまでもう少々お待ち下さい」

「はい、ありがとうございます」

三洲は鍵を受け取り、真行寺と二人でソファーに腰掛けて、広瀬が来るのを待っていた。

「…ね、ねっ、アラタさん。早く露天風呂入りたいねっ

「…お前、そればっかだな?」

「いいじゃんっ。ねぇ、一緒に入ろうよぉ…」

…まったく。コイツは露天風呂と屋台のことしか頭にないのか?メインは広瀬の結婚式なんだぞ?

なんて、ちょっぴり呆れていると…広瀬が和服姿の女性二人を連れて、ロビーに戻ってきた。
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