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青空21 

青空21


「三洲さん、真行寺さん、お待たせしました。紹介します、女将の母とフィアンセの史織です。手紙でもお知らせしましたが、史織には今、女将の修業をして貰ってます」

二人は立ち上がり、会釈をした。広瀬の母親は女将をやっているだけあって、とても綺麗な女性だ。自分の親と歳が近いのか分からないが、そうだとすれば歳より若く見える。美しく歳をとる…とは、このことかと思う程。きっと若かりし頃は、男達も放っておけなかった存在だったのかも知れない…。
広瀬の結婚相手は、高校時代の同級生だと言っていた。小柄で、和服の似合う細面の美人だ…。歳の割には落ち着いて見える。
広瀬は憧れた東京で暮らすよりも、生まれ故郷である福岡で働き、暮らす方がきっと性に合っているのだと思う…。帰ってきて正解だったのだ。それに…こんな素敵な女性、そんじょそこらにはいない。

広瀬の運命の人…。

広瀬や史織さんと比べたら、ウチの真行寺は……やっぱり、ガキくさいな。

三洲は、こっそり…そう思っていた。

「こちらが、俺が東京の会社で働いてた時、面倒見てくれた先輩の三洲さんです」

広瀬が女将の母親に紹介してくれた。

「こんにちわ、三洲新です。この度は、招待して頂いてありがとうございます」

三洲は丁寧に挨拶をした。

「…で、こちらが三洲さんの後輩の真行寺さん」

真行寺は、やっぱり少々緊張気味で挨拶をした。

「こんにちわっ、真行寺兼満です…。俺…あ、いや…僕まで招待して貰っちゃって、すんませんっ」

真行寺は緊張のあまり、何故か謝ってしまい…顰蹙を買って頬を赤く染めた。

…普通に挨拶すれば良いものを…。

「お待ちしておりました…。啓介と史織ちゃんの結婚式の為に、わざわざ東京からありがとうございます」

女将である、広瀬の母親が深く頭を下げた。

「頭を上げて下さい。俺達も広瀬君の結婚式、楽しみにして来たんですから。わざわざなんてことないですよ?」

三洲が柔和な笑顔で応える。

「そう言って頂けると、こちらも安心です、ありがとうございます…。結婚式は明日ですから、今日はゆっくりして下さいませ。温泉もありますから、是非ご利用下さいね」

「あの…、当旅館の五階にも大浴場がございます。夜23時まで入れますから、そちらもご利用下さい…。夜景がとても綺麗なんですよ?」

若女将のタマゴの史織も、旅館のアピールを忘れない。

「はいっ!ご利用しますです!…ね、ねっ、アラタさん?どっちにする!?露天風呂?それとも大浴場っ!?ふふっ俺、両方~っ

「バカッ!」

「いてっ!」

ひとりで騒ぐ真行寺に、またまた呆れて…思わず頭をひっ叩いてしまった、いつものように。

「…すみません、騒がしくしてしまって」

「ふふっ、いいんですよ…。啓介から聞いてましたが、ホント仲良しさんですね?…うふふ」

ここでも笑われて、三洲は何だか恥ずかしかった。

その時。

「女将さ~ん、北海道からの団体のお客様がお着きになりました~」

玄関口で、ひとりの仲居が女将を呼んだ。

「はーい、すぐに行きます。…すみません、また後ほど。お部屋で、ゆっくりなさって下さいね?啓介、お二人をお部屋に案内してあげて…。それでは、失礼します…」

「ありがとうございます」

女将と史織は、二人にお辞儀をして団体客がいる玄関まで向かって行った。

「…繁盛してるんだな」

「はい、おかげ様で。さ、お部屋までご案内します」

「ああ、ありがとう」

三人はエレベーターに乗り、三階の「桔梗の間」へ…。部屋に着くと、広瀬は一通りの説明をしてから、今夜の話を切り出した。

「屋台、何時頃行くのが良いですかね?始まるのが…早くて、夕方の17時頃ですけど。こちらの夕食も是非食べてほしいので…それ以降にしましょうか?」

「そうだな。俺は沢山食えないけど…」

チラリと真行寺を見て。

「アイツはよく食うから。見ただろ?さっき。もつ鍋、殆ど真行寺が食っちゃったからなぁ…。あれで、太らないから不思議だよ…ふふっ」

「正直、ビックリしましたけど…ふふっ。でも、男はああでなくちゃ…。モリモリ食べる方が男っぽくてカッコイイじゃないですか」

「…そうかねぇ?」

頬杖をつき、もう一度真行寺を見つめた…。噂をされている張本人は、外の露天風呂に夢中だった。
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