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青空24 

青空24


いつの間にか、陽が傾きかけて部屋の中が薄暗くなっていた…。三洲は長い睫毛を伏せて、真行寺の裸の胸に身を預けている。

「…アラタさん、寒くない?」

乱れた浴衣を直しながら、真行寺が問い掛けた。昼間は陽が照っていて、暖かいと言うより暑かったが、さすがに夕刻となれば少しだけ冷える。

「…少し冷えるな…真行寺は寒くないのか?」

上半身は裸のまま…。そんな真行寺に三洲は、絡みつくように腕を回した。

「うん、大丈夫だけど…。汗かいちゃったから、また風呂入りたいかもふふっ

風呂上がりだった所為もあり、熱を帯びた体から滝のような汗が流れて、三洲の胸の上をポタポタと濡らしていた…。

「…そうだな。俺も、もう一度温まりたいよ…」

「じゃあ、決まり!もう一回入ろっ

真行寺は三洲を抱き起こし、二人は再び露天風呂へ…。真行寺の肩に凭れて、遠くの街の明かりを眺めた。

「あ!あれって、福岡タワーじゃない?」

「…え?どこに?」

「ほら~、あそこ」

真行寺が指差す方をよく見ると、イルミネーションで縁取られた福岡タワーが微かに見えている…。

「…あぁ、あれがね…」

「…季節毎にイルミネーションが変わるんだってよ?何か、暗くなるの…早いね?…ってことは。もうじきご飯だよねふふっ腹が減るわけだ

「…食いしん坊。ふふっ」

「あ。また言った。何回目?」

「さあな…」

もう夕食の時間なのかも知れないが…。もう少しだけ、こうしていたい…。


~・~・~・~・~・~・~


時計が21時を差す頃、部屋の呼び鈴が鳴った。三洲がドアを開けると、仕事を終えた広瀬が二人を迎えに来てくれた。

「すみません、遅くなって。行けそうですか?」

「ああ、大丈夫だよ。ちょっと、待っててくれないか?」

「はい」

宿の夕食が済んでから、身支度を整えて…。広瀬が現れるのを、真行寺は特に!首を長~くして待っていたのだ。

「真行寺、行くぞ」

「は~い待ってました

昼間、暑くて脱いだ真行寺お気に入りのニットパーカーを羽織り、桔梗の間を後にした。

「疲れてるところ、申し訳ないな…広瀬」

「いえいえ、そんなこと気にしないで下さい。俺もすごく楽しみにしてたんですから」

「ですよね~俺もっすー

「真行寺っ!」

元はと言えば、真行寺が言い出してこうなったのに。調子こくのも大概にしろ!なのだ…。

「…まあ、まあ。それより、夕食どうでしたか?満足して頂けたでしょうか?」

「とても美味しかったです、支配人…。ふふっ」

ちょっぴり、からかいながら言うと広瀬は、

「支配人はやめて下さいよ~。広瀬でいいです…ふふっ」

知人から言われるのは、まだまだ恥ずかしいようだ。でもまだ若いのに、家業を継ぐなんて立派だと思う。

「広瀬さん、松茸づくし最高でしたこの時期に来れて良かったっすよ~俺、超幸せ~ふふっ

三洲が広瀬にコッソリ耳打ちする…。

「…アイツは食いしん坊だからさ。ここに来てからずっと、食う話ばっかりなんだよ」

「…ふふっ」

二人でコソコソ話しているのを見て、ちょっぴり妬けた真行寺は眉を寄せて食いつく。

「…あ。もぉ、何!?俺は退け者!?」

「真行寺さん、屋台は美味しいものがいっぱいありますよ…ふふっ」

ここでまた、広瀬に助けられた。いつもヒドイ喧嘩などしないけれど。三洲に翻弄されまくりな真行寺なのだ。

「俺、いつもアラタさんにおちょくられてるっすよぉ…広瀬さん」

おちょくられても。ヒドイことされても。でも…大!大!大好き

「ふふっ、愛されてますね。真行寺さん」

「ひーろーせっ!もう、それくらいにしろって…」

真行寺をからかったら、しっかり自分に返ってきた気がする…。

何だか、逆に恥ずかしい…。

「三洲さん、何か顔が赤いですよ?ふふっ」

「…あ、赤くなんかないよっ」

三洲はスタスタと先に歩いて行ってしまった。

「あ、三洲さん。エレベーターこっちですよ?」

広瀬の声に足をピタッと止めて踵を返し、体裁悪そうにこちらへ歩いてきた。

「…可愛いですね、三洲さん」

「はいおかげ様でふふっ

今度は真行寺に、コッソリ耳打ちをする広瀬であった…。



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