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青空26 

青空26


「…はあ。温まるなぁ…」

夜も更けて、昼間の暑さはどこへやら…?川があるせいか、時折吹いてくる風も少し冷たく感じて、肩を竦める…。
真行寺は、おでんを食べながら、熱燗をチビリチビリと飲んでいた。

「アラタさんも熱燗にすれば?温まるよふふっ

「え?俺はまだビールがあるからいいよ…。つーか、お前飲み過ぎじゃないのか?」

「ん~?…でもさぁ、もうそれ温いんじゃない?マジ、ちょっと冷えてきたから熱燗がいいよ?ねぇ~?広瀬さん

真行寺は二人に挟まれて座っている為、あっちを向いたり、こっちを向いたり…。

「…真行寺さん、酔ってます?」

「うんちょっとだけだけど~…まだ大丈夫っすふふっあ!大将~、熱燗もう一本追加して下さ~い」

屋台の雰囲気も手伝ってか?何か、ほわ~っとほろ酔い気分で気持ち良い…。

「真行寺さん、無理しないで下さいね?明日は俺の結婚式ですから」

「大丈夫、大丈~夫今注文したのは、アラタさんの分だからふふっ

真行寺は調子づいて、三洲が頼んでもないのに、ずんずん熱燗を注文してしまった。

「熱燗、お待ち~」

「ありがとう!大将~♪…はい、アラタさんの

「…ったく。しょうがないな…」

三洲は、ブツブツ言いながらも熱燗を飲み始めた…。

なのに。

真行寺は人に酒をすすめておきながら、ちっとも構ってくれず…。広瀬と喋ってばかり。三洲は内心、面白くなくて…ちょっぴりヤケ酒。片や、真行寺は酔った勢いで、広瀬にこんなことを聞いていた。

「ね、ね、広瀬さん?彼女さんとの馴れ初めとか…どんなすか?確かぁ…同級生だったっすよね?」

広瀬もまた、ほろ酔い気分で何も恥ずかしがらずに、聞かれたことにスラスラと応えていく…。

「…はい。史織とは高校の同級生で…。再会したのは、親父の葬儀の時でした。俺、大学は東京だったから…六年振りくらいかな?その時、すごく驚いたんです」

「…え?何を?」

「たった六年ですけど…、女性って変わるんですね?…高校時代の史織しか知らなかったから。いつの間にか、あんなに大人びて…。俺は、あの頃から何も変わってなくて…置いてきぼりを食ってるような、そんな気がして」

広瀬はふふっと笑い、ビールを一口飲んだ。

「えー。でも、広瀬さんもしっかりしてるじゃないっすかぁ…。置いてきぼりなんて食ってないっすよ?」

「…でも、男って大人になっても中身は、まるっきり子供ですよ、やっぱり。ふふっ」

「広瀬さ~ん、何かぁ…オッサンくさいっすー」

「え?そうですか?あははっ」

自分は今まで、そんなこと考えたことはなかった。男と女を比べることなど…。そりゃ…中学生の頃は、好きな女の子がいた。でも、今みたいな気持ちじゃなかったんだと思う…。仮に今、その子に何年振りかで会ったとしても、ときめかない。どんなに綺麗な人に変わっていたとしても、ときめかない…。

真行寺の中で、ホントにときめく人は、三洲ただ一人だけなのだ…。

これだけは、はっきりと言える…。

三洲でなければ、ダメなのだ。

「でー、付き合ったきっかけは?なんすか?」

「きっかけですか?親父の葬儀の時、少し喋ったんですけど…。日を改めて、一部の同級生達が、飲み会を開いてくれたんです。“お帰り”みたいな感じで…。その時、史織も来てて…。その日が、きっかけだったのかも知れないです」

「意気投合したっすね?」

「…そうですね。それから何回か会うようになって…。史織が色々励ましてくれたんです。親父が亡くなった後だったし、俺もちょっと参ってて…。心の拠り所が欲しかったのかも知れないです。で…年が明けてからプロポーズして。史織も快く受け入れてくれました」

その時の広瀬の表情は、ホントに嬉しそうで…。というか、幸せそうだった。

「…へぇ~。何て言ったんすかぁ?ふふっ

「…それは秘密ですよ。ふふっ」

「え~っ、教えて下さいよぉ……ん?」

…その時。

左肩に重みを感じて、視線をそちらに移すと…。ほったらかしにされていた三洲が、真行寺に寄り掛かり居眠りをしていた。

どうやら、熱燗が効いてしまったらしい…。

「…三洲さん、寝ちゃいましたか?」

ちょっぴり心配げに、広瀬も覗き込んだ。

「アラタさん、酒に弱いから…」

真行寺は、三洲が背凭れのない椅子から落ちないように、左腕を腰に添えた。

「…三洲さんの寝顔見るの、今日で二度目です。ふふっ」

「え?…あ~、忘年会の時っすか?」

思い出した。

「俺達もその時、初めて会いましたね?ふふっ」

「あ~!そうっすね!」

今ではもう友達同士のように喋っている。昔からの知り合いのように…。
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