FC2ブログ

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

青空28 

青空28


タクシーの後部座席に、三洲と真行寺が乗り、助手席には広瀬が乗った。

「アラタさん、寒くない?」

「…うん…ちょっと寒い」

タクシーの中はまだ暖房を点けてないようで…。

「じゃぁ、これ掛けてなよ…」

真行寺はニットパーカーを脱ぎ、前から掛けてあげた。

「…ありがと」

ニットパーカーの下では、真行寺の腕に腕を絡めて…肩に頭を乗せた。

「…三洲さん、大丈夫ですか?」

助手席から広瀬が声を掛ける。

「…うん、大丈夫だよ。…酒が回って、眠いし…何か…頭がぐるぐるしてる…」

真行寺の肩に凭れながら、ゆっくりと応えた。

「旅館に着いたら、ゆっくり休んで下さいね?もうすぐ着きますから…」

「…ん…ありがとう」

繁華街を抜けると、閑散とした街並…。この時間帯では、もう殆ど車も走っていない。行きより、帰りの方が早く着いた。旅館の前に車をつけて貰い、タクシーから降りた。

「広瀬さん、今日はありがとうございましたっ!すっげ、楽しかったっす

「いえいえ、こちらこそ楽しかったです。ありがとうございます。時間、遅くなってすみません。早めに休んで下さいね?」

時間はもう、午前0時をとっくに過ぎていた…。

「あ、それと…明日、式場の送迎バスが来るので…えっと、10時に正面玄関で待ってて下さい」

「あ、はい」

「では、明日は宜しくお願いします。おやすみなさい。三洲さんも、おやすみなさい」

広瀬は深々と頭を下げた。

「おやすみなさいです」

「…ん、おやすみ…」

三洲は真行寺に支えられながら、手をヒラヒラと振った。広瀬とはロビーで別れフロントで鍵を受け取り、三洲の体を支えながらエレベーターへ乗った。


桔梗の間に戻ると、既に二組の布団が敷かれていた。

「アラタさん、着替えて寝ようね…浴衣持ってくるから」

取り敢えず、三洲を布団の上に座らせる。備え付けのクローゼットから、クリーニング済みの浴衣を取り出して三洲の所へ戻ると…。布団の上で、クッタリと横になっていた。

「アラタさん、浴衣持ってきたよ?ほら、着替えなきゃ…」

「…んー…めんどくさいー…」

「だめだよー、着替えなきゃ…。服がクシャクシャになっちゃうよ?」

「…んー」

「…もぉ…アラタさんてば…」

真行寺は仕方なく、三洲の服のボタンを外していく…。

「…熱燗、効き過ぎたのかなぁ?ほっぺとか、耳とか…まだ赤いもんね…ふふっでも、可愛い

ブツブツ言いながら。そして、ニヤニヤしながら浴衣に着替えさせる…。

「ほら、アラタさん…腕通して…」

「…んー…スケ、ベ…」

「…あっ、もぉーっ…スケベじゃないよぉ…」

着替えさせてやってんのにーっ。そりゃ、ないよ…。

浴衣の前もちゃんと合わせて、帯をきゅっと結んだ。

「…これでよし、と。さて、俺も着替えよっと」

三洲を布団に寝かせて、真行寺も浴衣に着替えた。電気を消す前に、もう一度三洲の寝顔を見つめる…。

「…恋人の特権かぁ…」

真行寺は三洲の色んな姿を知っている…。怒って不機嫌な顔、楽しそうに笑う顔、時折見せる艶めいた顔…どれも好き。真行寺にしか見せない表情、その全部が三洲だから。

「…俺って、超幸せじゃん?」

広瀬の告白は、正直…ちょっぴりショックだった。だけど、そんなことがあっても…三洲が迷わず、自分を選んでくれたのだから…。

やっぱり、幸せ

「…明日は、広瀬さんを祝福してあげなくちゃね

三洲の頬に手を伸ばし…そっと触れると、うっすらと目を開けた。

「あ、ごめん…起こしちゃった…?」

「…真行寺、足が冷たい…布団も、冷たい…」

布団は二組敷かれているけど…。ホントは一組で充分なのだ。部屋の電気を消してから、真行寺は遠慮なく三洲の布団に潜り込む…。

「お待たせ

「…んー」

真行寺は、すぐさま三洲の華奢な体を抱きしめた。こうして良いのは自分だけ…。

「…体、だいぶ冷えてたんだね…」

「…うん」

三洲は、真行寺の足に自分の冷たい足を絡ませる。

「冷てっ!」

あまりの冷たさに、飛び上がりそうになった。

「…お前の足…温かい。ふふっ」

どこもかしこも、温かい…。春の陽だまりのように。体もピタッと、くっつけた…。

「アラタさん…大好き

「…うん…」

このまま…朝まで、温めてあげる…。

真行寺に抱きしめられた三洲は、もう一度夢の中へと誘われた…。
スポンサーサイト

- 0 Comments

Leave a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。