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青空34 

青空34


「…ぅん…」

目を覚ますと、真行寺の腕の中にいた…。コトが済み、一時間程度だが…知らぬ間に眠りに落ちたらしい。

「…あ。起きた?」

真行寺が、上から覗き込んだ。

「…ずっと…起きてたのか?」

「うぅん。俺も、ちょこっと寝たよちょっと前に起きて、アラタさんの寝顔…ずっと見てたふふっ

「…高いぞ?ふふっ」

そう言いながら、真行寺の胸に顔を埋める…。

「あ。また、そーゆーこと言うんだから…。ね、露天風呂入らない?」

三洲の柔らかい髪を指で梳いた。

「…は?今からか?」

「うんまだ22時過ぎたとこだし…。福岡にいる最後の夜だからね?入れば、体も温まるじゃん?」

…真行寺に充分、温めてもらったのだが。それは敢えて言わずにおく。体はとても、かったるいけれど…。

「…しょうがないな…」

これも、一つの「福岡の思い出」になるのなら…、まぁいいか、とも思う。

「そうこなくっちゃ!めんどっちぃから、このまま行っちゃおっかな~」

ムクッと起きて、裸で出て行こうとする真行寺の背中に、

「…風邪ひいても知らないぞ?」

三洲は真行寺とは対照的に、ゆっくりと体を起こした。

「大丈夫だよ~。もし風邪ひいても、アラタさんが看病してくれるから

そう返されて、思い出した。

真行寺は体がデカイから、着替えさせるのが大変だったのだ。寝言なのか知らないが、変なことも言ってたっけ…。三洲は、そんなこともうゴメンだと思い、

「…や~だ~ねっ」

プイっと横を向き…つい、心にもないことを言ってしまう始末…。

「もぉっ…意地悪っ」

「あ。真行寺、クローゼットから浴衣出してくれよ」

立った序でだと思い、真行寺に声を掛ける。

「…アラタさん、人使い荒いっつーの…」

思わず出た、昔の口癖。言ってから、ハッと気がつく。

「何か言ったか?」

「…うぅん!何でもないよ?独り言~」

まぁ、三洲の耳にしっかり届いていたけれど…。特に怒ったりはしなかった。真行寺はクローゼットから、浴衣を二人分取り出して三洲に手渡す。

「…サンキュ」

三洲は渡された浴衣を広げ、素肌に羽織る。真行寺は…というと、どうせ脱いでしまうからと、やっぱりそのままで。外に出ようとサッシを開けると、冷たい外気がスーッと部屋に入ってきた。

「…さぶっ!」

夜はやっぱり、ちょっぴり冷える…。真行寺は一目散に露天風呂へ入った。

「…あ~~っ、気持ちい~~っ!やっぱ、露天風呂サイコ~!」

掌でお湯を掬い、そのまま顔を撫でる。三洲は真行寺より一歩遅れて、湯舟に浸かった。

「アラタさん、遅かったね?」

「お前、タオル用意するの忘れただろ?」

「…あ。そっか…へへっアラタさん、そーゆートコよく気がついてくれるから…俺、安心ふふっ

「…全く、世話が焼けるけどな?」

でも。それはきっと、お互い様なのだろう…。至らない所は、お互いにカバーし合えば良いのだ。

「そうだ。アラタさん、友人代表のスピーチ…カッコ良かったよ祠堂の生徒会長だった、アラタさんを思い出しちゃった…そん時さぁ、新婦側のテーブル…ザワついてたよ?」

「…何で、ザワつくんだよ?」

三洲はキョトンとして、真行寺に聞き返した。

「…それはさぁ、アラタさんが綺麗でカッコイイからじゃないの?あの人、素敵~って声が飛び交ってたよ?…アラタさん、超モテモテじゃん…」

咲子だけでなく、他の女子達も注目していたらしい…。だけど、三洲も一つ思い出したことがある。真行寺をジロリと睨んで、

「…そう言えば、お前だって。女の子と喋ってただろ?」

「…え?いつ!?」

そんなことはもう、とっくの昔に忘れていた真行寺。

「…俺がトイレ行ってた時だよ。随分親しげだったけど、誰なんだよ?こっちに知り合いがいたのか?」

三洲にしてみたら、やっぱり、ちょっぴり面白くなかった。

「…え?…あぁ、あの時?何かね…」

披露宴が終わり、ロビーに出て…。三洲がトイレに行くと言うので、真行寺はロビーの脇にあるベンチに座って、三洲を待っていた時のこと…。

「…あの…真行寺兼満さん…ですよね?」

ひとりの女性が声を掛けてきた。

「…はぁ、そうっすけど…どちら様っすか?」

「…あのっ、私…高校時代に剣道やってて…。インターハイで真行寺さんを見た時から、ずっと…憧れてました!」

「…え?」

…突然の告白…ってヤツ!?

真行寺は戸惑った。その頃はもう三洲一筋で、どんなに可愛い女の子がいても、目に入ることはなかった。だから、目の前の女性のことも勿論知らない。

「…あっ、でも…もう何年も前だし…分からないですよね?」

「…はぁ。残念ながら…」

三洲に一途な恋をしていたから。勿論、今だって…。

「あの…この後、時間ありますか?」

「すんません、時間は…ないっす」


…と、いうようなことがあり。

この場面をトイレから戻った三洲が、背の高い観葉植物の影から見ていたことなど、真行寺は知る由もなかったけど。話の内容までは聞き取れなかったから、三洲はとても気になっていたのだ。
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