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青空35(完結) 

青空35(完結)


「…何だ。告られたのか」

「…うん、告られたっつーか…俺、その人全く知らないんだけど…。いきなり、そんなこと言われても困るよね?」

「…その子、お前にお持ち帰りされたかったんじゃないのか?」

ちょっぴりの妬きもち…。意地悪してからかう三洲。

「えっ!?そんなワケないよっ!…俺が持ち帰りたいのは、アラタさんしかいないもんっ!」

「…ふふっ。バカだな…冗談だよ。それに、持ち帰るも何も…一緒に住んでるじゃないか…」

もう既に、お持ち帰りされているようなもの…。

「…あ。そっか…もぉっ、アラタさん意地悪ばっか言うから…ワケ分かんないよ」

真行寺は剥れて、夜空に視線を移すと…シュッと流れ星。

「あっ!!」

東京の空では、滅多にお目に掛かれない流れ星に、真行寺のテンションが上がり、思わず叫んだ。

「…なんだよ?うるさいヤツだな…」

「ね、ねっ!見た!?今、見たっ!?流れ星っ!願い事!」

「…見るワケないだろ」

流れ星は、ほんの一瞬じゃないか…。願い事を考えているうちに、消えてしまうもの。

「そーゆーお前は、何か願い事したのか?」

「俺!?してないよ?騒いでたら、消えちゃった。だけどね、よく考えたら…一番の願い事は叶ってるからふふっ

「…一番の願い事?」

「うんアラタさんと一緒にいること

真行寺の嬉しそうな笑顔…。

そう言うことなら、俺も同じだ…。ちょっぴり恥ずかしいから、口には出さないけれど。

「ね?広瀬さんち、新婚旅行どこ行くのかな?」

「…さぁな。気になるなら、明日聞いてみればいいだろ?」

「そうだねふふっ

目の前に広がる、福岡の街の夜景を瞳の奥に焼き付けて…明日、二人は帰京する。


~・~・~・~・~・~・~


翌日。

「…これでよし、と」

宿の朝食を済ませてから、帰り支度を始めて…漸く一段落ついた。

「真行寺、お茶飲むか?」

「あ、うん…ありがとう

真行寺も、何とかキャリーケースに衣類などを詰め終わり、三洲の隣に座った。

「お茶、ありがとう……熱っっ!」

「…バカだなぁ、気をつけろよ…」

「…熱かった~っ。そうだね気をつけなきゃ、アラタさんとチュー出来なくなっちゃうもんねふふっ

「バ~カ」

「もぉっ、バカバカ言わなくたっていいじゃんっ」

「バ~カ。ふふっ」

朝っぱらから恥ずかしいヤツ…。恥ずかしくて「バ~カ」って言うのが精一杯だ…。言っているうち、何だか笑えてくる。二人で戯れあっていると、広瀬が部屋を尋ねてきた。

「お寛ぎのところをすみません」

「構わないよ」

「昨日はありがとうございました。お蔭様で、良い結婚式を挙げることが出来ました」

広瀬は深々と頭を下げた。

「こちらこそ楽しませて貰ったよ…な?真行寺」

「はいっ、楽しかったっす!料理も美味しかったし!」

「…また、そっちか…お前は」

「…だってぇ」

「ふふっ…あははっ」

広瀬には、こちら福岡に来る前から笑われっ放しのような…。そんな気がする。

「広瀬…笑い過ぎじゃないのか?」

「あ…、すみません。お二人を見ているとホント和んでしまって…。ふふっ」

「あ!そうだっ!広瀬さん、新婚旅行はどこ行くっすか?やっぱり…海外とか?」

真行寺が突然!思い出した。

「新婚旅行ですか?実はまだ決めてないんです。旅館の方が忙しいので、折を見て行こうかと史織とも相談して。別に海外でなくても、国内旅行でも良いですしね?日本って、まだまだ良い所があったりしますから」

「…そうだな。国内旅行なら、言葉も通じるし?ふふっ」

「あはっ、そうですね。三洲さん、それ一番大事です。あははっ」

真行寺が振った話題だが、三洲と広瀬が盛り上がる。真行寺は何だか、自分ひとり取り残された感でいっぱいになり…他の話題を探す。

「…あ、広瀬さん。二次会どうでした?」

…楽しかったに決まってるけど、聞いてみた。

「皆でワイワイ騒いで、楽しかったですよ。ホントは、お二人にも来て欲しかったですけど…。少しでもゆっくりして貰いたかったので。あ…でも、お二人が地元だったら絶対参加でしたよ?ふふっ」

「済まなかったな…。真行寺もすごく気にしててさ。行かなくて良かったのかなって…」

「そうなんですか…。真行寺さん、優しいんですね」

「…えっ、やっ…そんなことないっすよ…へへっ

ちょっぴり照れてしまった。

「…あ、そうだ。話に夢中で忘れるとこでした…」

広瀬は上着の内ポケットから、白い封筒を取り出し、二人の前に差し出した。

「…ん?これは?」

「お二人の、東京⇔福岡間の交通費です。どうぞお納め下さい…」

「…やめてくれよ、俺達はそんなつもりで来た訳じゃないよ」

三洲は封筒を広瀬へ突き返すと、今度は広瀬がもう一度、二人の前に封筒を返した。

「…交通費、こちらで持ちますって伝えましたよね?俺の…俺と史織の感謝の気持ちです。受け取って下さい…」

そう言われてしまうと…断ることも出来ない。受け取るしかなくなってしまうじゃないか…。

「…広瀬…君には敵わないな…。じゃ、有り難く頂くよ…。ありがとう」

「あ、ありがとうございますっ」

真行寺も頭を下げた。

「こちらこそ、ありがとうございました。あと…空港までお送りしますから。…チェックアウトまで、まだお時間がありますから…ゆっくりして下さいね」

「うん、ありがとう」

「ありがとうっす!」

「…では、後ほど」

そう言って、広瀬は桔梗の間を出て行った…。


~・~・~・~・~・~・~


そして二人はチェックアウトを済ませて、広瀬に福岡空港まで送って貰った。

「ホント、何から何までありがとう」

「…いえ、お礼を言うのはこっちです。遠い所まで来て頂いて、ありがとうございました。あ、これ…母からなんですけど」

持っていた紙袋を、真行寺へ手渡す。

「…なんすか?」

袋の中を覗いてみると『博多明太子』の文字が目に入った。

「あ!明太子っすか!?」

真行寺は、目をキラキラさせている。

「はい。朝食でお出ししたのと同じ物ですけど…。さっき母がお二人に…と、持たせてくれました。ご飯にも勿論合いますけど、お酒のおつまみにも良いですしね?ふふっ」

「嬉しいっす、広瀬さんまた食べたいなぁって、思ってたっすよぉ~

「食いしん坊!コイツ、今朝も三杯食ったんだよ…。俺の明太子も狙ってたんだぜ?ふふっ」

「…狙ってないってば!アラタさんの意地悪っ!」

「あははっ!これ、いっぱい入ってますから。喧嘩しないで食べて下さいね」

「…あ。あと、広瀬…真行寺の苦情なんだけどな…茶碗が小さいって…ふふっ」

「もぉっ!アラタさんっ!」

「あははっ。すみません、真行寺さん。この次は、真行寺さん専用のドンブリを用意しておきますから。あはははっ!」

「もぉっ!二人とも!」

真行寺は、弄られキャラなのかも知れない。

そして…。

「…そろそろ時間だな?広瀬、ホントありがとう。楽しかったよ。この次は、ちゃんと自費で来るからさ」

「はい、お待ちしてます。お二人とも、お体に気をつけて…」

「広瀬さんもお元気で。お母さんにお礼言っておいて下さい」

「ありがとうございます…母にちゃんと伝えておきますから」

「お袋さん、大事にしてやれよ?それじゃぁ、行くか…真行寺」

「うん」

「…じゃ、広瀬…またな!」

「はい、お気をつけて」

搭乗口に向かう二人に、大きく手を振る…。その背中が見えなくなるまで、ずっと…。それから間もなく、三洲と真行寺を乗せた飛行機は、青い大空へと飛び立った…。

その頃、機内では。

「ね、ねっ、早く明太子食べたいねふふっ

「お前、せっかく貰ったんだから大事に食えよ?」

真行寺はホント!食いしん坊だから、釘を刺しておく。

「…分かってるよぉ」

ちょっぴり口を尖らせる、食いしん坊な愛しい恋人…。真行寺の肩に、そっと凭れて窓の外を眺めた…。

「…今日もよく晴れてるな」

「…そうだね

真行寺も、つられて窓の外を見ると、三洲が耳許で囁く…。

「…俺達も広瀬に負けていられないな」

「…え?何が?」

真行寺は、キョトンとして三洲を見る…。三洲の優しい眼差しとぶつかって、胸がドキッとした。

「…俺達も、幸せになろうな…」

「…うん

今でも充分、幸せだけど…。
もう一度、この青空に二人の愛を誓う…。

“ずっと、いつまでも…”

真行寺の左手を、きゅっと握った…。



fin.
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