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緑色の風8 

緑色の風8


途中、休憩を挟みながら…どうにか辿り着いた、とある田舎街。高速道路を降りてから、暫く続いた商店街を抜けて、緑深き山道を行く…。

「…道、ここで合ってるのか?」

「うん、合ってる筈だけど…。目印みたいなものがないね?…何か、俺も不安になってきちゃった」

「…運転手がそんなこと言うなよ。こっちも不安になるだろ?」

「…だってぇ」

どれくらい走ってきたのか、分からないが…。森の中のような道を更にひた走って行くと…突然、景色が開けて民家がポツリポツリと見えてきた。

「あ!集落発見!」

「こんな所に村があるんだな」

取り敢えず、一安心。

「始めに自治会長の宮島さんちに挨拶行って、家の鍵を借りなきゃなんだけど…。どの家かな?」

真行寺は、車のスピードを緩めてキョロキョロしながら運転する。すると、鍬を肩に担いだ、一人の村人が歩いているのを見つけた。後ろ姿を見れば、年をかなり重ねていそうな感じのお爺さん。

「あの人に聞いてみろよ」

「そうだね」

車でゆっくりと近づき、その人に声を掛けた。

「…あのぉ、すんませ~ん…こんにちわ」

「…ん~?おっ!…こんちわ」

声を掛けられて、村人が立ち止まった。この辺では殆ど見かけたこともない大きい車に、ちょっぴり驚いた様子…。

「あの、ちょっとお尋ねしたいんですけどぉ…。自治会長の宮島さんのお宅は、どちらかご存知ですかねぇ?」

「宮島さんちか?宮島さんちはなぁ、あそこの家だよ。あの、茶色の屋根の…」

村人が指を差して、教えてくれた。

「…あー、はい、あの茶色の屋根のお宅っすね?」

「おぅ、そうだよ。兄ちゃん達、どっから来ただね?」

「あ、東京っす」

「…東京かぁ?何でまた、こんなとこへ?何もねぇとこだど?」

この街に似つかわしくない二人を見て、不思議そうに聞いた。何せこの村の年齢層は、山の向こうの隣町に比べ、飛び抜けて高いのだ。若い人は皆、この村を後にして都会で生活をしている現実…。

「会社の企画で、今回…一週間なんすけど、お世話になるっす。俺達、東京生まれの東京育ちなんで…。会社の方から“田舎暮らしを体験してこい”って言われて来たっすよ」

「…へぇ、兄ちゃん達の会社は、そんなこともさせてくれるだかぁ…。だけどぉ、若い衆を見たのは久しぶりだなぁ…はははっ」

この人から見れば、二人は孫のような感じに映る。

「おじさん、畑仕事の帰りっすか?」

「そうだよ。もう昼だで、家帰って昼飯食うだよ。もー、腹ペコだ」

「あ、引き止めちゃってすんません!教えてくれてありがとうございましたっ」

「あー、えーだよ、別に」

村人のお爺さんと別れ、二人は自治会長の自宅へ向かった…。茶色の屋根の家の前に車をつけて“宮島”の表札を確認する。

「アラタさん、俺挨拶してくるよ」

真行寺が、車から降りようとすると、

「あ、俺も行くよ。同伴者だからな」

三洲もシートベルトを外して、車から降りた。二人揃って自治会長に挨拶に行く。玄関の引き戸を開けて、

「ごめんくださ~い」

真行寺の大きな声が響き渡ると、奥の方から家主が返事をした。

「は~い」

少しして、奥の部屋から70歳代くらいのおじさんが出てきた。

「あ、こんにちわ。あの、東京の株式会社丸河からきた真行寺と申します」

そこまで言って名刺を渡すと、

「あ~、丸河さんの?今年の田舎暮らし体験の方だね?自治会長の宮島です。立ち話も何だから、どうぞ上がって下さい。お茶淹れるから」

「…あ、はいっ。お邪魔しま~す…」

二人は客間に案内された。人様の家なので、行儀良く正座をして待っていると、宮島がお茶を運んできた。

「お疲れ様。お茶どうぞ…。若い衆だでコーヒーの方が良かったかな?」

「あっ、いえっ。そんな…大丈夫っす。ありがとうございますっ」

「そっちの兄さんも、丸河さんで働いてるのかね?」

「申し遅れました。今回、真行寺の同伴ということで田舎暮らし体験に来させて頂きました、三洲新と申します。俺は、会社外部の人間です」

「そ~かね。それにしても、男前だなぁ?ウチにも倅がいてね?それこさ、今は東京で暮らしてんだけど…。5年前に嫁っこ貰ってさ。その嫁っこがエライ別嬪さんで、ウチの倅にゃ勿体ないくらいでな?あはははっ。やっぱ、東京はそーゆー別嬪さんや男前が沢山いるんだろうね?」

宮島は自分の息子の話をし始めた。
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  • 2012.06.07 (Thu) 21:15 | まとめwoネタ速neo
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