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緑色の風12 

緑色の風12


「宮島さんちまで、歩いて行こっか?この家から見えるくらいだし」

時刻は、既に18時を回っている。テレビのニュース番組を観ていると、GWの帰省ラッシュが始まった映像が流れていた。東京に住んでいる人達が生まれ故郷へ帰る為に、この時ばかりは本当に苦労する。でも、その先には安らぎが…。幼い頃に慣れ親しんだ風景が、そこで待っていてくれるから…。

「そうだな。歩きは通勤で慣れてるし…。もう少ししたら出掛けよう」

「うん


一応『お呼ばれ』なので…。

三洲が目覚めてから、半ば強引に二人で風呂も済ませた。三洲が風呂へ入っている時…。

『アラタさん、背中流してあげる

と…真行寺が突然!パンツ一丁で風呂場へ入ってきて。それはもう楽しそうに、三洲の背中を流し…挙げ句の果てには、

『俺も濡れちゃったから、一緒に入っちゃお

と、言ってパンツを脱ぎ捨てた。

『…ったく、お前は何だかんだ言って、最終的にはいつもこうなるんだな』

『…てへっ

毎度のことで、三洲も呆れてしまうが…。こんなことすら許してしまう自分は、やっぱり相当…真行寺にヤラれてる…と、実感する三洲であった。


…そろそろ、出掛けても良い頃合い。

西の高い山に太陽が沈んで、辺りも少しだけ薄暗くなり始めた中、二人は宮島家へ徒歩で向かった。田舎の道は、この時間ともなると人っ子一人歩いていない。

「誰も歩いてないね?」

「皆、畑仕事も終わって…今頃リラックスしてるんじゃないか?」

「…あ~、そうかもね…何かさぁ、歩くと余計に腹減っちゃうよね~?」

これから、知らない人が沢山いる所へ行こうとしているというのに…。真行寺ときたら、緊張感のカケラもありゃしない。

「…お前、くれぐれも俺に恥をかかせるなよ?」

ジロリと、真行寺を睨みつける。

「大丈夫だって~!今まで、アラタさんに恥をかかせたことなんかなかったっしょぉ!?」

「…ある」

「えぇっ?そうだっけ!?…気の所為じゃなくって?」

スッ惚けているのか、何か分からないが。とにかく、目が離せないのだ。歩いて行くうちに、辺りは徐々に暗くなって…。二人で喋りながら歩いて、気がつけば目的の宮島家の前まで来ていた。呼び鈴を押し、玄関の引き戸を開けると奥からワイワイ声が聞こえてくる。

「こんばんわ~!」

「は~い!」

年配の女性が、奥の部屋から出てきた。

「…あのぉ、真行寺と言いますが…」

そこまで言うと、女性はニッコリと笑って、

「丸河さんの会社の方ですね?主人から聞いております…。私、宮島の妻です。昼間はごめんなさいね。ちょうど、買い物に出掛けてたもんだから…」

「…あ、いえいえっ!そんなっ」

「お父さんがね、今年は男前が二人来たぞって言うもんだから、首を長くして待ってたの…ふふっささっ、上がって下さいな。年寄りばかりですけど…」

「はい、お邪魔しますっ」

宮島の妻は、宮島よりもずっと若い感じ。自分達の親よりも年上かと思うが…。

「今日着いたばかりなのに、忙しくさせちゃって悪かったわね…。お腹も空いたでしょ?今夜はゆっくりしてってね?」

「ありがとうございます」

客間に入ると、7人程でテーブルを囲んでいた。

「真行寺君、三洲君、待ってたよ。そこの空いてるとこに座って。おい、美智子。冷えたビール持ってきてくれ」

「あ…皆さん、初めましてっ。真行寺兼満と言います!今日はお招きありがとうございますっ」

ペコッと頭を下げた。そして、三洲も真行寺に続き、自己紹介をする。

「初めまして。三洲新と言います。今回、真行寺の同伴でこの村へ来させて頂きました。一週間という短い期間ではありますが、よろしくお願い致します」

「おぅ、よろしくな?兄ちゃん」

三洲のすぐ隣に座っていたお爺さん。よく見れば、ここの家を教えてくれた人だった。昼間は帽子を被っていたので、パッと見…分からなかった。

「昼間はありがとうございました。大変助かりましたよ」

「また会ったのも、何かの縁だな。ははっ」

「そうっすね!」

そこへ、美智子がビールを持ってきた。

「さ、おビールをどうぞ」

「あ。ありがとうございますっ…。アラタさんからどうぞ

真行寺に言われて、先にビールを注いで頂く…。

「…ありがとうございます」

「三洲君は、綺麗な手をしているのねぇ?…女の子の手みたいだわ

グラスに添えられた三洲の手を見て、思わずウットリする美智子であった。
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