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緑色の風13 

緑色の風13


三洲の白くて、しなやかな細い指…。

「あら?三洲君、結婚してるの?」

左手の薬指に、キラッと光るプラチナの指輪を見つけた。

「…あ、いえ…していません」

「あら~、そうなの…。でも、付き合ってる子はいるんでしょ?二人とも」

「…えぇ、まぁ…」

お互いが『彼氏』とは言えないが…。

「三洲君は、今お幾つなの?」

「今年27歳になります。真行寺は俺より一つ下なんですよ」

「そぉ~、二人とも年よりも若く見えるわうふっそれに、カッコ良いし…。ガールフレンド、沢山いそうね?」

容姿端麗な二人を見て、嘸かしモテるのだろうと、美智子はついついからかってみたくなる。

「いないっすよ~?…好きな人は、一人だけで良いんす

「うふふっ真行寺君、一途なのね?」

15歳の時…。祠堂の入学試験のあの日から、ずっと…、ずーっと、三洲に一途な恋をしている。

脇目など振ることもなく…。

恋人に昇格出来たのも、ずーっと三洲を思い続けた、恋の賜物なのである。

この恋に、後悔などしていない。

「はい。その人を思う気持ちは、誰にも負けないっす

「…偉いわね。その人も真行寺君に思われて、きっと幸せね羨ましいわ…ねぇ?三洲君」

「…あ、そうですね」

突然、話の矛先がこちらに向いて…ドキッとしたが、顔色ひとつ変えずにサラリと応えた『その人』は…。心の中で、確かに幸せだと実感していた。話がちょうど盛り上がってきた所で、宮島が美智子を呼んだ。

「美智子、皆にもお酌してやってくれや」

「はーい…。ごめんなさいね、話し込んじゃって…。あ、お料理もお口に合うか分からないけど、良かったら食べてね?」

「ありがとうございます」

腹ぺこなので、遠慮なく頂くことにする。周りは年配の人ばかりだからか、野菜中心のメニューが多い。

「アラタさん、肉じゃが食べる?取ってあげるよ」

「あぁ、ありがとう」

テーブルの上には、肉じゃがの他に、山菜の天ぷらや、煮物、ほうれん草のおひたしなどが並んでいる。それらを適当に皿へ取り、三洲に手渡した。そして、真行寺も自分の分を皿へ取る。

「それじゃあ、男前の二人も来てくれたことだし、もう一度乾杯するか。真行寺君と三洲君、グラス持って」

「あ、はい」

「真行寺君、三洲君。何もなくて不便かと思うけど、一週間どうか楽しんで行って下さい。では、乾杯!」

「カンパ~イ!」

皆でグラスを合わせて、ビールをグッと飲む…。大人数で飲むことは、あまりないけれど…。たまには良いと思う。年配の人達ばかりだから、騒ぐと言っても煩い程ではない。

「ねっ、料理美味そうだね…これ、何の天ぷらかな?」

「…さぁ?」

なんて、真行寺と三洲が話していると。三洲の隣に座っている、海野のお爺さんが教えてくれた。この寄り合いの中で、海野は最年長で色んなことを知っているお爺さんなのだ。

「それはな、コゴミって言う山菜だよ。うめぇから、食ってみな?」

「…コゴミ?何か、ゼンマイに似てるね?クルクルってしてる」

ひとつ食べてみると、クセがない味でコリコリとした歯ごたえ。

「あ。美味しいアラタさんも食べてみなよ?…これ、山にあるっすか?」

「おぅ。今、旬だからな…。裏山へ行きゃあ、いっぱい生えてるぞ」

「へぇ~…山菜採りも良いなぁ

真行寺は、何にでも興味を示す。…というか。三洲と、そーゆーことをしたい!という願望が強くて、またまた真行寺の脳裏には“ラブラブ山菜採り”の図が出来上がっていた。

「もう少し早い時期なら、ふきのとうも採れたけどな?あれも天ぷらにすると美味いんだ、ほろ苦くて。春の味覚だよ」

「里山の幸…ですかね?」

「そうだよ。兄ちゃん達は山菜なんて、滅多に食わんだろ?」

「そうですね。食べるとしたら…スーパーへ買いに行くしかないですよ」

「…だろうなぁ。どうだ?明日、山菜採りに行ってみるか?案内するぞ」

「あら、やだ。海野さん、明日は雨って言ってたわよ?」

「あれ?そうだっけか?雨じゃあダメだな」

世話好きな海野が、ちょっぴり残念そうな表情をする。夕方、綺麗な夕焼けを見たのに…明日は雨なのか?山の天気は分からない。明日になってみなければ…。
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