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緑色の風16 

緑色の風16


「俺、後ろ向いてるから。早く着替えて

真行寺は、クルリと背中を向けた。

今、せっかくパジャマに着替えたというのに…。また着替える?しかも、女物の服…。オマケに、ヅラまで。

三洲の心配事…。

真行寺は、どうしてここまで拘るのか…。ホントは、俺より女が好きなのか?俺に女装させて、真行寺は果たして、満足なのだろうか?

「…お前、女が好きなのか?」

真行寺の背中に問い掛ける。

「ん?女の子?別に嫌いじゃないけど、興味がないだけ…。俺が好きなのは、アラタさんだけだから…。ねぇ?まだ?」

早く見たくて、つい急かしてしまうけれど…。

「…いいよ」

三洲の返事に、そっと振り返った。

「…アラタさん…綺麗何か…花の妖精みたい

服の柄が野薔薇ということもあって、余計にそう見えるのかも知れない…。抱きしめられずにいられなくなった真行寺は、フワッと三洲を包み込んだ。

「…苦しいから離せよっ」

「…もぉ、ダメだよ?そんな乱暴な言葉言っちゃぁ…。あ、そうだ!」

ふと、思い出して。袋の中をゴソゴソ…。取り出したのはリップグロス。

「これ、つけてみよっ

「…何だそれ?」

「リップグロス俺がつけてあげるふふっ

ケバくない、ほんのり桃色…。三洲の柔らかい口唇に、丁寧に乗せるように塗っていく。ねっとりとした、初めての感触…。

…女はいつも、こんなもんつけてるのか?

つくづく…男で良かったと、思う三洲であった。

「…お前、顔がだらし無いっ」

目の前には、真行寺の顔。中々の色男なのに、ニヤニヤと鼻の下を伸ばしている。口唇をずっと見つめられるのは何だか、ちょっぴり恥ずかしい…。

「ちょっ、動いちゃダメ…」

「…スケベ」

「あっ!もぉ~っ!はみ出しちゃったじゃんっ!」

真行寺は、真剣そのもの。まるで絵画の一部を描くように…。はみ出した所はティッシュで拭き取った。

「…よしっ出来た…アラタさん、すっげ…色っぽい鏡、見てみる?」

「…いいよ。こんな変貌した姿なんて、見たくないね」

自分が望んだことではない…。真行寺が望んだこと。

「…見てみれば良いのに~。想像以上に可愛いよ惚れ惚れしちゃうふふっ

キスをしたくなるような、ぷるんと艶やかな口唇に誘惑されそう…。

「…だから…可愛いって言うなよっ」

上目遣いに、睨まれた。その表情がまた…妙に色っぽかったりして、胸がドキドキする。

「じゃあ…何て言えば良いの?」

女装させて、カッコイイはないし…。真行寺の正直な気持ちなのだが…。綺麗とか、可愛いの他に表現のしようがあるのか?コワイくらいに、美しい三洲の目を見つめた…。

「余分なことは言わなくていい。…この歳で“可愛い”って言われるのは、照れ臭いんだよ…」

「…アラタさん?そんなこと言ったら…余計言いたくなっちゃうじゃん……大好きっ

むぎゅっと、三洲を抱きしめた。

「…何か、俺…浮気してる気分ふふっ

「はあ!?」

「…別のアラタさんと…ねぇ、キスしていい?」

先程、丁寧にリップグロスを乗せた口唇に触れたくて…。待ち切れずに、言ってみた。

「…浮気する権利なんて、お前にはないんだぞ?」

“浮気”という言葉に、ちょっぴり敏感に反応してしまう三洲だが。

「…しないよ、浮気なんて。する訳ないじゃんただね、この姿見たら…そんな気分になっただけ。たとえ外見を変えたって、中身はアラタさんだから…浮気じゃないよね?」

真行寺の掌が三洲の頬へ…。昔は、こんなことをしようものなら……。

『気安く触るな!』

なんて、平手打ちされたっけ…。でも、凶暴な三洲も何だかんだ…やっぱり大好きだった。

「…ふふっ、変な言い種だな?」

怒ることなく、微笑む三洲。それは、安堵の表情とも見てとれる…。

「…アラタさん、愛してる」

揺るがない気持ち…。見つめ合った二人には、もう言葉などいらない…。

「…キスしたいんだろ?」

「うん

姫君のご機嫌も直ったようだ…。

三洲の頬を両手で包み、そっと引き寄せ…口唇を重ねると、真行寺の口唇にもリップグロスのねっとりとした感触が纏わり付いた…。
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