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真三洲のプチ小説 

『地上の織り姫と彦星』


「ねぇ、アラタさん。もうじき七夕だねっ

二人でデパートへ買い物に出掛けた。買い物を済ませ、帰ろうと荷物を載せたカートをコロコロ転がしていた時、デパートの特設コーナーに目が止まる。

笹の葉に色とりどりの短冊…。

今日は土曜日ということもあって、親子連れが笹の周りに集まっていた。

「…七夕か」

「ね、ねっ、俺達も短冊に願い事書こうよ?」

いつまで経っても、ガキくさい真行寺…。そんなことはいつだって先に思いつく。

「…願い事?お前、何か願い事あるのか?」

「うんいっぱいあるよふふっ

「なら、書いて来いよ…。俺はここで待ってるから」

近くにあるベンチに腰を下ろそうとすると、

「えっ!?一緒に書こうよ~」

真行寺が食い下がる…。
まるで、デカイ子供が駄々をこねているように見えて…。だから、子供だって言われるんだ…真行寺。

「アラタさんは、願い事ないの?」

願い事…。

真行寺に聞かれて、ふと思う。願い事は…もう叶った。でも…欲をかけば、ないことも、ない。
しかし、20代半ばを迎えて…短冊に願い事を書くなんてこと、先ずないだろ…。
短冊に願い事を書いたのは…小学生の頃だけだ。

「アラタさん、ほら短冊」

「…え?」

いつの間にか、真行寺が短冊とペンを持ってきて、三洲に差し出した。

「…俺はいいって言っただろ?」

「ダ~メ。アラタさんも書くの!はいっ」

真行寺に無理矢理、短冊とペンを押し付けられた。

何故か…ピンクの短冊。

「俺、あっちで書いてくるから」

真行寺は気を遣っているのか、それとも恥ずかしいのか…。親子連れで賑わうテーブルの隅で、短冊に願い事を書き始めた。

俺の願い事…。

ただボーッと考えていると、

「アラタさん、書いた?」

真行寺が短冊を笹に括り付け、こちらへ戻ってきた。

「まだだよ」

「アラタさんは何の願い事書くのかな~?」

ニヤニヤしながら、三洲の隣に腰掛ける。

「見るなよ、書きにくいだろ?書けるまで、あっち向いてろ」

「もぉ、ケチ…」

真行寺はふて腐れて、仕方なく横を向いた。その隙に三洲は、サラサラッとペンを走らせる。

そして。

「付けてくるからな」

席を立ち、笹に短冊を付けに行った。



7月7日、七夕。

この日は、残念ながら雨…。
空の織り姫と彦星…今年は会えなかった。

「…あ~…俺だったら、耐えられない…」

窓の外、雨の夜空を見上げて真行寺が、そっと呟いた…。

「…何が耐えられないんだ?」

言いながら、真行寺の隣に立つ三洲。見上げれば…少し悲しげな表情。

「織り姫と彦星が来年まで会えないなんて…俺だったら耐えられないって話…」

真行寺は三洲の肩をそっと抱き寄せた…。

「…真行寺?」

「…俺達は良かったね天気も気にせず、毎日一緒にいられるから…」

絹糸のように、サラサラな三洲の髪にキスを埋めた。

「…俺の織り姫様は、アラタさんふふっ

「…じゃ、何だ?お前が彦星か?」

下から睨みを効かす。

「そっ

「…バーカ。お前、言ってて恥ずかしくないのか?ふふっ」

「あ!ヒドッ!でも…そうやって言われると恥ずかしいけど…。だけど、恥ずかしくない

「…なんだそりゃ?それに俺は姫じゃないぞ」

真行寺の言動…。時々、理解に苦しむけど。でも…まぁ、いいか。

「ね、アラタさん?」

「ん?」

「短冊になんて書いたの?」

また、余計なことを思い出しやがった…。

「…何だっていいだろ?おーしーえーなーいー」

「もぉ、いっつもそうなんだからぁ」

真行寺は、ぎゅうっと三洲を抱きしめた。抱きしめられて、そっと背中に腕を回す…。
雨脚が先程より強い…。
空が泣いている…。会えなくて…泣いている。

きっと、織り姫と彦星の涙雨…。

「…来年はきっと会えるよ」

「え?」

三洲の突然の呟きに、真行寺はキョトンとした。

「…空の二人がさ…」

「ふふっそうだね会えるといいよね…」

まっすぐ見れば、真行寺がいる…。触れ合う口唇は、とても温かい…。

俺の願い事…。

真行寺に自分の気持ちを伝えること…。伝えたことで俺の願いが叶った。

そして、短冊に書いたもう一つの願い事は…。

『ずっと一緒にいられますように…』



…オシマイ。o(^-^)o
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