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真三洲のプチ小説 

『秋の散歩道』


秋が深まった、ある休みの昼下がり…。

「今日すごく天気が良いね

薄いレースのカーテンを少し開けて、外を眺める…。素晴らしい程の秋晴れ、雲ひとつない青空。
こんな日は、家の中にいるのが勿体ない!そう思った真行寺は、三洲を外へ連れ出そうとする。

「ね、ねっ、アラタさん?もうちょっとしてから、散歩に行かない?」

「…はぁ?散歩ぉ?」

面倒臭そうに返事をした。休みの日は大概、外に出ない。よっぽどのことでもない限り。ソファーに身を委ねているだけで、眠りに誘われて…。ウトウトしかけた時、真行寺が声を掛けてきたのだ。

「そ天気良いし~、それに、アラタさんは運動不足だよね?ふふっ

「うるさいなっ。運動不足とか言うなよ」

運動不足と言われて、ちょっぴりムカついた。そりゃ…真行寺みたいに外回りではないから、一日の内で歩くのは、徒歩通勤の往復30分だけ。でも、仕方ないだろ?デスクワークなんだから…。

「運動不足でしょ~?だってアラタさん、いつもアノ時…足攣った!って言うじゃん?」

「それはっ、…お前が変な風にするからだろ!?」

思わず、ムキになって…赤面した。考えてみれば、真っ昼間からする会話ではない…。

「ふふっそんなに照れなくたっていいじゃんでも可愛いとにかく、後で散歩行こっ!?」

「………」

まんまと、真行寺に丸め込まれてしまった…。



それから、2時間程経ってから。二人で自宅マンションを出た。

「…ねぇ?怒ってる?」

マンションを出てから…いや、あれから一言も喋ってくれない三洲に、恐る恐る話し掛ける。

「…別にっ」

不機嫌オーラ、炸裂!

「…ゴメン、そんなつもりで言ったんじゃないよぉ」

秋と言えば、色々ある。
秋の夜長を楽しめる読書の秋、食べ物も美味しい食欲の秋、気候も涼しくなって青空の下で体を動かしたいスポーツの秋…。

真行寺は、ただ…。

二人で仲良く…キャッキャとラブラブな散歩を望んでいただけなのだけど。どうやら、三洲の地雷を踏ん付けてしまったらしく、ちっとも相手にして貰えない。まぁ…、自分が蒔いた種なのだから、仕方のないことなのだ。

それでも!

「…ねぇ~、アラタさ~ん」

甘えた声を出してみても、

「…うるさい。黙って歩けないのか?」

冷たくあしらわれて…。ちょっぴり…いや、かなり悲しい。三洲の一歩後ろを、ただついて行くだけ…。
まだ外は明るいけれど、それでも人通りの少ない裏道を選び、さっさと歩いて行く。
普段、通り馴れない道は景色が違って何だか新鮮。新しい発見があったりする。ふと、立ち止まり…。

「あ、ねぇ?アラタさん、こんなとこにイタリアンの店があるよ?知ってた!?」

真行寺はメゲもせず、三洲に話し掛ける。

「…知る訳ないだろ?」

「…だよね…ははっ…。じゃあ、今度ここでデートしよーよぉ

「やだね、面倒臭い」

真行寺を置いて、スタスタ歩いて行ってしまった。

「あっ、ちょっ、待ってよっ!」

三洲の背中を追い掛けて、閑静な住宅街を抜けて行く。見渡せば、もうどこもかしこも秋の気配…。銀杏並木も、やがて黄色に色づいていくのだろう…。

川の土手に辿り着くと、風に芒や疎らに咲く秋桜が華奢な、その姿を揺らしている。
夕陽に赤く照らされた三洲の横顔が何だか儚げで、真行寺の胸を切なく締めつけた…。

「…真行寺」

「…ん?何?」

不意に呼ばれて、ハッとした。

「寒くなってきたな…」

夏と違った冷たい風が、頬や首筋をスーッと撫でていく秋の風…。自宅マンションを出た時は、さほど寒くなかったから半袖のポロシャツのまま、来てしまった三洲は肩を竦める。

「アラタさん、そのまま出て来るからだよ…ふふっ

そう言いながら、真行寺は自分の腰に巻いてきたマドラスチェックの長袖シャツを解き、三洲の背中に掛けた。

「…これ、着なよ」

「ありがとう…。お前、寒くないのか?」

「うん平気アラタさんが、風邪ひいたら大変だから…」

真行寺のシャツに袖を通すと…華奢な三洲には少しだけ袖丈が長く、手の甲を隠して細長い指先を覗かせていた…。真行寺の手に指を絡めるように繋ぐ。

日が短くなったこの頃…。

辺りは夕闇に包まれ、人影もなくて…。子供達はいつの間にか、暖かな明かりが灯る家へと帰って行った。

「…お前の手、温かいな」

この温もりなしでは…生きて行けない。

「…年がら年中、温かいよ?な~んてねっ、ふふっ

「…さっきはゴメン、大人気なくて…」

二人でゆっくり歩きながら、秋の風に揺れる…。

「…何が?俺、何も気にしてないよ?」

ニコニコしながら、真行寺が応える。三洲の機嫌が直っただけで、ただそれだけでいい…。

「…謝りたかっただけだよ」

繋いだ手を、きゅっと握った。

「…ね?お腹減ってきたから、早く帰ろ?これも、散歩の効果かな?」

「…じゃぁ、さっきのイタリアンの店寄ってみるか?真行寺も、たまには家事サボりたいだろ?ふふっ」

「えっ!マジで?何食べよっかなぁ…?あ。でも俺、家事嫌いじゃないからね?アラタさんの為にご飯作るの、楽しいからさ

でも、今日は予定外の“ちょっぴりデート”を楽しむ…。この次、散歩する時…何かあるかな?予期せぬハプニング…そんなことを期待して。

「歩きだからー…お酒飲んじゃう!?」

嬉しそうに真行寺が言う。

「…少しくらいなら飲んでも良いぞ」

真行寺の腕にしがみつくように、腕を絡める…。

夕闇に、ぽっかりと浮かんだ月がこっそりと、二人を見つめていた…。照れたように時折、雲に隠れながら。


…オシマイ。o(^-^)o
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