FC2ブログ

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

真三洲のプチ小説 

『冬支度』


この秋、コタツを買った。

冬が近づくにつれて、コタツが恋しくなる…。一人暮らしから今までの間…不思議だが、ずっとコタツが無かった。少しくらい寒くても、着込めば何とか平気だった…。

いや。それは、ただ単にやせ我慢だったのか?

でも、やっぱり。これから冬を迎えるのに、この御時世…エアコンでは電気代も嵩むし…。ここは思い切って、コタツを買うことにしたのだが…。コタツひとつ買うのに真行寺と意見が食い違った。

「長方形のコタツが良い!」

「はぁ?長方形じゃ、狭くなるだろ!?正方形で充分だ」

ただ、足を温めるだけのようなものだし、形なんかどうでも…。

「長方形には、長方形の良さがあるのっ!」

何だかんだで。

結局、俺が折れて…。長方形のコタツを購入したのだ。長方形と正方形…。別にどっちも大して変わりないんじゃないだろうか?


そして、最近の真行寺は会社帰りに、蜜柑を買ってくることが多くなった。

「コタツと言えば蜜柑でしょ?」

籐の浅い籠に、蜜柑を山盛りに積んでコタツの真ん中にドン!と、置いてある。大概、真行寺がヒョイパクしてすぐに無くなってしまう。

「…お前、蜜柑食い過ぎじゃないのか?手が黄色くなるぞ?」

「…だって、美味いんだもん

口をモグモグさせながら返事をした。

「ほら、アラタさんも食べなよ?ビタミンC摂らなきゃお肌の為になんつって…ふふっ

これ以上、綺麗になると心配だけど…。

「…お肌の為~?女に言うならまだしも、男の俺に何で言うんだよ?どうでも良いだろ…」

時々、分からない真行寺の言動…。

「どうでも良くないよぉ。アラタさんは、女以上に綺麗だから俺はね…アラタさんには、ずっっ…と綺麗でいてほしいのっはい、蜜柑」

三洲の掌に蜜柑をひとつ手渡す。手渡された蜜柑を見つめて、

「とか、何とか言って…。ちゃっかりお前が、一人で食っちゃってるじゃないか」

「だぁって…仕事の後とかさぁ、腹減ってるんだもん…。ひとつだけにしようと思っても、美味いからつい手が伸びちゃうふふっ

「…ったく」

三洲は蜜柑の皮を剥き、一粒ぽいっと口に放り込む。

すると、真行寺が突然、ボソッと呟いた…。

「…あ~あ。葉山サンと、もっと仲良くしとくんだったなぁ…」

「…はぁ!?…っ…ケホッ、ケホッ!」

やっぱり、分からない真行寺の言動…。急に何を言い出すのかと思えば、葉山託生の名前が出てきた。

蜜柑が喉につかえそうになったじゃないかーーっ!

「…アラタさんっ!?大丈夫!?」

真行寺は急いで、三洲の背中を摩った。

学生の頃…。真行寺が余りにも!葉山と仲良くしているので、

『葉山にあまり懐くなよ』

と、真行寺に我が儘を言ったっけ…。でも、何故…今更?そんなことを言うのだろうか…。

「…お前が変なこと言うからだろっ?」

「別に変なこと、言ってないじゃん?…あっ!アラタさん…もしかして?妬いてる!?ふふっ

真行寺が嬉しそうに笑った。

「…笑うなっ」

「だって、アラタさん可愛いんだもん

隣に座る三洲を、ぎゅうっと抱きしめた。

長方形のコタツの良い所。
一緒に並んで座れること…。真行寺の腕の中で、その理由を聞いてみた。

「…葉山が、どうしたって?」

「ほら…。葉山サンて、静岡じゃん?もしかして、蜜柑売って貰えるかなぁ?って思ったからふふっ

こちらでは、滅多にお目に掛かれない静岡産の蜜柑。

「…葉山んちは、蜜柑農家じゃないだろ?ごく普通のサラリーマン家庭じゃなかったっけ?」

「…そうだけどぉ。親戚とかさぁ、近所の人とか…何かしら伝手はあるでしょう?格安で売って貰いたかったなぁ…。静岡はさぁ、蜜柑の産地だから美味そうじゃん?ふふっ

胸の鼓動と共に、心地好く響く真行寺の声に、耳を傾ける…。

「…お前は、ホントに食いしん坊だな?」

「今始まったことじゃないよ?ふふっ…あ!そうだ、そうだ!」

「…ん?なんだよ?」

「ちょっと、待ってて

真行寺はキッチンへ行き、冷凍室からアイスを取り出した。

「ねぇ、アラタさん?どれが良い?」

「は?何が?」

「ア・イ・ス…あのねぇ、バニラと、ストロベリーと、抹茶と、チョコ」

蜜柑の次は、アイスか。

アイスと言えば、夏のイメージなのだが。おやすみ前のひとときに「おコタでアイス」は、ちょっぴりシアワセな気分になる…。

「…じゃあ、バ…」

「アラタさんは可愛いから、ストロベリーねっ俺は男らしく、渋い抹茶にしよっと

バニラと言おうとしたら、その言葉は遮断され…真行寺の勝手で、ストロベリーにされてしまった。

…なら、いちいち聞くなよっ。…別に何でも良いけどさっ。ふふっ、それにしても…真行寺が「男らしく」って言うと、笑えるのはなぜだ?

「お待たせ~

また三洲の隣に腰を下ろした。

「はいストロベリー」

「うん…ありがと…」

ハーゲンダッツのストロベリーアイスの蓋を開けて、スプーンでひと匙掬い…口へ運んだ。ほのかな甘味と、爽やかな酸味が口の中に広がる…。ひんやりと。

だけど、寒くはない。足元も体も、とても温か…。

「ね、ねっ、美味しい?一口ちょうだい

真行寺が三洲の手元を覗き込む。

「…なんだよ、自分のがあるだろ?」

鮮やかなグリーンの抹茶アイス。これもハーゲンダッツなのだ。

「そうだけどぉ。ストロベリーも気になるんだよね~こっちはね、ちょっとほろ苦くて大人の味だよ

「大人の味なら、お前にはまだ早いんじゃないか?…ふふっ」

「あ!また子供扱いしたっ!俺は、大人ですーっ。それよりさ、一口ちょうだいよ

まだ言ってる。

「…しょうがないな、ほらっ」

アイスのカップを、真行寺に差し出すと一匙掬い、味わう…。

「ふふっ美味しっ…コタツで食べると、ホント美味いよね?」

「…まあな」

二人で過ごす秋の夜長…。
こんな些細なことですら、幸せを感じる…。こうして二人で肩を寄せ合って。

「…そろそろ寝よっか?」

「そうだな…、明日も早いし」

アイスを食べ終えて、寝室へ…。
冷えたベッドも、真行寺のおかげですぐに温まる…。人肌の温もりを覚えた、あの日からずっと…もう離れられなくなった。

コタツよりも、気持ち良い温かさ…。

冬はこれから訪れるけど。
今年の冬も、大丈夫そうだ…。


…オシマイ。o(^-^)o
スポンサーサイト

- 0 Comments

Leave a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。