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真三洲のプチ小説 

『ぬくもり』


あっという間に年が明けた。

歳を重ねる毎に、一年が早く過ぎて行くような気がする…。真行寺とひとつ屋根の下で暮らし始めて早三年。色んなことを経て、現在に至っている…。年末年始の休みに入り、まずは二人で大掃除をした。

…と、言っても。

普段から、真行寺がコマメにやってくれていたから、それ程大変ではなかった。窓拭きと、細かい所を少しだけ。一年間の汚れを二人でキレイに落とした。

そして、大晦日。

2011年も、あと半日…。昼に年越蕎麦を作ろうと、二人でキッチンに立っていた。華奢な三洲の体に、少し大きめのエプロンが初々しい…。滅多に見れないから、そう思うのだろうか?

「アラタさん。俺、蕎麦湯がくから天ぷら揚げて

真行寺は、天ぷら蕎麦が大好物だ。そのせいか、ヤケにテンションが高い。嬉しそうに冷蔵庫から海老を取り出した。

「ね、ねっ、見て、見て!奮発して、車海老買って来ちゃった~2011年も今日で終わりだからさ、ちょっとリッチにねっふふっはい。これ、天ぷら粉

市販の天ぷら粉を渡された。

「…俺、お前みたいに料理慣れてないから、失敗しても知らないぞ?」

「だぁいじょ~ぶだよ~。生で食べれるヤツだから、サッと揚げればいいし~♪」

「…何か、無責任な言い方だな?」

「ん?何が?」

…なんて調子で年越蕎麦を作り、二人で食べている時…。真行寺がこんな話を切り出した。

「ねぇ、アラタさん?」

「…ん?」

「年明けたらさぁ…新年会やらない?二人でふふっ

「…新年会?」

「そっ…ホントは、忘年会をやりたいと思ってたけど、年末って何だかんだ忙しくて、バタバタするじゃん?だから、新年会ならいいかな~って思ってさ」

忘年会は会社で毎年執り行うが…。

「…いつ、どこでやるんだ?」

「正月休み中か、まぁ…1月中でいいけど。安い居酒屋でいっぱい飲み食い出来るとこ

「…正月早々、店やってんのか?」

「最近はね、やってるみたいだよ」

そう言って、蕎麦のつゆをずずーっと啜った。

「…ふぅん。でも、めんどくさくないか?」

寒いし、酒を飲むのだから、当然歩きだし…。浮かんでくるのは、マイナスのことばかり。でも考えてみれば、今までに真行寺と二人で、飲みに行ったことはなかったかも知れない。

けど。

正直…ちょっぴり、めんどくさい。

「…またぁ。すぐ、めんどくさいって言うんだから~。一次会だけでいいからぁ、飲みに行こうよぉ~」

「…一次会だけって、二次会、三次会も、やるつもりだったんじゃないだろうな?」

それはオソロシイ…。

真行寺と違って、俺はザルではない。一次会はどうとしても、二次会、三次会とハシゴすれば完璧に潰れる…。潰れない自信はない。

「…えへへ~っバレちゃった?…あっ、でも二次会はここでいいよ

「…なんだよ、それ」

「お店で軽く飲んで、食って…後はのんびり、部屋で飲む!そのまま寝るも良し…エッチも有り!?みたいなふふっ

真行寺は、一人で妄想を膨らませ…頬をダランと弛めている。

「…だらし無いぞ、鼻の下伸ばして」

「の…伸ばしてないもんっ!」

…と、反論するも。

目の前にいる三洲が言うのだから、きっとそうなんだろうと思う…。でも、しょうがないじゃん。

アラタさんが大好きなんだもん
鼻の下だって、伸びちゃうよ


~・~・~・~・~・~・~


結局。

正月休み中は外へ出ることもなく…ずっと家の中で過ごした。外は寒いし、実は出るのが億劫だったりして。

コタツでゴロゴロ。

…たまには、怠けたい。
そんなことをしている内に、正月休みもあっという間に終わってしまった。新年会の話はどうなったのかと言えば…。仕事に体が慣れた頃にしようということになって。真行寺は張り切って、店に席の予約まで入れていた。

そして、その当日を迎える。

よりによって、生憎の雨で。でも、予約を入れてしまったのだから行くしかない。二人は、雨の中を予約した居酒屋を目指して、ただ歩いていた。こんな時は、街中まで行くのにとても遠く感じる…。

「雨の日は嫌だな…、濡れるから」

足元が気になってしまう…。そしてオマケに、とても冷たい雨。

「雨が降るとは思わなかったんだよぅ…。昨日は、あんなに天気良かったのに…」

天気の予測までは出来ません…。

真行寺は、三洲の後ろをトボトボと歩く…。ホントは相合い傘で、濡れないように三洲の肩を抱き寄せて歩きたいけど…。

そんなことしたら、怒られちゃうかな?

なんて、考えながら歩いていた。
人目も憚らず、イチャイチャ、ラブラブしながら街を歩くのは、夢のまた夢なのだ…。



居酒屋に着くと、店員に案内され個室へ…。二人は、向かい合わせに座った。

「う~、寒い寒い…。外、すっげ寒かったね?」

「冬だから寒いのは当たり前だ。オマケに雨降りだしな…」

個室は暖房が効いていて、とても暖かい…。真行寺は早速、居酒屋のメニューを広げた。

「ねっ、何頼む!?取り敢えず…生ビールだよね!?俺、腹ペコ~

「好きな物、頼めばいいだろ?」

「うんじゃあねぇ…山盛りポテトフライと…鶏の唐揚げ…あとは~…」

…何か。聞いていれば、子供が好きそうな物ばかり選んでないか?

「なぁ、真行寺。そーゆー物ばかりじゃなくて、温まる物も選べよ…。寒いんだから」

「うん、良いよあ、鍋物もあるから…どうしよう?キムチ鍋にする?温まるよ、これ

「良いよ、それで」

もう、この際…何でも良い。

「…ねぇ?そんなに寒いなら~…そっち行こっか?ふふっ

「はぁ?そこまで寒くないよ…。暖房も点いてるし」

何かに付けて、近くに来たがる真行寺だが…。こんな所でイチャつきたくはない。個室とはいえ、突然誰かが入って来るかも知れないから…。

ここは、ちょっぴり我慢して。

「…もぉ、遠慮しなくたって良いのに

「…遠慮なんてしてないよ…早く注文しろ、腹減ってるんだろ?」

「…はい、はいふふっ

これ以上突っ込むと、取り返しがつかなくなりそうな…。そんな気がして、真行寺はインターホンで注文を済ませた。

まずは、生ビールとお通しの枝豆が運ばれてきたので、早速!乾杯をして枝豆を摘む。

「…やっぱ、ビールには枝豆だよね~!」

枝豆をツマミに、あっという間に中ジョッキのビールを空けてしまった…。いつものことながら、たまげる三洲であった。たまげてる間に、店員が次々と注文した物を運んできた。キムチ鍋も火に掛けて、煮えるのを待つばかりだ。

早く身も心も温まりたい…。

三洲の密かな願いである。

「…お前、飲むピッチが速いぞ?」

男らしく飲む真行寺が、ちょっぴり羨ましい…。自分があんな飲み方をすれば、すぐに酔ってしまう。三洲はチビチビとビールを飲んでいた。

「大丈夫!ふふっ二杯目、注文しよっとアラタさんは、まだいい?」

「…見れば分かるだろ?」

やっと、中ジョッキの半分を飲んだところだ。

「早く飲まないと、温くなっちゃうよ~♪ふふっ

「…うるさいなっ」

真行寺は、アルコールの所為で気持ちが大きくなり、三洲をからかってみたりして…。そして、からかわれた三洲は、ちょっぴりムキになり…、ビールをググッと呷った。

「おっ!アラタさん、カッコイイ~

「…いちいち、うーるーさーいっ」

一気に飲んでしまおうと思ったが。真行寺があまりに茶化すので、横目で睨みつけた。

「お~~、こわっ!」

…と、言いながらも。

コワイ程に美しい三洲の流し目に、うっとりしてしまう真行寺であった…。


~・~・~・~・~・~・~


「…ねぇ、そろそろお開きにする?」

三洲が少し眠そうだったので、真行寺が声を掛けた。

「…そうだな、俺はもう眠くなってきたよ…」

いつもの凛としたクールな表情も、酔いと眠気でトロンとした目元になり、何だか可愛らしい…。キムチ鍋も食べて、体も漸く温まったところだが。店には二時間程いたけれど、帰ることにした。会計を済ませて、外に出てみると…雨が雪に変わっていた。

「…あ。雪だよ!アラタさん!積もるかな?」

「風がないから、積もりそうだな?…あー、寒いっ!」

凍てつく寒さに眠気も酔いも、どこかへ吹っ飛んでいくようだ…。地面からもその冷たさが伝わってくる。傘を差し、家路を急いだ…。

「何か、雪って…ワクワクしちゃうねふふっ

真行寺は手を伸ばして、舞い降りてくる雪を掌で受け止める…。掌の上で、すーっと静かに姿を消していく、ひとひらの雪…。

「…雪を見て喜ぶのは、犬と子供くらいだぞ?…あ、両方ともお前か。ふふっ」

「あーっ!ヒドッ!…ブーーーッ!違いま~す!俺は、犬でも子供でもありましぇ~ん!歴としたオ・ト・ナ

声を大にして、言いたい!

「…ど・こ・が?…ふふっ」

「…もぉ、全部だよぅ

三洲の肩に腕を回そうとしたら、傘が邪魔をして腕を回せない。

「…何してんだよ?」

「ん?…何でもないっ」

上目遣いに見つめられて、ドキッとした。真行寺は途端に誤魔化す…。それから二人は、これといった会話もなく、うっすらと雪が積もったアスファルトの上を歩いて行った。自宅マンションへと続く最後の一本道に差し掛かると…雪が降っているのにも関わらず、三洲が突然傘を閉じた。その行動に真行寺がキョトン…として。

「…アラタさん、どうしたの?」

「さっきよりも、寒くなってきたな…」

そう言って、真行寺の体に抱きつき頬にキスをした。

「…アラタさん?」

「…お前の頬っぺた、冷たい」

三洲は冷たい手で、真行寺の頬を包むと…その冷たさに驚き、真行寺が飛び上がった。

「わっ!つめてぇっ!」

「あははっ!」

「風邪ひいちゃうよっ!もぉっ!」

「真行寺、声がデカイ!寝た子も起きるぞ?…ふふっ」

「…だぁってー!もぉっ。いっつも、そーやって意地悪するんだもんなー…ブツブツ」

「ほら、ブツブツ言ってないで…帰るぞ」

三洲は真行寺の傘に入り、寄り添う…。

「アラタさん、いっつも手が冷たいんだから…」

三洲の右手を取り、指を絡ませて…。そのままダウンジャケットのポケットに、手を突っ込んだ。誰も歩いていない舗道を、相合い傘で肩を寄せ合い、幸せな気持ちで歩く。

「早く帰って、二次会しよっ!?」

「酒なら、もういいよ」

「…酒じゃなくて、ふふっアッチ

「…あっち?何だよ、あっちって…?」

歩きながら、真行寺を見上げると…。ニヤニヤしながら三洲の耳許に口唇を近づけて、

「…ベッドで…二次会二次会っていうか…エッチしよっ!?ふふっ

「はぁ!?一昨日したばっかりだろ?」

どうせ…そんなことだと思ってたよ。何年も付き合っていると、色んなことが見えてくる…。良いところも、悪いところも、全部ひっくるめて真行寺なのだから。だけど、コイツの頭の中が…いつも、アッチのことでいっぱいなのかと思うと、ちょっぴり参る…。

「そうだけど~…。一昨日は一昨日!今夜は今夜ふふっ

勝手なことばかり言う真行寺…。

「…やーだーねっ」

そう言っても、最終的にはOKを出してしまう…。何故なら、真行寺に抱かれるのは嫌じゃないから…。だけど、つい反対のことを言ってしまう俺…。

「また~…。今日こんな天気で、すっげ寒いのに?…温めてあげるからねっ

冬の寒空を見上げて…。

雪は、まだまだ降り続ける…。それと共に、真行寺への純粋な気持ちも降り積もって、胸がいっぱいになった…。自宅マンションまで、あと100メートル程…。

「…寒いから、早く帰ろう…。温めてくれるんだろ?」

「…うん勿論

真行寺が、ニッコリと微笑む。ポケットの中で握られた手が、とても温かい…。


…オシマイ。o(^-^)o
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