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真三洲のプチ小説 

『time goes by 1』


昼前から雨が雪に変わった…。サラサラしたものではなく、水分を含んだ雪…霙が降り続けていた。

「アラタさん、雪だよっ!」

部屋の窓を開けて、顔を出した。雪にはしゃぐのは、犬と子供だけ…。それと、真行寺。

「…寒いだろ、早く閉めろよ」

冷たい外気が、三洲の頬をスーッと撫でていく…。コタツに入っていても、服を着ていても、その寒さは感じられた。

「あ、ごめんっ…」

真行寺は急いで窓を閉めて、三洲の隣に座り…ピタッと寄り添う。

「今日ってさぁ、成人式だよね?この天気じゃ…新成人も可哀相だね」

「…そうだな。足元も濡れるし、寒いしな……って、ゆーか…お前、くっつき過ぎっ…なんだよ?」

ちょっぴり邪魔くさそうに、真行寺を睨みつけると…ふと、視線が合った。ニヤニヤして、こちらを見ている。

「…だってぇ、寒いかと思ってさ~そ・れ・よ・り!アラタさんの成人式って、どうだったの!?ふふっ

「…どうって、別に普通だったけどな」

「ね、ねっ、どっち着た!?」

「…はぁ?どっちって、何が?」

「スーツ?それとも、紋付袴?」

まるで、女子か!?というような、真行寺の問い掛けに半ば…呆れる。

「…スーツに決まってるだろ」

マグカップに半分程あった、もうとっくに冷めたコーヒーを、一気に飲み干した。

「俺もスーツだった…でもぉ、アラタさんの紋付袴…良いなあ~…うふふ

真行寺は、ちょっぴり頬を赤く染めて、妄想をしていた。三洲のことだから、きっと凛々しくて、カッコイイに違いない!なんて、考えていたら…頬も当然、弛んでくるもの。三洲は、そんな真行寺を横目で見るや…そのだらし無い頬を、むぎゅっと抓った。

「い~ててててっ!」

せっかく妄想した、紋付袴姿の三洲が消え去り…頬に痛みだけが残った。

「…もぉっ!痛いじゃん!」

「だらし無い顔してるからだろっ…ったく、見てられん」

「いっつも、そーやって意地悪言うんだもんなぁ…。あ!ねぇ、そん時、写真館とかで写真撮った?」

三洲は写真が嫌いであった。知っていたけど、成人した記念にもしかしたら、撮ってたりするかも知れない…。

「…ああ、撮ったな、そう言えば」

「マ、マ、マジでっ!?すっげ、見たいんですけどっ!」

真行寺は、興奮気味である。

「…はあ?そんなもん見てどうするつもりだ?変なヤツだな」

「だってぇ…ピッチピチだった頃のアラタさんが、見たいんだもんふふっ

“ピチピチだった頃”…何故か、過去形。三洲の若かりし頃は、勿論知っているけれど…。大人に近づくにつれ、色気も増していくから。

「なんだそりゃ?」

「見たい見たい写真見たい~っ

「…そんなもん、ここにはない」

「え~!?実家にあるの?持って来てよ~

多分、実家のどこかにあると思うが…。それをわざわざ持って来いだと?

「…やなこった。めんどくさい」

「ケチーーーーっ!俺、見てないのにぃ…。成人のお祝いしたかったのにさぁ、アラタさん…その日デートしてくんなかったじゃん」

…ああ、思い出した。あの日は確か…家族と過ごしたのだが、後で母の妹の琴子も押しかけて来たんだったな…。まあ…結果的に二人の相手をして、疲れただけだったけど…。

「…なんだよ、根に持ってるのか?ん?」

真行寺の顔を覗き込むと、急に口籠もる…。

「…え…別に…そうじゃないけどさぁ…」

綺麗な三洲に見つめられると、やっぱりどこか緊張してしまう…。三洲が、綺麗になっていくスピードの速さと言ったら…。いくらスポーツが得意な真行寺でも、追いつけないくらいに速い。

昨日より、今日。今日より明日…なのだ。

恋人同士になった今だって、勿論心配…。一緒に街を歩く度、皆が三洲に振り返るから、内心ドキドキしているのだ。

「…そんなに見たいのか?」

「さっきから、そう言ってるじゃん

何か、もう一押しすれば見せて貰えるような気がして、その一押しをしようとした時、三洲の携帯が鳴った。

「…あ、ちょっと済まない…電話だ」

「…もぉ、誰だよ…こんな時にぃ」

とんだ邪魔者が入ったと思い、仕方なく三洲の電話の応対に、耳を傾けてみた。

「もしもし…あ、母さん?」

電話の相手は、母の理子であった。

「えっ!?お母さん!?」

何だろう?お正月はアラタさん…実家へ帰らずに、ずっとここにいたし…。心配で電話してきたのかな?

色々な考えを巡らせながら、真行寺は三洲の電話が終わるのを待っていた。

「…そんなこと、急に言われたって困るよ、母さん」

困る…?何が困るんだろう?

『あら~、良いじゃないの。たまには、あーくんのマンションへも遊びに行きたいわねぇ、いつ招待してくれるの?』

招待するとか、一言も言ってないのに。なんて、勝手な人なんだろう…。

「俺一人なら良いけど…真行寺の都合もあるから…」

えっ?俺の都合?…いったい、何の話!?また、遊びに来いってことかな?

話の内容が見えていない真行寺は、ただ首を傾げるばかり…。

『ふふっあーくんはいつもそうね?真行寺君のことばかり気にしてうふふ

「べっ…別に、気にしてなんかないよっっ!」

無意識に、真行寺の名前を出してしまう自分に、思わず頬を染める。電話だから良いものの…、目の前に母親がいなくて、大変!有り難い…。

もう、バレバレなのだから。

『なら、ママが真行寺君に言ってみるわ真行寺君いるんでしょ?代わって

「良いよ、俺が言うから」

『あら~、真行寺君とお話したかったのに~』

「良いからっ…ちょっと待ってて…」

下手に電話口に出せば、それは楽しそうに盛り上がってしまうことが、目に見えているし…。そうなったら、ちっとも面白くない。

真行寺は、俺の物なんだよっ!

その声は理子に届くことはないが…。三洲は、隣に座っている真行寺に聞いてみた。

「…なあ。電話、母なんだけど…ここへ遊びに来たいらしい…。どうする?真行寺」

「…えっ!?お母さんが!?…マジでっ!?」

真行寺は、驚いたような表情をしているようにも見えたが…どこか嬉しそうな表情にも見えた。

「…なんだよ、やけに嬉しそうだな?」

「ふふっ分かる!?だって、アラタさんのお母さんだよ!?俺は大歓迎~!」

予想外の展開に、三洲は溜め息と共にガクリと肩を落とした。

「…ん?どうしたの?アラタさん」

てっきり、断ってくれると思っていたのに…。選りに選って、大歓迎と言われてしまった。また面倒くさいことになるじゃないか!

「…ねぇ、アラタさん?」

「お前は良いんだな?母が来ても」

「…良いけど…。アラタさん、嫌なの?」

ニヤニヤしながら、こちらを見ている真行寺が、ヤケに小憎たらしい…。

「…別に、お前が良ければいいんだよっ」

ちょっぴり不機嫌になりながら、さっきから電話口に待たせている理子と話す。

「…で、母さん。いつ来るの?」

息子の問い掛けに、理子の声が弾む。

『…ってことは?行っても良いのねっ!?…急で悪いけど、今週の土曜日が良いわ

「…本当に急だね」

『パパも相変わらず、出張ばかりでしょ?一人で家にいてもつまらないの…。今年のお正月は、あーくんも帰って来なかったし…ママ、いつも心配してるのよ?』

「ごめんね、母さん。そんなに心配しなくても、俺なら大丈夫だから…」

『そうね…。真行寺君もついていることだしうふふ美味しいものも、食べてるみたいだから?ママも真行寺君のお料理、また食べたいわふふっ

「…もぉ…母さん、そーゆーことは良いから!」

真行寺のことで、突っつかれるのは、いつまで経っても苦手だったりして…。出来れば、そっちのことは放っといてほしいくらいだ。

『…でね、あーくん?一晩くらい泊まっても良いわよねあ~、今からワクワクしちゃう~

そっちの承諾はまだなのに、勝手に盛り上がる理子であった…。だが、やっぱり息子は母親には弱いので“良いよ”という選択しか、残されていないのだ…。その他、必要なことだけ話して電話を切った。

と、同時に…溜め息。

「…どうしたの?アラタさん、溜め息なんかついちゃってさ…」

「…母が、ここに泊まるらしい」

「…えっ!?泊まるのっ!?…でも、布団…余分にないよ?どうしよっか?…ソファーとか、コタツじゃ可哀相だし…」

他のことは特に心配しなくても大丈夫なのだが…。問題なのは、寝る所。

「俺が自分の部屋で寝て、アラタさんはお母さんと寝る…とか?」

「お前…。それ本気で言ってるのか?…子供じゃあるまいし、今更母親と寝る訳ないだろ!?」

「…え…だって、親子水入らずで良いと思ったのに…」

きっと、理子にとっては嬉しいことなのかも知れない。息子の寝顔なんて、ここ数年間見てはいないはずだから…。でも、その当の息子は…かなり嫌がっている。

「…良いよ、俺がソファーで寝るから。ベッドは母に譲るよ」

「そんなことしたら、風邪引いちゃうよ、アラタさん」

…一応、そんな感じで話が纏まって、週末を迎えた。朝から、ちょっぴり大忙し…。三洲の母、理子は昼頃に最寄り駅まで来るとのこと。迎えに行った序でに、買い物も済ませてくるつもりでいる。

「ベッドのシーツとか取っ換えとかなきゃ!アラタさんの枕カバーも…一応換えた方が良いかな?」

そう言いつつ、三洲の枕にパフッと顔を埋めてみた。

「…はああああ~…いい匂い……いてっ!」

「何してんだ?お前は」

ちょうど、着替えようと寝室へ戻ると、真行寺が奇怪な行動をしているのを見つけ、思わず頭をひっぱたいた。

「あ…アラタさんっ…」

バツが悪くて、頬を赤くしながら肩を竦めた。

「変態チックなことしてるなよっ」

「えっ…違うってば!お母さんにベッド、気持ち良く使ってもらう為に…洗濯しようと思っただけだもん…」

真行寺は枕カバーを外して、洗いたてのカバーと交換した。その後で、シーツと掛け布団カバーもキチンと換えて…。自分の枕は、自分の部屋のベッドに放り投げた。シーツ類は洗濯機へ放り込み、そのまま洗濯を始めた。

「…後は、簡単に掃除した方が良いよね~」

掃除はいつも、週末に念入りにやっているのだが、平日でも気がついた時、ちょこっとやったりする程度。

「真行寺、俺寝室とリビング掃除機かけるよ」

着替えを済ませた三洲が、真行寺に声を掛けた。

「あ、うん。ありがとうお母さん、11時半に駅に着くんだっけ?」

「ああ、そうだよ」

「…じゃあ、ちょっと急がなきゃね…」

時計はもう、10時を回っている。掃除が済んだら、理子を迎えに行く…。
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