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真三洲のプチ小説 

『time goes by 2』


自宅マンションを11時過ぎに出て、最寄り駅まで三洲の母である理子を迎えに行く…。外は相変わらず寒くて、成人の日に降った雪が、未だ解けずに路肩に残っていた。車で行けば、最寄り駅まで10分程で着ける。駅から最も近い駐車場を利用して、少しだけ歩いて行く…。

「…外、やっぱり寒いね?天気はまあまあなのに…風が冷たいね?」

真行寺が肩を竦めて、ダウンジャケットのポケットに手を突っ込んだ。

「…そうだな。母さんも来るなら、もう少し暖かくなってからにすれば良かったのにな…」

「あーくぅん!真行寺くぅん!」

急に名前を呼ばれて、同じ方向に目を向けると、予定時刻より早く到着したらしい理子が、ニコニコしながら大手を振っていた。二人は、恥ずかしいので足早に理子の元へ…。

「母さん、早かったんだね」

「ええ、何か嬉しくってね一本早い電車で来ちゃったわ真行寺君、こんにちわ

「あ、こんちわっす」

真行寺はペコッと頭を下げた。理子は、まるで少女のように…本当、嬉しそうだ。

「二人とも、元気そうで良かったわ…それにしても、今日も寒いわね」

「もう少し暖かくなってからでも良かったのに…母さん。風邪でも拗らせたら、大変だよ?」

「う~ん、そうだけどぉ…。二人に会いたかったのよぉうふふ

理子にストップを掛けないと、話が長くなりそうな勢い。

「…立ち話もなんだから、車に戻ろうか?真行寺」

「あ…うん。そうだねお母さん?お荷物、持ちますよ」

「あら!ありがとう、真行寺君。優しいのね

「いえいえ!そんな~、お母さん

三洲と真行寺…。これでは、どっちが息子なのか分からない。真行寺も、気を遣っているのかも知れないが…。理子も、息子の特別な後輩ということもあって…真行寺を気に入っていたりして。

「母さん、買い物して帰るからね?」

車に乗り込んでから、三洲が母親に伝えた。

「良いわよ。あ!そうだ。あーくん?頼まれた物、持ってきたわようふっ

「…え?……ああ、アレね。マンションに着いてからで良いから」

真行寺、こんな時は何故か…ダンボ耳になる。

「何?何?アラタさん、お母さんに何か頼んだの?」

あんなに見たがっていたのにも関わらず、三洲の新成人の記念写真のことなど、すっかり忘れている真行寺である…。

「…何でもいいだろ?…ちゃんと前見て運転しろよ」

「…は~い」

二人のやり取りを、後部座席から見ていた理子はスカさず、口を挟む。

「…あーくん、何か真行寺君のご主人様みたいね?ふふっあんまり虐めちゃダメよ

「…別に虐めてないよ。いつも、こんな感じなんだよ…俺達」

「そうっすよ、お母さん」

「…そうなの?」

「俺達、こう見えて仲良しなんすふふっ

「真行寺っ!」

…全くこの男わっ!調子こいてると、いつかボロが出るんだぞっ!わざわざ、危ない橋を渡ろうとしやがって!

三洲の心の叫びである。真行寺という男は、いつ何時も気が抜けないのだ。

「…ふふっそうね仲良しって、良いことよね?あーくん

「…はい、はい」

いつかの正月を思い出す…。またあの時みたいに、ドキドキしなければいけないのかと思うと、何だかゾッとした…。適当に雑談をしているうちに、スーパーに着いた。

「到着~!」

「ありがとう

三人は、車から降りて店内へ…。カートを転がしながら、食品コーナーに向かった。

「ね、ね、お母さん?今日何が良いっすかね!?」

「そうねぇ…。寒いから、鍋物とか…どうかしら?」

「良いっすねぇ冬は鍋に限るっすよね?…アラタさん、今夜鍋で良い?」

横にいる三洲に聞いてみる。食事のことに関しては、真行寺に任せているので、特にあれこれ文句は言わない。

「…ああ、良いよ」

「じゃっ、決~まりっ!」

「真行寺君の手料理、楽しみだわうふっ

「そうっすか!?でも、男の料理なんで~…ちょっとテキトーっつーか…何つーか…えへっだけど、お母さんの手料理には敵わないっすー

「やだ真行寺君たらぁ

「あはははっ

…何が“あはははっ”だよっ!?

二人の会話を聞いてると、何だかイライラしてしまう…。三洲は、すっかり蚊帳の外なのだ。余りに見兼ねたので、真行寺の腕を取り、不機嫌丸出しで言い放つ。

「喋ってないで、早く買い物して帰るぞっ…。母さんもっ」

「あ…うん」

キョトン…として、返事をした真行寺の顔がまた!ちょっぴりムカついたりして…。

「…やだ、コワイわね…。あーくん、怒ってるのかしら?」

理子はこっそり、真行寺に耳打ちをした。

「…や…大丈夫っすよ…多分。怒ってないっす…」

真行寺は分かっている。別に、理子が悪いわけではないし。ただ、妬いてるだけ…。

そこも、三洲の可愛いトコロなのだ。

これ以上、姫君の機嫌を損ねない為にも…。買い物を手早く済ませ、ちょうど昼を回っていたので、外で食事を摂ってから、自宅マンションへ帰った。



「お邪魔しま~す…わぁ…初めて来たけど…綺麗にしてるのね?」

理子は興味津々で、キョロキョロと辺りを見回していた。なんせ、男二人が住んでいる所なので、それなりなのかと思っていたが…。掃除も行き届いているし、何の申し分もない。

「真行寺が、よくやってくれるんだよ」

「そうなの~。真行寺君は、やっぱりしっかりした子なのねママも安心だわふふっ

何か…彼女(お嫁さん!?)でも褒めているような口ぶりだ。

「アラタさん、俺ちょっと洗濯物取り込むから…お母さんにお茶出してあげて」

「ああ…母さん、コーヒーと緑茶、どっちが良い?」

「あーくんが淹れてくれるの?ママね、こっちに来る時お菓子を買って来たの…コーヒーにしようかな?皆で食べましょ

「…コーヒーね?了解」

三洲は、コーヒーを淹れる準備をして、理子に向き直る。

「母さん、例の物…持って来てくれたんだよね?」

「例の物?…ああ、アレね

先程、車の中で言ってた“例の物”。理子は嬉しそうに、手提げ袋の中からそれを取り出した。

「懐かしいわよねついこの間のことみたいで…でも、何で急に写真なんか見たくなったの?」

写真を息子に手渡しながら聞く。

「…誰かさんが、見たいって煩いから」

リビングの隅で、せっせと洗濯物を畳む真行寺に目を向ける…。その様子を見ていた理子は、息子にそっと耳打ちした。

「…何か、真行寺君のも見たいわよね?あれだけ美男子なんだし、きっと素敵よ

「…そう?」

三洲は、素っ気な~い返事をしたが…。そんなことは、理子に言われなくても分かっている。基本、ガキくさいけれど…時々、三洲も惚れ惚れしてしまう程…男前な真行寺を、三洲は知っているから。そうこうしてるうちに、キッチンからコーヒーの香りが…。

「…コーヒー、良い匂いね…」

「コーヒー淹れるから、待ってて?…真行寺もコーヒー飲むだろ?」

「うん、ありがと…これ、もうちょっとだから…畳んじゃうね

「洗濯物、良く乾いた?」

お菓子の包みを開けながら、理子が真行寺に話掛けた。

「乾いたっすよ~。やっぱ、外に干すと気持ち良く乾くっすよね?休みの日ぐらいしか干せないんで…。平日は部屋干しっすからね~」

「…何だか、主婦みたい…ふふっ…あらっ、それ…可愛い下着ね~真行寺君の!?」

理子の目に止まったのは、白地にピンクのドット柄のボクサーパンツ…。以前、真行寺が三洲にプレゼントした物。

「あっ…いや、これは…」

「俺のだよっ」

その声にキョトンとする二人…。コーヒーを運んで来るや否や、何の話をしているのかと思えば、自分の下着の話をしているとは…。

…呆れた。

「やだあーくんのだったのね…何だか、イメージが湧かなくって

…そりゃ、そうだ。元々、三洲の趣味ではない。真行寺の好みなのだから…。

「…別にどんなの穿いたって、構わないだろ?人に見せる訳じゃないし…」

「ええ、勿論よ若いんだからうふふ

こんな些細なことでさえ、真行寺の影響なのかと思うと…。やっぱり、息子にとって真行寺は“スペシャルな存在”なのだと、理子は勝手に解釈をしている…。

「コーヒー、冷めないうちにどうぞ」

「ありがとあーくん真行寺君も、こっちに来てお菓子食べましょ

「は~い、お母さん

洗濯物を片付けて、コタツに入った。いつも、三洲と並んで座るけれど…今日は理子にその席を譲り、自分は端の席に座る。

「はい、真行寺君。これ」

「…ん?何すか?これ」

例の物を真行寺に手渡すが、すぐに思い出せず、これまた…キョトンとする。

「あーくんの成人の記念写真。真行寺君、見たかったんでしょ?」

それを聞いた途端、目をキラキラさせた。

「えっ!マジっすか!?見、見たかったっす!お母さん、持って来てくれたっすね~!ありがとうございますっ!」

「…写真ごときに大袈裟だろ、真行寺」

「うふふ本当、大袈裟よ?…だけど、凄く嬉しそうね

「はい凄く嬉しいっす…ところで、見ても良いっすか?」

「どうぞ

何故か、理子に承諾を得て…表紙をめくると、成人になりたての初々しい三洲の写真があった。

「うわっやっぱ、思った通り…

凛々しくて、綺麗…。写真慣れしていない所為か、どこか表情が硬めだけど…それはそれで、また良いのだ。

「…思った通りって何だよ?」

「アラタさん…ス・テ・キふふっ…あっ!」

「写真、もういいだろっ」

真行寺の手から、写真を引ったくった。

「もぉ!まだ見たいのにーっ!」

その状況を見ていた理子は、ふふっと嬉しそうに微笑む…。

「本当、仲が良いのね妬けちゃうわうふふ

「分かりますぅ!?ふふっ

「二人共ーーーっ!」

今となっては、真行寺も理子には大分慣れたようで…。最初の頃の、あの緊張しまくっていた真行寺はどこへやら?あの時の方が、まだ可愛気もあったのに…。理子は今日一泊だし…、この分では、先が思い遣られそうだと、密かに思う三洲であった…。


~・~・~・~・~・~・~


「お母さん、ビール飲みます?」

18時を過ぎた頃。休日ということもあって、理子を交えての少し早めの夕食…。

「そうねぇ…ちょっと貰っちゃおうかしらいつも余り飲まないんだけど…あーくんと、真行寺君となら是非飲みたいわ

「だからって、母さん…飲み過ぎないでよ?」

「大丈夫よぉ…ママ、ホストクラブ行ったことないけど…こんな感じなのかしら飲み過ぎちゃったら、ごめんなさいねうふふ

まさに“両手に花”状態。

「…何か、母さん…飲む前から、酔ってるみたいだよ?大丈夫?」

「酷い!あーくんたら

そんなことを言われても、理子は上機嫌だ。アルコールが無くても、自慢の息子と真行寺の美貌を、ただ見ているだけで酔えるものだ…。
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