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真三洲のプチ小説 

『time goes by 3』


「お母さん、ビールどうぞ

先ずは、理子のグラスにビールを注いだ。

「ありがとう、真行寺君やっぱり、持て成されるのって…良いわね他の人に、お料理作って貰うこと少ないから…」

「そうっすよね~。今日はゆっくりして下さい…。アラタさん、グラス」

三洲のグラスに、ビールを注ごうとすると、理子がその役を買って出た。

「私がお酌するわはい、あーくん

「…ああ、ありがとう」

「真行寺君も

「ありがとうございますっ

ビールがそれぞれに行き渡ったところで…乾杯をした。

「ジャ~ン!」

鍋物も、ちょうど頃合いで…。真行寺が土鍋の蓋を取った。

「美味しそうね

「お母さんの口に合えば良いっすけどねいっぱい食べて下さい」

言いながら、器に盛りつけてあげた。勿論、三洲の分も…。

「いただきます、真行寺君」

「はい、どうぞ

「…はぁ~…美味しいすっごく優しいお味…。温まるわあーくん?いつもこんな美味しい物食べてるなんて、ズルイママ羨ましいわ

「そう?」

冷ややかに応えるも、羨ましがる理子を見て、口には出さないけれど…“良いだろ~!”と心の中で自慢気に思う。どう転んでも真行寺の心は、三洲だけに向いているのだから。

「そうよ~。人に作って貰う食べ物って、本当美味しいわよね

理子は終始、ニコニコ顔で…。三人で会話も弾み、〆の雑炊もペロリと平らげた。

「…は~。お腹いっぱい。ご馳走様でした本当、美味しかったわ

「い~え~。大したもんじゃなくて、すんません…」

ただの鍋物なだけに、理子の言葉が有り難いもの…何だか申し訳ないやら、恥ずかしいやらで…真行寺は、頭をポリポリと掻いた。

でも、褒められると…やっぱり嬉しい

「お母さん、お腹が落ち着いたら、風呂も沸いてるんで…」

「ありがとう、後で頂くわうふっ至れり尽くせりね


~・~・~・~・~・~・~


「お風呂、頂きました~。お先にごめんなさいね良いお湯だったわ

理子が風呂から上がり、パジャマ姿でリビングへ入ってきた。

「母さん、今夜は俺のベッドを使って?案内するから」

「あーくん、いいの?」

「良いよ」

理子を寝室まで連れて行く。

「暖房、タイマーにしてあるから」

「ええ、ありがとう。それより、あーくん…大きなベッドに寝てるのね?ダブル?」

「セミダブルだよ。寝る時くらいは、ゆったりと寝たいからね?」

「そうね、大の字になれそう…うふふでも、ママね、お家でいつも畳にお布団敷いて寝てるから…落っこちたりしないかしら?」

「あはは、大丈夫だよ。…母さんて、そんなに寝相悪かったっけ?」

如何にも、それっぽい理由をつけて誤魔化した。まあ…、本当は違うけど。このベッドで、二人があんなことや、こんなことをヤッてるなんて、理子は勿論知らないのだが…。

「ベッドはね、余り慣れてないのよ。ねぇ?ママが、ここで寝るってことは…あーくん、今夜どこで寝るの?おコタ?」

「そのことなら、心配しなくても良いよ?真行寺の部屋で寝るからさ」

「…そう…。何か、悪いわねぇ?でも、ママ“川の字”で寝ても良いわよ仲良く三人でうふふ

突拍子もないことを言う母親に驚く…。

「…はあっ!?…川の字って…何言ってるの?母さん…俺は、そんなことしないからねっ」

子供じゃあるまいし…。思いっ切り想像してしまったではないか!だけど、このベッド…いくら何でも三人で寝るのは、ちと無理がある。やっぱり…ちょっとビールを飲み過ぎたんじゃないのか…?

「…ぷっ…ふふっやだ、冗談よ~そんなムキにならなくても良いじゃない

たまにしか会えない息子を、おちょくって楽しむ理子…。

「別にムキになってないよっ」

「うふふほっぺ、赤くしちゃって…あーくん、可愛い

「とにかくっ…今夜はここで寝てくれればいいからっ」

「はい、はい。ベッド遠慮なくお借りしますでも、寝るにはまだ早いから…もう少しリビングにいても良いかしら?」

「良いよ。俺は今から風呂入るから、真行寺と喋ってれば?」

「そうね、そうするわ

三洲は寝室を出たその足で、バスルームへ。理子は真行寺がいるリビングへ戻った。

「あ、お母さん。まだ寝ないっすか?」

「ええ、寝るにはまだ早いでしょ?真行寺君とお話してればって、あーくんも言ってたから

「そうっすか…何か、温かいもの飲みます?」

真行寺は席を立ち、キッチンへ。棚から缶を取り出して…。

「梅昆布茶で良いっすかね?」

「あら梅昆布茶?頂くわ二人はいつも飲んでるの?」

「いえ、飲むより…料理で使ったりしてるっすよ。さっき食べた鍋物にも入れたっすけどね」

「…あ~、聞いたことあるわ!さっきのお鍋の、優しい味の正体はソレだったのね今度、家でもやってみようかしら

何でも知っている真行寺に、感心する理子であった。今や、テレビやインターネットで、色んな情報が溢れ出している世の中なのだ…。

「お待たせっす。どうぞ…あ、お母さん。湯冷めしちゃいますから、これ…」

真行寺が、先程まで羽織っていたパーカーを、理子の背中に掛けてあげた。

「ありがとう、真行寺君。優しいのねこんなに優しいと、親御さんも幸せでしょうね?」

「…どうっすかね…分かりません。家の親、仲が悪くて…別居中なんすよ」

「…あら……ごめんなさいね…」

何気ない言葉だったのに…。もしかしたら、真行寺を傷つけてしまったかと理子は焦るが…。その真行寺は、ニコッと笑って、

「大丈夫っすよ、気にしてないんで。俺…おばあちゃん子で、父さんと母さんが喧嘩する度、おばあちゃんとこに逃げてたっす…。だけど、俺が中学に上がる前に、亡くなって。祠堂を受験したのも、親元を離れたかったから…」

「…そうだったの」

「…って、すんません…つまんない話しちゃって。へへっ」

「…ううん…真行寺君、大変だったのね…。私で良かったら、何でも言ってね?」

「はい、ありがとうございますっ

自分の母親が、理子のように穏やかな人だったら…良かったのかも知れないが。逆に、あんな両親だったから…祠堂で三洲に出会うことが出来たのかも…。そう思えば、全然悪くない人生だ。

「真行寺、風呂空いたぞ」

三洲が風呂から上がってきた。

「あ、うん。ありがと…じゃ、俺風呂入って来ます。お母さん、おやすみなさいです」

「ごゆっくりね、おやすみなさい」

「真行寺と何話してたの?」

真行寺が、バスルームへ入ったのを見計らって、理子に聞いてみた。

「真行寺君の御両親、別居中なんですってね…。しっかりした明るい子だし、全然そんな感じじゃないのに…気の毒だわ」

「まぁ…アイツも色々あるんだよ。実家へは殆ど帰らないし」

「そう…。あーくん、真行寺君をちゃんと守ってあげてね」

母親の言葉に、思わずドキッとする…。この人は、本当…突拍子のないことを言う。

「…分かってるよ、そんなこと…」

「…はぁ。ママ、もう寝るわ。梅昆布茶、ご馳走様

真行寺に借りたパーカーを、丁寧に畳みソファーの上に置くと、息子に“おやすみなさい”と告げて寝室へ入って行った。


~・~・~・~・~・~・~


真行寺が風呂から上がると、リビングはもう電気が消されて、真っ暗だった。

「…あれ?アラタさん、もう寝たのかな?コタツじゃ風邪引いちゃうから、俺のとこで寝れば良いのに…」

今夜は、お母さんもいるし…仕方ないか…。

そう思いながら、自室に入ると…シングルのパイプベッドの布団が、こんもりしていた。ベッドに歩み寄り、そっと覗く…。

「…なんだよ?」

三洲は、まだ起きていた。

「こっち、来たんだねふふっ

ニヤニヤしながら、ベッドに入ろうとすると、

「…お前は、今夜コタツ寝だろ?」

「えっ!?ズルイ!そんなの聞いてないよっ…でもぉ、ここで寝るし~アラタさん、もうちょっと詰めてよ」

もう、こうなったら…無理矢理潜り込むべし!

「なんだよ、狭いっ…」

「狭いの、大好きふふっ


パイプベッドが、ギシギシと軋む音を立てる…。風呂から上がりたての、真行寺の体が温かくて…心地好い。抱きしめられて、いつもの体勢に収まった…。

「もぉ、アラタさん、コタツで寝てると思って心配したのに…。ちゃっかり、俺のとこで寝てるし~。心配して、損した」

「…悪いか?」

真行寺の腕の中、上目遣いで睨みつけた。

「悪くないよふふっ…そんなおっかない顔しないでよ…」

「…今日はしないからなっ」

「…うん、分かってるよ…お母さんいるしね…」

珍しく、物分かりが良い…。いつもなら、そんなのお構いなしで始めてしまうくせに。

「…ね、アラタさん?」

「…ん?」

「今日はありがと写真、お母さんに頼んでくれて。見れて嬉しかった

「見たい、見たいってお前が煩いからだろ?母さんが、真行寺のも見たいって言ってたぞ?」

「え?俺の?まぁ、この部屋のどっかにあると思うけど…だけど、俺の見てどうすんの?アラタさんのは、見る価値あるけどぉ…。俺のは…ないっしょ」

本当、自分の物はどうでもいい真行寺である。新成人の三洲は、今とほぼ同じだが…、現在はやっぱり大人の色気が、無限に溢れている。物を取る時の指先とか、真行寺を見つめる瞳とか…きっと、無意識なのだろうと思うけれど。どんな仕草でも、色気がある…。

「そんなことないだろ…。あったら見せてやれよ。…俺も序でに見てやるから…ふふっ」

「えーっ、序でなの?…もっとさぁ、見せて!見せて!って食いついてよ?」

「…それは、ない…あははっ」

「なーにーそーれーっ」

真行寺は三洲の体を、コチョコチョ擽った。

「おいっ…バカッ……あははっ、止めろっ!」

「や~だふふっ

狭いベッドの中でじゃれ合うと、これまた温かくなったりして…。笑い過ぎて、息遣いもちょっぴり荒くなる。真行寺がやっと擽る手を止めたので、呼吸を整えて…どうにか落ち着いた。

「アラタさん、ほっぺた赤くて可愛い

真行寺が、上から覗き込む。先程、理子にも言われた…。

「…お前が笑わかすからだろ?」

「ふふっアラタさん、だぁい好きっ

むぎゅっと抱きしめられて、真行寺の匂いが鼻腔を擽る…。

「…苦しいよ、真行寺」

こんな二人を、理子が見たらどう思うのだろうか…?例え、二人の関係を否定されたとしても…もう離れられないのだ。今夜は、いつもより狭いベッドで、いつも以上に身を寄せ合って眠る…。でも、やっぱりそれが、心地好い。


~・~・~・~・~・~・~


「おはようございます」

「あ。おはようございますっ、お母さん早いっすね?もっと、ゆっくり寝てても良かったのに」

真行寺がキッチンに立ち、朝食の支度をしていると、理子が早々と起きて来た。

「いつもの癖で、早く目が覚めちゃったわ…。あーくんは、まだ寝てるの?」

「はい。休みの日だし…、まだ7時前だから。お母さん、朝ご飯は和食で良いっすかね?」

味噌汁に入れる具を切りながら、理子に聞いてみた。昨夜、聞いておけば良かったのだが、すっかり忘れ去っていた。

「ええ、良いわよ真行寺君と言えば、オムレツも美味しかったわ~

三洲の実家で作った時、理子が大絶賛してくれた。

「今日は和食だから、だし巻き卵で良いっすかね?」

「えっだし巻き卵?大賛成!楽しみ~ふふっ

真行寺の手料理となれば、何でも良い!二人で盛り上がっている所に、三洲が目を擦りながら、キッチンへ入って来た。

「おはよう…朝から騒がしいね?」

「おはよう、起こしちゃった?真行寺君が、だし巻き卵作ってくれるんですって

「…だし巻き卵、ね…」

オムレツの次は、だし巻き卵か。この歳を重ねた女子は...
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