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真三洲のプチ小説 

『time goes by4』(完結)


「洗面台、先に使わせて貰って良いかしら?そのまま、こっち来ちゃったから…寝ぼけ顔でごめんなさいね」

起きるや否や、物音がするキッチンへ入って来た理子である。

「…良いよ。早く支度して来なよ」

「でも、スッピンも綺麗っすよ、お母さんふふっ

その言葉に、理子は頬を赤らめた。

「やだっ真行寺君たらお上手ねうふっ

言われて、ちっとも悪い気はしない。息子は言ってくれないけれど、息子と同じ世代の爽やかな好青年から言われれば、誰だって舞い上がるものだ。

「…真行寺、大人をからかうな」

「えっ…からかってないよ?ホントに綺麗じゃん」

「母さんも、いつまでもデレデレしてないで、早くしてくれないかな?俺も洗面台使いたいからっ…」

二人が何だかんだ仲が良く、見ているとイライラして、ついつい言葉も乱暴気味になる…。

「やだ~、そんなに怒らなくてもふふっ

「…怒ってないよっ」

つまらないことで腹を立てる息子が、何ともいじらしくて堪らない…。いつもはそんなことないのに真行寺が絡むと、どこと無く様子が変わるのだ。

「はい、はい。じゃあ、使わせて貰うわねふふっ

理子は、そそくさと洗面所に入って行った。真行寺は、それを横目で確かめてから、三洲を引き寄せた。

「…なんだよ?」

姫君は、ちょっぴりご機嫌ナナメ?キッと睨まれたけれど、それが何だか可愛くて…。

「アラタさん、おはよ

素早く、頬にキスをした。

「…見られたら、どうするんだっ」

「お母さんなら、許してくれそうふふっ

三洲の耳許で、コソッ…と呟いた。

「ふーざーけーるーなっ」

憎たらしくなって、真行寺の蟀谷をグーで小突いた。

「イッタイな~っ、もぉ…」

「お前がクダラナイこと言うからだろ?」

「クダラナイか~…。いつか、お母さんにも認めてほしいな…俺達の仲…」

「…真行寺…」

「……なぁんてねっ朝から重いこと言っちゃったふふっ

そう言って、微笑むけれど…。真行寺の瞳の奥は、どこか悲しげで切なくなる…。

「…今はまだ無理かも知れないけど…、いつかきっと認めてくれる日が来ると願うしかないな…」

今は、これが三洲の精一杯の答え…。

「…そうだね

二人は見つめ合い、顔を近づけ…もう少しで、口唇が触れ合いそうになったその時。

「あーくん、洗面台空いたわよ~」

理子の声に、二人はビクッと驚き、反射的に体を離した。

「…あぁ、ありがとう…母さん」

廊下に続く、リビングの扉のその向こうに、返事を返した。寝室の扉が閉まる音を確認してから…。

「…迂闊にキスも出来ないな」

ほんの一瞬だが、母親がいることを忘れてしまう程、二人は素に戻っていた。

「…うん、そうだね。でも…今なら大丈夫じゃない?」

もう一度、三洲を抱き寄せて…ニヤニヤしながら、顔を近づけると…ぎゅ~っと、顔を押しやられた。

「しーなーいっ」

「何…もぉっ、ケチッ」

「今じゃなくたって良いだろ…。さて、顔でも洗ってくるか」

三洲は逃げるように、その場を去って行く…。その背中を、見送らざるを選なかった真行寺は憮然として呟く…。

「…せっかく、チャンスだったのにぃ…」

そして真行寺は、溜息をひとつつき…そのまま、朝食の支度を続けたのであった。


~・~・~・~・~・~・~


「わっ美味しそう

身支度を整えた理子が、テーブルに並べられた朝食を見て、にっこりと微笑む。

「在り来たりっすけど…」

焼き魚と、だし巻き卵、具だくさんの味噌汁と、温野菜を少し。あと、白菜の浅漬けも。

「ご飯が進みそうだわうふふ

「ご飯いっぱいあるんで…。つーか、俺がいっぱい食うからなんすけどね~ふふっお母さんも、いっぱい食べて下さい

「そうそう。いつも朝から、三杯飯だよな?真行寺は」

三洲も身支度を整え、ひょっこりリビングに現れて、さりげなく二人の会話に口を挟んだ。

「…はい、はい。どうせ、俺は大食らいですよーだ」

そんな二人のプチバトルに、理子は微笑む。

「うふふ朝から仲が良いこと

「でしょう!?俺達、チョ~仲良しなんすお母さんふふっ

「真行寺っ!」

ちょっぴり、からかっただけなのに…。理子を味方につけているのかどうかは分からないが、逆にからかわれているようで、何だかムカつくのだ。

真行寺め…覚えてろよっ!

口には出さないものの、不機嫌な表情はしっかりと顔に出ていた。

そして、理子が待ちに待った朝食タイム。いただきますをして、早速だし巻き卵を食べてみた。

「卵焼き、お出汁が利いてて美味しいわ

美味しそうに頬張る理子を見て、真行寺はこれまた一安心…。

「…あ~、良かった何か、俺…お姑さんに褒められる、お嫁さん気分~ふふっ

「やだっ真行寺君たらでも、合格ようふふ

「…ぶっ!…ケホッ、ケホッ!」

味噌汁を啜っていた三洲が、思わず噎せた。この手の話は…どうも苦手だったりする。この二人、朝っぱらから、ろくでもない話をするから…正直参る。

「あーくん、大丈夫!?」

理子は一先ず箸を置き、息子の背中を摩った。顔を覗き込むと、噎せた所為で頬が少し赤い。

「…大丈夫だよっ。…朝からつまらないこと、言わないでくれるかなっ!?」

「…あら…そんなに怒らなくても…」

「…怒ってないよっ」

ポカンとして言う天然の母親に、益々…参る。そして、動揺も上手く隠せない自分も、何だか情けない…。

「…ふふっ顔、赤いわよ?」

「母さん?そんなことより…。せっかく、真行寺が作ってくれた朝ご飯が冷めるよ?」

息子に、そう言われて。

「そうね、冷めないうちに頂かないと…。お魚も美味しいわふふっ

息子が照れるトコロなんて、昔は余り見たこともなかったけれど…。真行寺と住むようになってからか、度々見れるようになった気がして、密かに喜ぶ理子であった…。


~・~・~・~・~・~・~


「お母さん、これ…俺の成人の記念写真っす」

真行寺は、朝食を済ませてから自室で写真を探し、それを理子に見せた。

「あらっ見せてくれるの!?」

「はい。アラタさんから、お母さんが俺のも見たいって言ってたって聞いたんで…、今探してきたっす」

「…そう。わざわざ、ありがとうじゃ、見せて貰うわね?」

理子は、そっと表紙を捲った。

「あら可愛らしい…やっぱり若々しいわねふふっ

その言葉に、真行寺の頬が赤く染まる。

「え~…可愛いっすか!?」

「ええ。今と比べたら、学生っぽさがまだ残ってるけど…。今は、すっかり大人っぽくなったわ

「うふふそうっすかぁ!?」

まるで、自分の息子の成長の過程を振り返るかのように、ニコニコしながら理子は語る…。真行寺もまた、上機嫌。

「ん~?どれどれ?」

理子の背後から、三洲が覗き込んだ。

「あーくんも見る?」

母親から写真を渡され、暫くその写真を見つめてから一言。

「…確かにね。だけど、中身はまだまだガキくさいんだよ、真行寺は」

「…もぉ。アラタさんてば…、意地悪っ」

普段から、ちっとも褒めてくれない恋人に(いや。ごくたまに、少しは褒めてくれる時もあるけれど)ちょっぴりむくれてみた…。

「ほら、すぐにそんな顔するトコロなんて、すごくガキくさい。ふふっ」

真行寺は、からかい甲斐がある。ホント…飽きない。真行寺本人には申し訳ないが…からかっている三洲は、面白くて堪らないのだ。

「二人共、もう良いでしょ?見てると、何だか兄弟みたいだわうふふ

二人の姿を見て、嬉しそうに笑う理子だが…。二人が兄弟とか、友達とか…それ以上の恋人関係だということは、やっぱり知る術もない…。


~・~・~・~・~・~・~


楽しかった時間は、瞬く間に過ぎて…。正午を回った頃、理子を家に送る為、三人でマンションを出た。その途中、やはり少しだけ買い物をして…。

「ありがとうお買い物まで付き合わせちゃって、ごめんなさいね。でも、助かったわ

「良いっすよ~。今からまた出掛けるの、大変っすもんね?」

一年振りの三洲の実家に着いて、買い物袋をキッチンまで運んであげた。

「ねぇ、あーくん?時間…まだ良いわよね?二人共、お茶淹れるから座って

すぐに帰られてしまうのが、何だか寂しいような気がして、二人を引き止める形になってしまった。

「…母さん、お茶一杯だけだからね?俺も真行寺も、明日からまた仕事だからさ」

「分かってるわよぉ…。まだ、お日様だって高い位置にあるんだし、少しくらい良いじゃない…。ねぇ~?真行寺君

「えっ…、あ~…ま~…そっすねぇ~…少しくらいなら。あははっ」

急に話の矛先を自分に向けられて、ちょっぴり戸惑う真行寺。そう言ったものの、実は…真行寺も早く帰りたいと思っていた。三洲の実家や、理子が嫌とかではなく…。ただ単に、三洲と二人きりになりたい…ただ、それだけ。結局、理子との話に花が咲き、お茶一杯であっという間に、1時間が過ぎた。会話が途切れた、ほんの一瞬に三洲が区切りをつける。

「…真行寺、そろそろ帰ろうか?もうすぐ16時だ…」

「うん、そうだね…夕飯の支度もしなきゃだし…」

「うふふ真行寺君たら、奥さんみたい長く引き止めちゃって、ごめんなさいね?お二人さん

「良いっすよ~、お母さんお茶、ご馳走様っす」

「じゃ…母さん、また暇が出来たら顔出すから」

三人で喋りながら、玄関へ向かった。

「ええ、待ってるわ真行寺君も一緒にね…ねぇ、あーくん?また…遊びに行っても良いかしら?」

図々しいかと思いながらも、恐る恐る聞いて、息子の反応をみた…。

「…良いけど、急なのは無しだよ?前以て、早めに言ってくれないと、俺も真行寺も困るから」

「はい分かりました以後、気をつけます

母親の笑顔を見ると、邪険には出来ないもの…。色々ソワソワしてしまうけれど…。自分をここまでに育て上げてくれた、この人には…やっぱり勝てないのだ。


~・~・~・~・~・~・~


そして、その夜…。

真行寺が、自室に置いてあった枕を抱えて寝室に入って来た。

「ただいま~

三洲の枕のすぐ隣に、自分の枕をぱふっと置いてベッドに潜り込む…。

「…あ~…やっぱ、こっちは寝心地良いや~ねっアラタさんふふっ

「…お前のベッド、固すぎ」

温かかったけれど、パイプベッドに薄い敷布団…。いわゆる、煎餅布団だった。

「ねぇ?…お母さん、楽しんでくれて良かったね

「…そうだな。あの人は専業主婦だから…たまには良かったのかもな…」

滅多に“お泊り”も出来ないだろうし、息抜きも兼ねた今回の事。親孝行とは程遠いけれど、楽しかったのなら言うことなし。

「ねぇっそ~れ~よ~りっ今夜は…大丈夫だねっうふふ

「…はぁ?…何が」

「何がって…分かってる、く・せ・にっ

三洲の体に腕を回しながら、耳許で囁いた。

「離せよ…母さんの相手して、疲れてるんだよ。ゆっくり眠らせてくれ…」

そう言うと…コロッと転がって、真行寺に背中を向けた。

「えっ!?嘘っ!!昨夜、すっげ我慢したのにっ!」

「…煩いなあ…耳許で騒ぐなよ…」

そう言ってみたものの…。

「だぁってぇ~…おあずけなんて、ヤダよぉ…」

今回のことは、真行寺も巻き込む形となった。いや、いつも巻き込んでしまう…。

“おあずけ”では、可哀相か?

「…しょうがないヤツだな…一回だけだぞ?」

「…ホント?いいの?」

何だか、申し訳なさそうに言った真行寺のその表情は、ホント…大型犬みたいだった。

「…良いって、言ってるだろ?」

愛おしくて、恋人の髪をクシャっと撫でた…。



…オシマイo(^-^)o
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