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真三洲のプチ小説 

『ハルジオンが咲く頃に』(前編)


ハルジオン。それは、春から初夏にかけて咲く白い花。北アメリカからやってきた、キク科の植物で山地には勿論、都会の道端でも見ることが出来る…。

そんな、ハルジオンが咲く6月…。

「これ、お前にそっくりだな…ふふっ」

「えっ?どこが!?」

むむっと、三洲の指先にあるハルジオンを見る真行寺。三洲を花に例えることなら、いくらでも出来るものだが…。自分が花に例えられることなど、滅多にないことだし…何だか、不思議。

「…ほら。この蕾…ガクッと項垂れた時の真行寺にそっくりだ…ふふっ」

「あっ!ひどっ!…俺を項垂れさせてんの、アラタさんなんだからねっ!」

ハルジオンの蕾は、その首許を垂れて、下向きに付いている。見つめてみれば、何だか可愛らしい姿…。

「…人聞きの悪いこと言うなよ」

「だってさ~…拒否られたら、そうなるじゃん…」

そう言って、真行寺は口を尖らせる。

「…はあ?…何の話してるんだ?」

そんな会話をしている二人は土日を利用して、とあるキャンプ場に来ていた。梅雨の時期とはいえ、今年は雨が少ない。勿論、今日も快晴なのだ。まさに、キャンプ日和。川も近くにあり、街中よりもずっと涼しいし、空気も澄んでいる。キャンプ場の隅の方に、ハルジオンを始め、野薊やカタバミの山野草が咲いていた。この大自然の中で、三洲は大きく深呼吸をする…。

「…はぁ。そろそろテントを張るか、真行寺」

「うん…て、またそうやって、話を逸らすんだからっ…あっ、ちょっ…待ってよっ!」

面倒なことになる前に、スタスタと歩いて行く…。

テントは、キャンプ場でレンタルしていたので、それを利用した。コテージもあったのだが、それなりに値も張るし…。せっかくのキャンプだし、テントで過ごすなんて滅多にないことだから、ここはテントを選んだ、という訳だ。

即ち!二人、初めての体験

そのことに関しては、妙にテンションがMAXな真行寺。鼻歌混じりにテントの組み立てを始めた。

「アラタさん、そっち持って

「ああ」

…だって、だって!

テントはこんなにも薄っぺらい生地なのに…。狭い空間で、二人きりになれるんだもん

テントだけでなく、他にも色々とレンタルを利用してみた。バーベキューコンロや、テーブルセット、テントで寝る為のエアーマット。あと、ブランケットも…。

「…何か、ご機嫌だな?真行寺」

「ん?そう!?…ふふっ

テントは簡単に組み立てが済み、あっという間に形になった。真行寺は早速、中に入ってエアーマットを敷き…ゴロンとごろ寝。

「キモチ良い~!…アラタさん、ちょっと中に来てみなよ~」

「…なんだよ?」

テントの外にいた三洲が、顔だけテントの中に突っ込む。

「すっげ、寝心地良いよ

そう言いながら、三洲を誘うかのように、自分のすぐ横のスペースをポンポンと叩く。

「…寝ろって?」

「そっふふっ

…全く。嬉しそうに言いやがって…。

まだテントの中で、イチャつく時間でもない。太陽はもう、真上に近いくらいの位置にあるというのに。

「…全く、しょうがないヤツだな」

三洲は仕方なく(外の陽射しも、ちょっぴり暑いというのもあって!)テントの中に入り、真行寺のすぐ横のスペースに腰を下ろした。

「早く横になってよ

そう言いながら、三洲の腕を引く…。真行寺の力に身を委ねると、直ぐ様その腕の中に閉じ込められた。

「…暑苦しいって、真行寺」

「…もぉ、またそんなこと言って~。それより、寝心地良いと思わない!?ふふっ

…そりゃあ、悪くはない。真行寺の腕の中だし…。エアーマットは、そのオマケみたいな物だ。

「悪くはないけど…キャンプに来てる客が他にもいるから、こーゆーことは少し慎めっ」

「…何~、もぉ…ケチッ」

ちょっとくらい、良いじゃん…。

せっかく、狭い空間に二人きりなのに…。真行寺は、拗ねた様な表情で口唇を尖らせた。テントの外には、ファミリー客が行き来しているし…小さい子供になど見られでもしたら…考えただけでも、ちと、恐ろしいかも?

「真行寺、そろそろ腹が減ってこないか?」

文句を言いつつも、未だ真行寺の腕の中。

「そろそろってか、もう、とっくの昔から減ってるんですけど~?」

「…だろうな。ふふっ…食いしん坊」

「…もぉ、俺の顔見りゃ、食いしん坊、食いしん坊って…。まあね、間違ってないけど?」

よいしょ!と、言いながら起き上がり、三洲も抱き起こした。

「バーベキューの支度しよっ?マジで腹ペコだし。ふふっ材料、いっぱい買って来ちゃったしね

このキャンプ場に来る前に、買い出しをしてきたのだが…。

2時間程前…。

「…お前、ま~さ~か、こんだけ買う気じゃあるまいな?」

カートに乗せた買い物カゴの中身を見て、三洲は目を丸くする。それもそのはず。二人前にしては、ヤケに多い食材…。

「買うよ?これくらい楽勝っしょ!?青空の下で食うのって~、すっげ美味いじゃん?ふふっ

「それにしたって、キャベツ1玉はいらんだろ!?…せいぜい半玉にしとけよ」

「えぇーっ!半玉じゃ足りないってば!絶対1玉!」

「半玉!」

山積みになっているキャベツの前で、ちょっぴり口喧嘩…。

「焼きそばとかさぁ、お肉と一緒に食えば良いじゃん!」

「……あー!もぉ、勝手にしろっ!」

周りの目が気になって…結局、三洲が折れたのだ。

「やりぃっ!勝ったぜっ!」

グッ!と、拳を握ったかと思えば…。

「アラタさん、お酒見に行こっ

ニコッと笑って、三洲の手を取った。お酒コーナーへ行き、ビール1ケースをカートに乗せると、また三洲の物言いが始まった。

「そんなに飲めないだろっ」

「良いのっ!家に買い置きもないから序でだよ~…。今日のは、別に買うからねうふねっ、どうする!?ビールにするっ!?」

「…良いよ、ビールで」

「そうだよねっ!暑い時はビールが一番6本パックで足りるかな?」

「足りるだろ。俺は1本あれば良いから」

「アラタさ~ん、もっと飲もうよぉ

「…うるさいなっ。俺を酔わせて、どうする気だ?」

真行寺のテンションは上々だ。上々過ぎて、調子をこく。

「…どうするって~…。うふだって、アラタさん酔っ払うと…すっげ、可愛いんだもんぐふふっ

真行寺の言葉に、思わず赤面してしまった…ほんの2時間前のこと。

バーベキューの支度をしながら、この日の為に用意した、クーラーボックスに冷やしておいたビールを、真行寺は待ち切れずに一本開けた。喉越しが良くて、思わず叫ぶ。

「く~~~っ!うめぇ~!」

「…なんだよ、もう飲んでるのか。それより、火が着かないぞ?」

木炭に火を着けようとするが、中々着火せず、三洲はちょっぴりイライラモードだ。

「あ、アラタさん、着火剤があったんだっけ!これ使えば、すぐに着くよ

「…そーゆー物は、早く出せっ」

「ゴメン俺が火を着けるよ…アラタさん、先に野菜刻んでて

「…ったく。人使いが荒いな?」

ボソッと呟くと、真行寺が振り向いた。

「え?何?アラタさん?」

「…何でもないよ」

「アラタさんも飲めば良いのに

「俺は、お前みたいに空きっ腹で飲まないんだよ。悪酔いの元だ」

「もぉ~!ツレナイな~」

「つべこべ言ってないで、早くこっち手伝えよ」

「は~い…」

姫君はご機嫌ナナメ?

そう思いながら、真行寺は残りのビールをグッと喉に流し込み、三洲と一緒に野菜を切り始めた。


~・~・~・~・~・~・~


「アラタさん、ほらっ。焦げちゃうから、どんどん食って!」

三洲の取り皿に、次々と肉を放り込む。

「おいっ、こんなに食える訳ないだろ!?」

「あ、野菜もあるからね~

ほろ酔い気分の真行寺は、聞く耳を持たず、次々と食材を網の上に乗せていく…。

「…ったく、自分の皿は空じゃないか」

真行寺の皿を見ると、一度食べたきりで、あとは焼く方に掛かり切りになっていた。三洲は自分の皿にある肉の山の大半を、真行寺の皿に移して、

「真行寺、代わるから…温かいうちに食え」

「え?いいの?アラタさん、優しい~ふふっ

勢いのまま、三洲の頬にキスしようとすると、顔をぎゅうっと押しやられた。

「調子に乗るなっ、人が見る」

「ケ~チ~ッ!誰も見やしないよ」

どこに行っても、目立つ二人だから…。知らない所で、二人の存在が噂になっていたりする…。

「ねぇ、ねぇ!さっき共同の炊事場で、イケメンを見つけちゃった

「え~っ?マジで~?」

キャンプ場へ来ていた、女子グループ。見たところ、大学生のようだ。彼女達もまた、この休日を利用して仲良しグループで、遊びに来たのだろう…。

「ねぇ、後で…見に行こうよ~

「…いいけどさぁ。あんたの言うイケメンって…いつも、ろくなのいないじゃない」

「あ!ヒドイ~!何か私の好みが悪いような言い方しないでよ!ホントにイケメンだったんだから~!」

「…どんな感じの人なの?」

ろくなのいない、なんて言ってはみても…。やっぱり、気になるのはそこ。

「…そうねぇ…。言葉を借りるとしたら…麗しいって言うかぁ…うふふ

「…麗しい~?…うっそ!?だいたい、このキャンプ場にいる訳ないでしょ?幻じゃない?」

殆どがファミリー客でゴッタ返しているというのに。例え、イケメンがいたとしても…そーゆー人には、必ず!と言っていい程、もうイイヒトがいたりするのだ。

「幻じゃないよ~!ホント綺麗な人だったの!」

「綺麗な人って…男でしょ?」

モデルや芸能人とかなら分かるが…。一般人で、綺麗な男はそうそうにいないと思う。

「とにかく!皆に内緒で、後で見に行こうよ!」

「…分かったよ、後でね…」

余りに煩いので、仕方なく付き合うことにして…。ホント疲れる友人だ…と思いつつ、心の中では気になっている。綺麗な男とは、口で説明されても分からない。この目で確かめてみなければ。

然程、期待はしていない。

けれど、とても気になる…“綺麗な男”…。
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