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真三洲のプチ小説 

『ハルジオンが咲く頃に』(後編)


…驚いた。

友人の言う“綺麗な男”の姿…。一緒に来ていた他の友人達には、「トイレ行ってくるね」と言い、二人で抜け駆けして…今は、ちょっと離れた木の陰で、三洲と真行寺の二人の姿を窺っていた。遠目ではあるものの…かなりの美男子というのは、確認が出来た。

「…ちょっと…あんたの言った通り、イイ男ね

「でしょっ!でしょっ!…ねぇ、あの人達…二人で来たのかなぁ?」

「…分かんないよ、そんなの…」

「炊事場で見た時は、二人で楽しそうに野菜洗ってたよ?…何か、そーゆーのって、普通女の子がやるじゃん?…やっぱり二人だけで来たのかなぁ?」

よく見る光景としては、男ばかりとか、女の子も交えたグループ。男二人きりなんて、なんだか寂しい気もする…。だけど、見る限りでは…寂しそうには見えなかった。

「…それにしても、あの背の低い方の人…綺麗よね…。女っぽいくらいに綺麗なのに、女かって言われれば、そうじゃないし…。ミステリアスね?」

「背が高い方の人も、甘いマスクで素敵

でも、ひとつだけ気づいたことがある…。お互いを見る目が、まるで恋人でも見るような、熱い眼差し…。

「…ねぇ、私…思うんだけど…」

「何よ?」

「あの二人…デキてるんじゃないの?」

「…は?デキてるって、何が?」

訝しげな表情で、返事をした。

女の勘は鋭くて、よく当たるのだ。

「だーかーら…そーゆー関係なんじゃない?ってこと!」

「…やだっ、まさか…ゲイってこと!?」

何故か、小声で話し、もう一度二人を見た…。

「…怪しいわ」

「…でもさぁ…例え、そうだとしても…二人共、美麗だからぁ…許せちゃうかも~見てるだけでも、素敵~すっごく絵になる

「…ちょっと!あんた…腐女子みたいなこと言ってんじゃないわよっ」

「えっ、だって!そう思わない!?腐女子じゃなくたって、そう思うよ!私、腐女子じゃないしさ」

「…分からないよ?これがキッカケで…あんたも腐女子の仲間入りしたりして~!ふふふっ」

「やだ、もぉ!」

「イケメンだったのは認めるけど…ゲイじゃぁねぇ…。きっと、女には興味なさそうよね?…さ、そろそろ戻ろっか。トイレにしちゃ、長いって皆に言われちゃうわ」

「え!?もうちょっと、見てようよ!」

「一人で見てれば?私は戻るからね」

そう言って、スタスタと歩き出した。

「やだっ、もう…待ってよ~っ!」

後ろ髪を引かれながら、先を歩く友人を追いかけて行った。


その頃、的になっていた二人は…。

「…何か、騒々しくなかったか?」

「え?何が?」

食べることに夢中だった真行寺は、そんなこと全く気づかなかったようで。騒々しいのは、ファミリー客やグループ客が多い所為なんじゃないか?なんて、思ったりして。

「…あそこの木の陰で、女二人が俺達の方を見て、何やら騒いでたようだが…お前の知り合いじゃないだろうな?」

背の高い木を指差していたかと思いきや…次の瞬間、睨まれた。

「俺、女の知り合いなんていないよ!?…あ!もしかして、アラタさんを狙ってる俺の敵かもっ!アラタさん綺麗だし、男も女も振り返っちゃうから、俺…いつも気が気じゃないんだよ?」

ほんの冗談で言ったつもりなのに…。バカ正直な真行寺だから、すぐ真に受けて、小さな話もドンと大きくなってしまう。アルコールも入っている所為もあってか、いつもより熱くなる。

「…女が見てたってのは本当だけど、後のは冗談だ。すぐに真に受けて…バカだな、お前は…ふふっ」

「あ!また俺をからかったね!?…罰として~、今夜は…寝かさないよ~ぐふふっ

そう言って、最後のビールをグッと飲み干した。

「罰って何だよ?…全く、何でそっちに繋げるかね…お前は」

呆れた口調で応えつつ、三洲もチビチビと飲みながら、2本のビールを空けた。

「だってぇアラタさんとエッチしたいんだも~ん

真行寺は、ちょこちょこっと三洲の隣に座り、腕を絡めた。

「…なんだよ」

「アラタさん、今日酔ってないね?」

「こんな所で酔える訳ないだろ?」

「そ~ぉ!?俺は何か、フワフワして気持ち良いんだけど

「お前、飲み過ぎだ」

「アラタさんが飲まな過ぎなの!ね、後で一緒にお風呂行こうねうふふ

温泉施設が近くにあるというが、車で15分。もう既に、お酒を飲んでしまった為、こちらは使えず…。キャンプ場にも、コインシャワーや、男女別の展望風呂がある。

「…お前の酔いが冷めたらな。俺はシャワーで良い」

「え~っ!展望風呂にしようよぉ。無料なんだよぉ?」

「うるさいなっ、シャワー代くらい自分で出すわ」

「そうじゃなくて~!…何てゆーか…二人でゆっくり、まっ…たりと湯舟に浸かりたいじゃん?」

「お前の長風呂に付き合ってられるか。一人で入れ」

「…もぉっ!冷たいんだから!」

シャワーだの、展望風呂だのと、バトルを繰り広げ…終息を迎える頃…。辺りも漸く、薄暗くなってきた。結局、三洲はシャワーで真行寺は展望風呂へ。真行寺はやっぱり、長風呂。三洲はシャワーを終え、外のベンチに座って真行寺を待っていた。

…まるで、歌の『神田川』みたいで、ちょっぴり笑えた。

「…俺が待たされる側か…ふふっ」

川の方から吹いてくる、涼しい風がシャワーの後の熱った肌に心地好い…。それから、更に10分後。

「アラタさん、お待たせ

「ホントだよ、何分待たせる気だ?」

「ゴメ~ンお風呂、気持ち良くってさぁ~。ついつい、長風呂になっちゃった

「あと3分遅かったら、置いてこうと思ったんだからな」

なんて、つい意地悪を言ってしまう。本当はそんなこと、ちっとも思ってないのに。

「はい、はい。それより…アラタさん?髪の毛濡れてると、すっげ色っぽいねふふっ

三洲の耳許に、口唇を近づけて…大丈夫?寒くない?と、続けた。

「別に寒くないよ。髪は放っておけば、自然に乾くしな…」

「アラタさんは、髪の毛サラサラだから良いよね?俺なんてさぁ…クセっ毛だし、寝癖ついた日にゃ大変なんだよ。直しようがないから…」

そう言って、まだ乾ききっていない三洲の髪に触れた…。テントに戻ると、真行寺は早速エアーマットにゴロンと寝転んだ。

「やっぱ、キモチイイ~

真行寺は大層、このエアーマットがお気に入りのようだ。体内のアルコール分が、だいぶ抜けてきたのかと思いきや…突然、ムクッと起き上がり、彼は思い出したように言うのだ。

「ねぇ、アラタさん?小腹が減らない?」

「…はぁ?お前、まだ食う気でいるのか?」

つい、さっきまで散々な程、飲み食いしてたというのに…。やっぱり呆れる、真行寺の鉄の胃袋。

「だって~…何か、もうちょっと食べたいなぁって…。プッチンプリン買ってあるから~…一緒に食べよっ

「…いつの間に、そんなもん買ったんだ?」

「いつの間にって…買い物した時だよ?」

レジに向かう際、スイーツコーナーの横を通った時、プッチンプリンが目に止まり…三洲が前を歩いている隙に、2個コッソリお買い上げしたのだ。

「甘い物は別腹って言うじゃん

「お前の別腹は、いったい何個あるんだ?」

そう言いながらも、結局自分も食べる羽目になるのだが。

だけど、何か不思議…。

甘い物を食べると、何だか幸せな気持ちになるのは何故だろう…?自然と、笑顔になれる。

「美味しいね

「…まあな」

やっぱり、一人より二人が良い…。ずっと前から、気がついていたこと…。


~・~・~・~・~・~・~


「…ねぇ、アラタさん

「…なんだよ」

薄いブランケットに包まり、心地好い眠気に誘われ…ウトウトし始めた時、真行寺に呼ばれて気怠く返事をした。

「…うふふ夜だね皆、寝静まったかな?」

「…夜だから、寝るだろ…普通」

目を閉じたままで応えた。

「もぉ…アラタさ~ん…俺、堪んないんだけど~…」

三洲の体を、ぎゅうっと抱きしめると…ふわっと香るシャンプーの匂い。

「…うるさいな…疲れてるんだよ」

そう言って、真行寺に背中を向けた。

「また、そーやって俺を落ち込ますの?」

消え入るような、悲しい声で呟いている…。真行寺を見なくても分かる…。ハルジオンの蕾のように、首をガクッとして…項垂れているに違いない。

「…ふふっ…くくくっ…」

そう思ったら、申し訳ないが…笑えてきた。自分も、とても眠かった筈なのに…何か、目が覚めてしまった。

「もぉ、何笑ってんの?」

三洲の顔を覗き込んだ。すると、三洲は真行寺の方に向き直り、ムッと睨んだ。

「…お前、俺の安眠を妨害する気か?」

「…えっ…そうじゃないよ…」

「責任取れ。お前の所為で、眠気が吹っ飛んだ……俺を疲れさせろ」

「…?…」

真行寺は、三洲の言ったことを、頭の中で整理してみる…。“俺を疲れさせろ”ということは…

「…なんだよ、責任取れないのか?」

「…うふふ取ります、取ります……気持ち良くさせてあげるね

三洲の耳許で、もう一度囁いた。真行寺の息が掛かって、くすぐったい…。つい、あんな可愛くもない言い方になってしまったが…“抱いてほしい”なんて、中々素直に言えないものだ。

「寝袋にしなくて良かった

ふと、真行寺が呟く。

「…寝袋?…俺は寝袋が良かったけどな…ふふっ」

「もぉ…そんなこと言わないでよ。寝袋じゃあさぁ…、こうして…ぎゅうって、出来ないじゃん

「…たとえ、寝袋だったとしても…お前ならやるだろ?」

「う~ん…バレてるし…」

「…俺とお前、何年付き合ってると思ってるんだ?そんなこと、お見通しだよ…ふふっ」

優しく微笑み、真行寺の首許に腕を絡め…愛おしげに引き寄せた…。



…オシマイ。o(^-^)o
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