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真三洲のプチ小説 

『yeah-end party1』


「お先に失礼しま~すっ!」

社内に定時のチャイムが鳴り、待ってました!とばかりにタイムカードを打ち、真行寺は正面玄関へと急ぐ…。
何をそんなに急いでいるのか?というと、今日は毎月購読している男性ファッション誌の発売日なのだ。人気ファッション誌の為、売り切れてしまう前に手に入れたい。そんな訳で、夕飯の買い物より先ず!書店へダッシュ!

真行寺とファッション誌…。

真行寺は、あまりファッションに関しては、興味が無かったのだが…。常日頃、一緒に暮らしている三洲から色々言われて、流行りの服などに、ちょっぴり敏感になってきたのだ。

『お前、もう少し大人っぽい格好をしたらどうだ?』

基本、ラフなスタイルが好きだから、その線で着こなしの研究中…。真行寺にとって三洲は、恋人関係になった今でも、憧れの存在で…。ファッションセンスもバッチリだし。

それに…、すっごく綺麗。

自分はまだまだ、三洲の足元にも及ばないけれど…。いつか、同等になれるように、これでも日々頑張っているのだ!書店に着き、お目当ての本を手に取って、ちょこっと立ち読み。

「…あ、このシャツ良い感じ…」

ブツブツ呟いて、本を見ながらレジへ行こうとした時…他のお客にドンとぶつかり、その人はバランスを崩して転倒しそうになった。

「あ!すんません!…大丈夫っすか!?」

慌てて謝って気がついた。相手の顔を覗き込むと、見覚えがある…遠い昔に。

「葉山サン!?」

「真行寺君!?」

葉山託生。真行寺の母校、祠堂学院の一年先輩…。つまり、三洲の同級生。当時の寮で三洲と同室だったこともあり、真行寺も仲良くさせて貰った。

「久しぶりっすねっ!」

「もぉ、誰かと思ったよ…。真行寺君、何にも変わってないね?…だけど、また背が高くなった?気の所為?それとも…僕が縮んだのかな?」

「あははっ葉山サン、年寄り臭いこと言うっすね?昔より、ちょこっと伸びたっすそれより…葉山サン…何か、テンション高くないっすか?ふふっ

「…え?そうかな…?久しぶりだったからさ…。何年振り?僕らの卒業式以来?」

「…え~っと…。卒業式以来っすね…。7.8年くらい経ってます?もっとかな?」

もう、何年かなんて数えるのも、最早…面倒だ。確か、葉山は都内の音大に進学した筈。ふと、彼の足元を見ると…傍らにバイオリンケースがあった。

「…葉山サン、今もバイオリン弾いてるんすね?」

「…うん。今は…講師…って程じゃないけど…小さい子供達にバイオリンを教えてあげてるんだ…」

ちょっぴり、恥ずかしそうに彼は言う…。

「じゃあ、葉山先生じゃないっすか~

「…やめてくれよ、恥ずかしいから!」

顔を真っ赤にして、反論した。

「あははっ!顔を真っ赤にしちゃう辺り、葉山サンもホントお変わりないっすね相変わらず、俺のこと呼び捨てしてくれないし~?」

「もう、名前を呼び捨てとか…勘弁してくれよ…。あ、そう言えば…」

真行寺と言えば、三洲…。今は…どうしてるんだろう?そんなことが、葉山の頭を過ぎった。

「…真行寺君…三洲君とは…どうなったんだい?今も会ったりしてるの?」

三洲とも卒業してから会っていない。二人の、あの関係がもう終わっていたりしたら…思い出させるようで、真行寺を傷つけるかも知れない…。そう思い、真行寺の顔を見ると…ニヤけていた。

「…どうなったと思いますぅ?ぐふふっ

「その様子だと…二人の関係は、今でも順調なんだね?」

今でも…『体だけの関係』続行中…なのか?

「わかりますぅ?」

「…わかりますぅ?って…そんな顔してたら、誰だって分かるよ。…スゴイ、ニヤけてるから」

「そうっすか!?ふふっアラタさんなら元気っすよ

「…前より会えるようになったんだ?」

それなら、何だか自分も嬉しく思う…。当時の三洲はホントに忙しい人だったし…あんな状況だったから。

「会えるようになった…って言うかぁ…今、一緒に住んでるっす俺達~、ラブラブなんで~ふふっ

「えっ!?ホント!?良かったじゃないか!」

意外な展開に葉山は驚いた。あの三洲が、よく同居を承諾したなと…。でも、それだけ真行寺の存在が大きい物だということに、気がついたのだろう…。

「お蔭さまでぐふふっ…俺達のことは良いっすけど、葉山サン?ギイ先輩は元気なんすか?」

「うん、頗る元気だよ」

葉山は嬉しそうに応えた。

崎義一。これまた、桁違いの美貌の持ち主。葉山の恋人である…。今も勿論、日本とNYを行ったり来たりしている彼は…御曹司なのだ。

「一緒に住んでないっすか?」

「うん…半同棲みたいな感じ?ギイは忙しいからね…。月に2.3回はNYだし。もう慣れたけど」

「…へぇ~。俺なら耐えられないっす。アラタさんがいないなんて…」

「…ふふっ、何か…初々しいカップルだね」

「そうっすか~俺達、ラブラブなんで~

「…それ、さっきも聞いたよ?」

真行寺の惚気振りに呆れて、思わずツッコミを入れてしまった訳だが…。何か、昔とは大違い…。それだけ今は、充実していると言うか、幸せってことなのだろう。

「あ!ヤベッ!もうこんな時間!夕飯の買い物してかなきゃ…。葉山サン、すんません…俺、行きます。また、今度改めて…」

「…あ、うん」

腕時計を何気に見ると、もうすぐ18時。真行寺は慌てて、本の会計を済ませ…“じゃっ”と一言残して、書店を出て行った。

「何か慌ただしかったなぁ…。僕も帰ろう」

バイオリンケースを持ち、書店を出ようとした時…。先程、慌てて出て行った筈の真行寺が戻ってきた。

「葉山サン!」

「…真行寺君、どうしたんだい?」

葉山がキョトンとしていると、真行寺が携帯電話を取り出して、

「連絡先、交換しましょっ!俺、連絡するんで…。今度、4人で飲みに行きましょギイ先輩にも言っといて下さい俺、アラタさんに言っとくんで」

「うん、良いよ。ギイは今週末、NYから帰ってくるし…言っとくよ」

「ギイ先輩、大変っすね?じゃっ、宜しくっす

赤外線通信で連絡先を交換し、二人はその場を後にした。


~・~・~・~・~・~・~


「ただいま~っ」

「…お帰り。遅かったな?」

三洲は既に帰宅しており、コタツで寛いでいた。真行寺は、買い物してきた物をテーブルの上に置く。

「うん、ごめんね。すぐ夕飯の支度するから。それよりさぁ、アラタさん。ビッグニュース!葉山サンに会っちゃった

「…葉山に?どこで?」

「書店で」

「書店?」

真行寺はその経緯を話しながら、夕飯の支度を始めた。

「俺がいつも行ってる書店でね、バッタリ会ったんだけどさ~。葉山サン、何も変わってなかったよ?あ、ギイ先輩も元気なんだって

「ふぅん…で?…余分なこと、言ってないだろうな?」

「余分なことって?」

「俺達が今、一緒に暮らしてることとか」

「…あ。言っちゃったてへっ

別に悪びれる訳でもなく、普通に応えると、三洲の眉間に深い皺が寄った。

「…全く。お前は口が軽い。余計なこと喋りやがって…。何が“てへっ”だ?」

「えっ、だって~…何か嬉しくなっちゃって…喋っちゃったんだよぉ…。怒っちゃった?」

「…別にっ」

姫君はプイッと、そっぽを向いた。学生時代からの、真行寺との関係を葉山達も勿論、知っている訳だが…。ふて腐れたような返事をしたのは、今生活を共にしているなんて、ちょっぴり照れ臭かったからだ。

「…でね、今度…」

「今度、何だ?」

ジロッと、睨まれた。

「…もお~!アラタさん、コワイ~

「何だって聞いてるだろ?」

姫君のご機嫌は、どんどんナナメになっていく…。苦笑いしながら真行寺は、葉山と約束したことを告げた。

「…あのね、今度4人で飲みに行こうって…葉山サンと約束して来ちゃった…てへっ

「4人って、誰だよ?」

「葉山サンと、ギイ先輩とアラタさんと俺みたいな?」

「葉山はともかく…、崎は忙しいんじゃないのか?」

「今週末にNYから帰ってくるって、葉山サンが言ってたよ?…ねぇ、アラタさん…行こうよぉ

「…いつ?」

「それはまだ、これから決めるんだけど…。良いよね?」

「…考えとくよ」

「え~っ、ノリが悪いじゃん…」

「俺は、体育会系じゃないんだよ」

今の生活の中で、高校時代の同級生の行く末など、あまり考えたことはなかった。…と、いうか。考える暇なんてなかった。自分だけじゃなく、人は毎日に追われているのだから…。懐かしさは勿論あるけれど、急に言われても…どうして良いものか、分からない。後ろめたいことがある訳ではないが、どんな顔をして会えば良いのか…。

それよりも!それよりもだ…。

真行寺は葉山によく懐いていたから…三洲としては、ちょっぴり面白くないのだ。


~・~・~・~・~・~・~


それから、数日後の夜。

「なあ、真行寺。例の件、どうなったんだ?」

「例の件?……あ、飲み会のこと?」

「…そ」

「葉山サンに電話してみよっか…」

携帯電話を取り出し、メモリーから葉山の番号を呼び出して、発信。でも、直ぐさま…電話を三洲に引ったくられた。

「…俺が話す」

真行寺は、ポカンとして三洲を見た。5回目のコールで漸く、葉山が電話に出た。

「もしもし、真行寺君?」

「真行寺じゃなくてごめん。三洲です」

「えっ、あっ!三洲君!?久しぶり!元気!?」

「元気だよ。葉山も元気そうだな…。真行寺から、話を聞いたよ」

「うん。この間、本屋さんで偶然会って…。今一緒に住んでるんだってね?真行寺君が、幸せそうに話してくれたよ…ふふっ」

「…葉山は?崎とは、どうなんだ?」

「僕?…うん、ギイは相変わらず忙しいけど。楽しくやってるよ」

「…そうか。で、真行寺が飲み会の約束したって、言ってたんだけど?」

「あ、うん。そうそう!来週末なら、ギイも大丈夫だから。三洲君も行けるだろ?」

「あ…まあな」

断る理由など、何もない。真行寺の前では、渋ったが…葉山に対しては出来なくて、つい返事をしてしまった。

「ギイに話したら、楽しみにしてるって言ってたよ」

「そうか…。崎に宜しく言っといてくれよ」

「うん、分かった」

「じゃあ、真行寺に代わるから」

「あっ、三洲君!」

「ん、何?」

「話せて嬉しかったよ、ありがとう」

「…ん。じゃ、真行寺に代わるよ」

嬉しかったなんて言われると、何だか照れ臭い…。けれど、顔には出さずに携帯電話を真行寺に渡した。

「もしもし、葉山サン?時間とかどうします?」

今の電話で、三洲も行くのだと察知した真行寺は、少し安心した表情で、葉山と飲み会の相談を続けた。


~・~・~・~・~・~・~


「…で?どうなった?」

真行寺が電話を切った所で、聞いてみた。

「来週の金曜日の19時にしたよ。待ち合わせは、渋谷のハチ公前」

「ハチ公前?何か…ベタだな?」

「やっぱり!?でも、分かり易いじゃん?ふふっ

ハチ公前は良いけれど…。あんな人の往来の多い場所を選ぶとは…。

「お店、席取っておかなきゃね忘年会シーズンだから、空いてるか心配だけど…」

「お前達が、勝手に盛り上がって計画したんだから、ちゃんと探せよ?」

「うん頑張って探すふふっ

真行寺は嬉しそうに返事をした。忙しくなる師走…。そんな中で、やっぱり楽しみもなければ、年を越せない…。懐かしい仲間も一緒とあれば、これまた良い年越しが出来そうだ。
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