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INSPIRATION 5 

INSPIRATION 5


食事の用意をされている広間へ行くと、他の泊まり客が何組かいて、既に食事を摂っていた。

案内されたテーブルを見ると…。

中央にちょっと豪華な船盛り、その回りを埋め尽くすように、大皿から小鉢まで所狭しと料理が並んでいた。

「…これって、ホントに二人前なのか?」

小食の三洲は、料理を見ただけで腹いっぱいになりそうだった。

「すげぇ、美味そう

人の話なんて、聞いちゃいない…。

大食漢の真行寺は、目をキラキラさせている。

「…お前、全部平らげられるのか?」

いくら、真行寺だって無理があるんじゃないか?

「大丈夫早く、食べよっ俺、すげぇ腹減ってるから」

真行寺は子供のようにはしゃぎ、言葉の通り、あれだけあった料理も、瞬く間に真行寺の胃袋へと消えていった。

「…たまげたな」

三洲は半分呆れて、半分感心した。


「…ふぅぅ、腹いっぱい」

部屋へ戻るため、通路を歩きながら、真行寺は腹をポンポンと叩いた。

「あれだけ食えば、腹もいっぱいになるだろ」

船盛りは、殆ど真行寺が平らげたのだ。
三洲は、悪戯っぽく睨んで耳許でそっと囁く。

「太ったら…別れるからな」

「えっ!?そんなのヤダッ」

腹いっぱいで、苦しそうな表情が一転…泣きそうな顔に早変わり。

「…ぷっ…あははははっ」

三洲は、耐え切れず吹き出した。

「あーっ、もぉっ、意地悪っ」

笑い転げる三洲を、背中からギュッと抱きしめると

「あはははっ、苦しいから…止せよ」

真行寺の逞しい腕に抱きしめられて、悪い気はしない…。

けど。

他のお客も利用する通路なので程々にしなければ…。
まぁ、じゃれ合ってるようにしか見えないだろうけど…。

すると、真行寺が抱きしめていた腕を緩めて

「ねぇ、売店寄ってもいい?」

売店?

ふと、見ると小さいスペースではあるが、土産物がいくつか並べてある売店があった。

「ああ、いいけど…お前、まだ何か食うつもりか?」

そんな腹して…。

「違うってぇ、飲み物買うの。ここで待ってて」

そう言って、真行寺は売店へ走って行き、2.3分経ったくらいで戻ってきた。

「何、買ってきたんだ?」

真行寺は嬉しそうに、袋の中を見せた。

「お・さ・け

袋の中には、日本酒が一本入っていた。

「お前、まだ飲む気か?」

また、呆れてしまった。

「だってさぁ、さっきは食う方ばっかで、飲み足りなかったし…。
アラタさんと二人っきりで飲みたかったから…。ねぇ、一緒に飲もうよぉ…」

三洲の浴衣の袖口を掴んで、まるで駄々っ子のように手をブンブンと横に振った。

だから、子供だと言うのだ。

とっくに成人しているというのに…。
いつも、そう思う。
そう思うのに、真行寺に流されて、結局…聞いてしまう自分がいる。

それは、単に真行寺が好きだから…。

「…少しくらいなら、飲んでもいいぞ」

「そうこなくっちゃ早く部屋へ戻ろう

真行寺は、三洲の手首を掴み、スタスタと歩き出した。

~・~・~・~・~・~・~

部屋へ戻ると、二人が食事を摂っている間に、仲居さんが布団を敷いてくれたらしい。

いつもと違う光景にドキッとする真行寺。

ただ、ただ、敷かれた二組の布団を眺め、ボーッとしている真行寺に三洲は、また耳許で囁く…。

「…スケベ」

真行寺の顔を覗き込み、ニヤリと笑った。

「もぉ、アラタさんてば、さっきから、からかってばっかじゃんっ」

部屋の中だし、布団も敷いてあるし…。押し倒してもいいけど、まだ勿体ない…。

それより。

今から、買ってきたお酒を飲むんだ~

三洲に、からかわれるのは今に始まったことではない。

これ以上、深くは取り合わず、話題を変える。

「お酒、飲もっ…湯呑みしかないけど…いい?」

頼んで、持ってきてもらうのも、何だし。

「別に、湯呑みでもいいよ」

三洲は、真行寺の隣に座った。

「何かさ、漁師みたいじゃない?湯呑みでお酒なんて」

湯呑みに酒を注ぎながら、真行寺が言うと、三洲も笑いながら

「そうだな」

湯呑みに注がれた酒を、真行寺から渡されて一応、軽く乾杯。

一口飲んでみる…。

「あっ、これ、すごく飲みやすいね…フルーティーだよ」

確かに。

「これは…飲み過ぎる味だな…真行寺」

「だよね。もう一本買ってくればよかったな…まぁ、明日でもいっか」

二人で一本空けるのは、そう時間が掛からなかった。

ほんの少しだけ…酔いが回った。
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