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Anniversary8 

Anniversary8


「…え?」

真行寺が、キョトンとしていると、

「俺達が一緒に暮らし始めてからだよ…。早いもんだな」

三洲が、ベランダから見える、東京の夜景を眺めながら言った。

「…そう言えば、そうだよね…。何か、毎日が楽しくて、月日が経つのなんて忘れてた…」

すっげぇ、幸せだから…。

真行寺は、三洲の細い腰を抱き寄せた。

「…あ~あ、出張行きたくねぇなぁ…。アラタさんと離れたくない…」

三洲を腕の中に閉じ込める…。閉じ込められた三洲は、クスッと笑って、

「…大袈裟だな…もう一生会えなくなるワケじゃないだろ?会社の仕事は、ちゃんとこなせよ…」

真行寺の背中に腕を回し、子供をあやすように、ポンポンと背中を叩いた。

「…アラタさんは、寂しくないの?」

「べ・つ・に…。強いて言えば、お前の手料理が食えないことかな…」

「えっ!?そんだけ?」

胸から、三洲を離すと、

「そ。そんだけ」

またも、しれっと…言った。

だけど、素直な…ホントの気持ちは…。

「…なんてな。そんなワケないだろ」

「…嘘つき

「…うるさい」

嘘つきな三洲の口唇を、キスで塞ぐ。

ほろ苦い、大人の味…。

ひとしきりのキスの後、暫く二人で、抱き合っていた…。

「…アラタさん」

「…ん?」

「浮気しないでよ…」

アラタさんは、綺麗だから…俺、心配なんだ。

三洲はクスッと笑って、

「…浮気ね…したりしてな」

「えっ!?ヤダ、そんなのっ」

ギュ~ッと、三洲を抱きしめる。

「…しないよ…するワケないだろ…」

俺は…真行寺、お前だけだよ…。

もう一度、キスをした…。


~・~・~・~・~・~・~


そして、月曜日の朝。

「忘れ物ないか?」

「うん、大丈夫。昨夜、ちゃんと準備しといたから」

そう、言いつつも…もう一度、確認をする真行寺。
何と言っても、初めての出張…。忘れ物なんてしたら大変なのだ。

「…よしっ、OK、OK」

荷物を持って、玄関に向かう…。

「…じゃ、アラタさん…行きたくないけど、行って来るね…」

玄関まで見送りにきた三洲に言った。

「あぁ、気をつけてな…なあ、真行寺」

「ん?何?」

玄関のドアを、開けようとした真行寺を呼び止めた。
「…ホントに、忘れ物…ないのか?」

「うん…ない…と、思う…」

持っている荷物をキョロキョロと見て、

「完璧!」

「…じゃ、これは?」

三洲は、自分の後ろに隠していた真行寺の、携帯電話をスッと真行寺の目の前に出した。

「あーっ!やべっ、一番大事な物!」

「バーカ!」

三洲は、朝っぱらから大笑いしてしまった。

「…お前、やっぱ、どっか抜けてるな…」

仕事、大丈夫なのか?

「…もぉ、プレッシャーかけないでよ…」

これでも、緊張してるんだからー…。

真行寺は、ブツブツ言いながら、三洲から携帯を受け取る…。

「…ま、頑張ってこいよ」

真行寺の肩をポンと叩いた。

「うん…毎晩、電話するね…」

アラタさんの声…聴きたいから…。

真行寺は、三洲をギュッと抱きしめると…、

「…電源、落としとこうかな」

三洲が悪戯に微笑んだ。

「アラタさ~ん、ヒド過ぎ~…意地悪!」

もぉ…気持ち良く、見送ってよ…。

…項垂れる真行寺。

ちょっと、やり過ぎたかと思い…三洲は、

「…ごめん…嘘だよ…」

真行寺の胸に顔を埋めた…。

「…アラタさん」

名前を呼ばれて、真行寺と見つめ合った…。
三洲の瞳の奥が、どこか寂しげで…堪らなかった。

「…アラタさん、そんな顔しないで…」

俺、行けなくなっちゃう…。

「…大丈夫だから、早く行けよ…時間いいのか?」

自分が引き止めてしまったようなものなのに…。

「…電話、待ってるから…」

「…うん…じゃ、行くね」

三洲の頬を両手で包み込み…暫しのお別れと、優しくキスをした…。

口唇を離したくなかった…。だけど、行かねばならぬのだ…。

「行ってきまーす」

「行ってらっしゃい」

真行寺が、元気よくドアを開け、出掛けて行った…。
玄関のドアが、パタンと閉まり…何とも言えない、静けさに包まれた…。
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