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early spring2 

early spring2


三洲の後に付いて行くと、和室の客間に通された。

「真行寺、座れよ。お茶いれるから…」

「あ、アラタさん…そんな気を遣わないで…」

ここにいてよ…。

客間を出ようとする三洲の手首を掴むと、『あーくん、入るわよ?』と障子がスッと開いた。

「お茶、持ってきたわよ…ん?どうしたの?」

理子がキョトンとして、立っていると

「ん?何でもないよ。ありがとう、母さん」

そう言って、トレーを持とうとすると…。

「あらー、いいわよ。私がやるから…あーくんも、座って」

トレーには、何故か三人分のお茶が…。理子は息子と一緒に暮らしている、真行寺のことを色々知りたくて、自分の分もちゃっかり用意したのだ。以前…と言っても、随分前に妹の琴子から聞いてはいたが、言ってた通りの好青年だ。声は電話で聴いたことがあった…。色々知りたいのに、肝心な我が息子は何も教えてはくれないし…。今、その本人がいるのだから、色々聞いてみたい!と、思っている理子であった。

「ねぇ、あーくん。今日はホントに泊まっていかないの?」

「うん、帰るよ。明日も、色々と用事があるからね」

「あーくんの部屋、そのままにしてあるのよ?」

その会話を聞いていた真行寺は、

「…あ、アラタさん、もし何なら俺、明日迎えに来るから…泊まっていっても大丈夫だよ?」

親子水入らずで…。

「あら、真行寺君優しいのね?良かったら、真行寺君も是非、泊まっていって?」

「えっ!?や、俺は…」

チラッと三洲を見ると、三洲は母親に分からないように、真行寺へウインクで合図を送る…。

…それがまた、色っぽいこと。

それだけで、ヤられそう…。

「…俺も、明日…忙しいんで…」
すんません…。

「ほら、母さん。真行寺も困ってるから。とにかく、今日は帰るよ」

「…う~ん、残念だわ…」

明日は琴子達も来るのに…。

「ごめん、母さん。暇が出来たら泊まりに来るからさ…」

「…分かったわよ。でも、お昼ご飯くらいは食べていけるでしょ?私も、もう少し話をしたいわ」

「うん。そのつもりだよ」

「はあ、良かった…。真行寺君も食べていってね!そう、そう…さっきから気になってるんだけど…真行寺君、彼女いるの?薬指に指輪してるじゃない?可愛い子なの!?ふふっ」

「あ、はい!…いや、その…」

聞かれて思わず、言いそうになったが…三洲の冷たい視線が刺さり、言い留まる。

「あーくんも、真行寺君を見習って、早く彼女を見つけなさいよ?」

皆、心配してるんだから…。

「母さん、もうその話はいいから…それより俺達、腹ぺこなんだけど?」

言われて壁にある、掛け時計に目をやる理子。

「…あらやだ、もうお昼ね。それじゃ、すぐ用意するわね」

そう言って、理子は客間から出て行った。


~・~・~・~・~・~・~


「お母さんの手料理、美味しかったです。ご馳走様でした」

「真行寺君、また遊びに来てね。あんなもので良ければ、いつでもご馳走するわ。あーくんのことも、よろしくお願いしますね」

「はいっ!」

これって…。

何か『娘をよろしくお願いします』みたいに、聞こえたのは…俺だけ!?へへへっ

「う"っ」

「何、ニヤニヤしてるんだ?」

真行寺の脇腹に三洲のパンチが入った。

「それじゃ、母さん。また」

「二人とも気をつけてね」

理子に見送られ、三洲家を後にした。三洲は帰りの車の中で、外していた指輪をまた薬指に嵌めた。

「アラタさん、ホント良かったの?泊まらなくても…。お母さん、すっげ残念そうだったじゃん?」

「…いいんだよ、別に。俺が何で泊まらないのか…お前、分かってないだろ?」

「…え?何で?もしかして、俺の為…とか?へへっ

大丈夫だよ…1日くらいなら我慢出来るから…。

「…やっぱり、教えなーい」

「…あっ!意地悪っ!今年初の意地悪だっ!」

「…だったら?何だと思う?」

言い当てられるのも、恥ずかしいが…。真行寺の為と言うより、自分の為?

「アラタさん、ヒント!ヒントちょうだい!」

「ヒント?…マフラー」

「…マフラー?」

…結局、自宅マンションに着くまで答えが出ず…。

「ねぇ、アラタさん…答え、何か教えてよー」

三洲を背中からギュッ…と、抱きしめた。
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